客席で絵を描く朝雄。そこに久部とリカが個人レッスンをしに来たため、朝雄は絵を置いて席を外す。久部の熱血演技指導に対し、不機嫌な表情を崩さないリカは、うんざりした様子でオフィーリア役は荷が重いと言って去っていった。

残された久部は、朝雄が描いていた絵にふと筆を入れて失敗。ハンカチで絵の具をぬぐおうとして、さらに絵を台無しにしてしまう。その絵が発見され、犯人探しが始まる。

その会話に素知らぬ顔で混ざっている久部。そこへ伴工作(野間口徹)が、絵の具で汚れたハンカチを手にやって来る。大瀬演じるレアティーズの衣装のポケットに入っていたと言う。

たちまち大瀬が犯人だと思い込み、口々に彼を責め立てる劇団員たち。怒り心頭のモネは、大瀬の弁解も聞かずに「最低!」と言い捨て、その場は解散となった。

約束を破り、酒を飲んでしまった是尾(浅野和之)に怒りをにじませる久部(菅田将暉)

劇団クベシアターを手伝ってきた江頭樹里(浜辺美波)は、疲れた様子で客席に座り込む。

ピリピリとした最近の劇団の空気を憂う樹里。『夏の夜の夢』を上演していた頃のほうが良かったのではと振り返る彼女に蓬莱は、集団は目的地が分からず走っているときが一番盛り上がる、と静かに語った。

ケントちゃんに呼ばれてジャズ喫茶「テンペスト」にやって来た久部は、酔いつぶれている是尾を見て絶句する。もう酒は飲まないと約束していた是尾の裏切りに、久部は怒声をあげ、ケントちゃんは目を離したことを謝罪。

是尾によれば、1週間ほど前に声をかけてきたファンから飲みに誘われ、そこから酒を飲み始めてしまったらしい。その“ファン”は劇団・天上天下の黒崎だった。

是尾も頭を下げるが、久部は約束を守ってもらうと譲らない。どれだけ是尾がすがり、ケントちゃんが一緒に頭を下げても久部の意志は揺るがず、是尾が飲んでしまった酒代は自分が支払うと言い、テンペストをあとにした。