水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』に登場するジャズ喫茶「テンペスト」の美術セットを、たくさんの写真と動画とともに紹介します。
本作は、脚本・三谷幸喜さん、主演・菅田将暉さん、二階堂ふみさん、神木隆之介さん、浜辺美波さんが共演。1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷さんの半自伝的要素を含んだ完全オリジナルストーリーです。
物語の舞台は、渋谷・八分坂(はっぷんざか)。渋谷駅から徒歩8分の場所にあるという設定で、案内所、ジャズ喫茶、ラブホテル、ストリップ劇場がところ狭しと軒を連ねる大人の繁華街です。
1980年代を忠実に再現し、細部までこだわり抜いた美術セットに、視聴者からは「作り込みがすごい!」「楽しい!こういうテーマパークがあったら行きたい」など注目の声が集まっています。
そこで前編では、物語の要となるストリップ劇場「WS劇場」を、後編では主人公・久部三成(菅田)らが集まるジャズ喫茶「テンペスト」の美術セットを紹介。美術デザインを担当している棈木(あべき)陽次さん(フジテレビ美術制作センタ―)と、装飾担当の稲場裕輔さん(京映アーツ)にも話を聞きました。
風呂須太郎(小林薫)と仮歯(ひょうろく)の、丁寧な仕事ぶりが伺える美しい喫茶店
ジャズ喫茶「テンペスト」は、マスターの風呂須太郎(小林薫)と、従業員の仮歯(ひょうろく)が切り盛りするお店。主人公・久部三成(菅田)らがたびたび集まる場所で、第6話では『クベ版 夏の夜の夢』初日打ち上げの会場にもなりました。
セットは、実在の喫茶店をモデルに作られているそう。そして「テンペスト」といえばシェイクスピアの同名戯曲で、洞窟のシーンが登場します。美術デザインの棈木さんは「洞窟をモチーフに取り入れて、演劇の舞台美術のようなフォルムをコンセプトにしました。正面には西浦正記監督のアイデアによる壁画を作りました」と明かしました。
この席は、第1話で久部が初めてテンペストを訪れた際に座っていた場所です。右に久部、左にトンちゃん(富田望生)が座っていました。
青味がかった冷たい洞窟のような壁と、あたたかく柔らかな光が混ざり合い、不思議な居心地の良さを感じます。
そして入り口正面には、いつも風呂須がいるカウンターが。
カウンター左側に寄ってみると…今では見かけることも少ないガラスの灰皿と、「テンペスト」オリジナルコースター、そしてサルトルの『自由への道』、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』など、フランス文学の書物が並んでいます。
