久部は外に出ると、蓬莱を店内に戻し、樹里が舞台の感想を話し始める。本当は『夏の夜の夢』の戯曲を読んだことがなかったこと、今日の公演を観て涙が止まらなかったこと、心の底から楽しめたと感激したように語る樹里。
だが、久部は煙草をふかしながらひねくれた言葉を返し、樹里の気持ちもしぼんでしまう。それでも、久部が打ち上げに誘うと、樹里はパッと目を輝かせて父・論平(坂東彌十郎)を呼びに八分神社へと戻っていった。
テンペストの店内では、フォルモンとはるお、蓬莱の3人が話していた。テレビプロデューサーの賛辞を聞いたフォルモンはワイン片手に得意満面だが、それを伝えるはるおは浮かない様子。
そこへ樹里と論平が到着。蓬莱も久部もうれしそうに入口まで出迎えにやってきて、樹里は久部と同じ席へ、論平はファンであるリカの隣へ。樹里をもてなそうと気を配る蓬莱、離れた席から樹里をじっと眺めるリカ。
バカにするような物言いで樹里(浜辺美波)に絡むリカ(二階堂ふみ)
劇場の片付けをしていた伴工作(野間口徹)が、うる爺が劇場で呼んでいると久部に伝えに来る。面倒くさがる久部だが渋々立ち上がり、蓬莱の腕を掴んで劇場へ。
劇場では、セリフを完ぺきに覚えたうる爺が待っていた。さっきまでの表情が嘘のように、久部は明るい表情で絶賛する。
店に残された樹里は、眠っている父・論平を挟んで、リカと公演の感想を語っている。しかし、樹里の好意的な感想に対して、逆なでするように妙に絡んでいくリカ。
「戯曲の印象とあまりに違っていた」と樹里が言うと、リカは「今回は異常?」と返し、演劇は祝祭劇なのだから今日の公演で正しいと言う。さらに、リカからバカにするような言葉を投げられ、樹里の笑顔が消えていく。
笑顔を作り直した樹里は、論平を引っ張って外へ。涙をこらえながら、八分坂を出て行こうと言い、こんな街は大嫌いだと叫ぶのだった。
店に戻って来た久部と蓬莱は、樹里が帰ってしまったことを惜しみながら、自分に自信が持てないはるおに捕まっていた。「はるおさんには華がある」と力強く言ったことがきっかけで、彼が喜劇俳優・ポニー田中(堺正章)の息子だと知り、衝撃を受ける久部。
そこへ劇場オーナー・ジェシー才賀(シルビア・グラブ)と、毛利里奈(福井夏)がやって来る。少し前には、モネを慕う警官・大瀬六郎(戸塚純貴)も来ており、いつの間にか打ち上げはかなりの大人数になっていた。
ジェシーが、この打ち上げの費用は自分が持つと宣言する。最初は謙遜していた大門も、オーナーのおごりだと意気揚々。
