この日の夜公演で是尾を降板させると決意し、頭を抱える久部。そこへ蓬莱がやってきて、オフィーリア役の交代を進言する。難色を示す久部に、劇団のため、劇場のため、何よりリカさん自身のための再考を促して立ち去った。

残された久部の元に、次は樹里がやって来て、朝雄の絵の件で出てきた絵具で汚れたハンカチを差し出し、久部に詰め寄る。そのハンカチは以前、観客の笑顔を見て涙ぐんだ久部に、樹里があげたハンカチだったのだ。

芝居に情熱を持っていた久部が、芝居のためにならないことをなぜ平気でやるのかと涙ぐむ樹里。しかし、そんな樹里の姿を見ても久部は開き直るだけ。樹里は、失望した様子で立ち去った。

樹里と入れ替わりテンペストの仮歯(ひょうろく)が、是尾の酒代の請求書を持ってくる。その金額は、予想をはるかに超えた58万円。マスター・風呂須太郎(小林薫)によると50万円でいいとのことだが…。

是尾(浅野和之)の酒代を払うため、事務所の金に手を付ける久部(菅田将暉)

久部は、さっそく事務所にある金庫を毛利里奈(福井夏)に開けさせ、50万円を取り出す。是尾の降板理由を周囲に明かさないと約束した手前、いぶかしげな表情の毛利にも事情が説明できず、1万円を握らせて口止めする久部。しかし毛利は口止めの約束などたちまち反故にして、すぐに蓬莱へ密告してしまう。

久部とケントちゃん以外は誰も状況を知らないまま、是尾の最後の舞台が上演される。名演を見せた是尾は終演後、置き手紙を残して姿を消した。

毛利が金庫から51万円減っていると証言したことで、久部は劇団員たちの追及の的に。蓬莱が何のために51万円を持って行ったのかと問い詰めるなか、ケントちゃんだけがハッと顔色を変える。

最初は支配人の権限で黙らせようとした久部だったが、納得しないメンバーの様子を見て、とっさに“いざなぎダンカンに貸した”と作り話を始める。口止めされていたからみんなに相談できなかった、と。メンバーはその話を信じるが、久部は信用されないことが寂しいと訴えて事務所を出ていく。

なんとか追求から逃れ、ホールに駆け込んだ久部の目に入ったのは、罪をなすりつけた相手・ダンカン。パニックになった久部は、ダンカンを劇場から引きずり出そうとするが、そこにパトラとモネが来てしまう。

嘘がバレ、信頼できない人とは芝居を続けられないと見放されてしまう久部。蓬莱が間に入り、今夜中にお金を戻せばと提案するも、突っぱねる久部。さらに破れかぶれになり、朝雄の絵を台無しにしたのも自分だと告白。陥れられたはずの大瀬は、自身の疑いが晴れて久部に感謝して…。