そのWS劇場には、オーナーのジェシー才賀(シルビア・グラブ)が、建築士を連れてきていた。劇場の図面を見せ、改装の見積もりを頼む。すでにオーナーの中では、この劇場を畳むことが決まっているのだと、あらためて知り、絶望的な表情を浮かべる大門。
隣のペログリーズで飲んでいたダンサーたちも、今後はさらに取締りが厳しくなるだろうと見ていた。モネが大瀬に色仕掛けしたらどうかと話していると、そこに大瀬本人が登場。モネを心配するあまり、朝雄にとっても今の仕事は良くないと口を出してくる大瀬に、苛立ちを抑えきれないモネ。

オーナーたちが帰ったWS劇場の客席には、大門と久部の姿があった。ストリップの起源や自分が若い頃の業界について、懐かしみながら語る大門。しかし娯楽が多様化し、取締りも厳しくなった今、ストリップを続けるのは限界だ――。
苦渋の決断を下した大門は、久部にダンサーを呼んでくるように言った。

久部(菅田将暉)がWS劇場でシェイクスピアを上演!?驚くリカ(二階堂ふみ)たち
大門から劇場が今月いっぱいで終わりと聞いたパトラとモネは、困惑を訴えながらも餞別(せんべつ)を受け取るが、今月の売り上げを頭割りにした封筒の中身は、わずか3万2千円。最後に餞別を渡されたリカは、無表情のままで「受け取れません」と突っぱねた。
たった3万2千円で出ていけと言われても納得できないという。

そこで立ち上がったのが、ずっとタイミングを計っていた久部だ。今は小劇場ブームで、ここは渋谷の一等地にある劇場なのだから、芝居をやれば儲かるはず。
劇場費も稽古場費もかからず、月に1500万は利益になる計算だとまくし立てる。現状からは考えられない金額に、「演劇っていうのは、そんなに儲かるのか」と目を丸くする大門たち。

久部に連れられて居合わせた蓬莱は、確かに今は小劇場ブームだが、最初からそんなに客が入るだろうかと疑問を呈する。しかし久部は自信に溢れた様子で、宣伝すれば必ず評判になると断言。うまくいかないとしても、劇場を閉める前に一度トライしてみるのはどうかと誘う。
ダンサーたちの反応は、三者三様。リカは本心が読めない表情を浮かべながらも、「面白いんじゃない?」と賛成。舞台役者向きの顔だと久部に誉められ、パトラも乗り気だ。しかしストリップという仕事にプライドを持っているモネは、久部が内心ではストリップを下に見ていると感じ、反発。

そこでステージに登場したのが、案内所のおばば。フレの茶飲み友だちの彼女は、劇場に遊びに来ていたのだ。
フレとおばばは、かつて共にダンサーとしてステージに立っていた仲間同士。おばばに呼ばれてフレもステージに上がり、2人で見事なタップダンスを披露する。「これくらい踊れるようになってから、一人前のことを言いなさい!」というおばばの力強い言葉に、気持ちを切り替えたモネ。
そこでハッとおばばが叫ぶ。「私も獅子座の女だった!」
かくして、芝居小屋に生まれ変わることになったWS劇場。旗揚げ公演の演目は――『クベ版 夏の夜の夢』だ。
