水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』のためにつくられた巨大オープンセットを取材しました。
現在放送中のドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』は、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、脚本を手がける三谷幸喜さんの半自伝的要素を含んだ完全オリジナルストーリー。
世の中が好景気に浮き足立つ1984年。自身の劇団を追い出された主人公の劇団演出家・久部三成(くべ・みつなり/菅田将暉)が、渋谷・八分坂(はっぷんざか)にあるWS劇場を「東京で一番の劇場にする」と宣言。八分坂の人々とともに理想のシェイクスピア劇を作ろうと奔走する姿が描かれます。
本作の見どころの一つは、今から40年前の渋谷が再現された大人の歓楽街・八分坂のオープンセット。主演の菅田さんもインタビューで、規模の大きさに触れ「『いいものをつくるぞ』という爆発力を感じた」と語っていたセットを取材しました。
美術デザイン担当の棈木陽次さん(フジテレビ美術制作部)、装飾担当の稲場裕輔さん(京映アーツ)に聞いたエピソードと、たくさんの写真とともに見どころに迫ります。
八分坂は土台作りから約2ヵ月かけて建設!建物のデザインに悩むことも…
昼は雑多で活気があり、夜はネオンが眩しく妖艶な雰囲気が漂う八分坂。約60メートル続く坂に17軒の建物が並ぶこのオープンセット製作は、建物を安全に建てるための土台作りから始まり、建て込み(セットの組み立て)前の事前準備、建て込み、装飾など、2ヵ月近くかかったそう。
棈木さんは「1984年に存在した建物は今もたくさん残っていますが、現代の目で見ると時代遅れに映るものもあります。でも、当時は最先端でモダンだったはずです。その“当時の新しさ”をどうすればセットデザインに落とし込めるか、悩みました」と言います。
それでも、久部の「WS劇場を渋谷の演劇の新しい発信地にしたい」という思いが大きなヒントに。「街並みやWS劇場の佇まいを、シェイクスピア演劇とギャップのあるデザインに振り切ることが大事だと感じたんです。それを踏まえて、当時の渋谷の都会感と猥雑な繁華街をミックスしたオープンセットを、迷わずに作り込むことができました」とのこと。
