メンバーを集めた久部は、どこか晴れやかな顔で、劇団から身を引くこと、あとを蓬莱に任せることを宣言する。蓬莱は戸惑い、大瀬は久部を引き止めるが、他の面々は黙り込むばかりで…。

その後、案内所に行った久部は、彼の運命を予言したおばばに「全部、失った」と語る。かつて、以前の劇団のメンバーとも喧嘩別れしてここに辿り着いた久部は、振り出しに戻った己を自嘲。ここからどこに行けばいいのかと尋ねる久部に、おばばは自分の意志で進むようにと送り出した。

宝物のシェイクスピア全集を入れたボストンバッグも、ロックンロール族の若者たちに渡して、身一つで久部は八分坂から去る。すべてを失った久部の八分坂での物語は、リカの幻影を残して幕を下ろした。

2年後、久部(菅田将暉)や劇団久部シアターの面々は…

2年後。

蓬莱はテレビ局の現場で働いていた。局の廊下でばったり、すっかり人気コンビになったフォルモンとパトラに会うと、フォルモンが「今日って…あれだったよな」と確認。蓬莱も「必ずうかがいます」と返す。

夜の街の雰囲気は一掃され、すっかり明るい若者の街になった八分坂を訪れる蓬莱。WS劇場はお笑いライブハウスに様変わりし、スターになった王子はるお(大水洋介)が出待ちのファンに囲まれている。ジェシーが逮捕され、劇場は人手に渡り、劇団は解散していたのだった。

ペログリーズの跡地はハンバーガー店になり、リカはそのチェーン店のCMに出演するタレントに。案内所はクレープ店になり、すっかり雰囲気の変わったおばばが若者たちにクレープを売っている。

ジェシーたちは弁当店を営み、久部はその配達の仕事をしていた。PARCO劇場にはトロ主演、黒崎演出の『リチャード三世』の大きな広告が貼られ、久部が自転車を走らせる道には交通整理の仕事をする是尾の姿も。

そして配達にやってきた区民センターの廊下で、久部はふと懐かしい声に立ち止まる。声を辿って廊下を進み、ある一室を覗く久部。そこには、劇団クベシアターを立ち上げたときのメンバーがそろっていた。

演出はケントちゃん、演出助手は蓬莱。トニー安藤(市原隼人)、うる爺(井上順)もいる。それを見つめていた久部の隣には、いつの間にか樹里が佇んでいた。ただただ芝居を楽しんでいるみんなを、言葉もなく赤い目で見つめる久部に、樹里はみんながたまに集まっていることを説明する。しかし、樹里が振り返ると、既に久部の姿はなくなっていた。

区民センターを出ようとした久部を受付の女性が呼び止める。彼女が手にしていたのは、かつて久部が手放した、シェイクスピア全集が入ったボストンバッグだった。そのバッグをかごにいれ自転車を走らせる久部は、いつしか立ち漕ぎになってスピードを増していく。

「この世は全て舞台。男も女も役者に過ぎぬ。ノーシェイクスピア!ノーライフ!」

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