大門と事務所に戻って来た久部が切り出したのは、これまでの売上のこと。確かに客は少なく、週120万円の売上はチケット代ではとても賄えなかったが、売上は0円ではなかったはず。ざっと計算しても100万円以上はあった。それはどこに消えてしまったのか。
帳簿と金庫の中身を見せてほしいと言う久部に、横領を疑われたと思った大門は怒り出す。
大きく息を吸った久部が話しかけたのは、事務所に残っていた大門の妻・フレ(長野里美)。彼女の指に輝く翡翠の指輪はオーナーからもらった物だが、ポケットに入れていた翡翠のブローチは…。久部の指摘にフレははぐらかす。大門は慌てて妻を問い詰めた。
リカ(二階堂ふみ)の迫力に何も言えない久部(菅田将暉)
フレは、ブローチもオーナーからもらった物だと主張するが、リカとともに現れたジェシー本人が否定し、さらに翡翠が偽物だと看破。うなだれるフレと大門をクビにするかは、新しい支配人=久部が決めるようにとジェシーが言い放つ。
大門はWS劇場への愛と熱意を訴えて土下座するが、久部はリカと目を合わせると、その必死の訴えを退けた。憎々しさを隠すことなく、「疫病神だ」と久部に掴みかかるフレ。それを横から突き飛ばしたリカは、自分のせいだと激しく正論を叩きつける。
久部は迫力に呑まれたまま、何も言えずにいた。
照明が落ちたホールに別れを告げていた大門のもとへ、久部がやってくる。WS劇場を愛していたと語る大門は、久部に賭けたことを悔いていないと断言。しかし久部が劇場を観客でいっぱいにしてみせると語っても、もう大門は「どうでもいいや」と力ない声をもらすだけ。
「この世はすべて舞台!僕らはみんな役者にすぎない!」と久部がシェイクスピアの『お気に召すまま』のセリフを引用すると、大門は「じゃあ、楽屋はどこになるってんだ?」と鼻で笑って立ち去るのだった。
