南海トラフ地震は繰り返される

この石碑は、「南海トラフ地震は繰り返す」という事実を、私たちに伝えてくれています。

研究により、南海トラフではおおむね100~150年の間隔で地震が繰り返し発生してきたことがわかっています。

1707年の宝永地震は、その中でも特に規模が大きかったとされています。

当時、碑文を書いた人たちは、過去の教訓を生かせなかったことを深く悔やみ、「次の時代の人には、必ず生かしてほしい」そう願って、この言葉を刻んだのではないでしょうか。

その強い思いが最後の一文に表れています。

「年々文字よみ安きよう墨を入れたまふべし」

これは、風雨で文字が薄れ、読めなくならないよう、毎年墨を入れなさい、という意味です。
人の心を動かす名文だと思います。
 

石碑についての解説板

驚くべきことに、この言いつけは今も守られています。

毎年8月の供養日に、地域の方々が墨を入れ、周囲を清掃し、祈りを捧げる取り組みを続けているそうです。

石碑の周囲には、解説板や案内も丁寧に設置され、「ごみを捨てないで…」という呼びかけもありました。

南海トラフ地震は、過去何度も発生してきた巨大地震で、もっとも最近起きたのは79年前の1946年、昭和南海地震(12月21日)です。

さらにさかのぼると――

1946年12月21日 昭和南海地震
1944年12月7日 昭和東南海地震

1854年11月5日 安政南海地震
1854年11月4日 安政東南海地震

お気づきでしょうか。
大きな地震が、2つずつ連続で発生しています。

手を合わせる上垣アナ

これが、次に南海トラフ地震の震源域の東西どちらかで大きな揺れがあったとき、時間差でもう一方でも地震が相次ぐ、いわゆる「半割れケース」の根拠とされています。

地震が「いつ起きるか」を正確に言い当てることはできませんが、

過去の災害は、次に私たちが直面するかもしれない危機を教えてくれていることは、間違いありません。


私たちメディアも、地域の方々が続けてきたこの取り組みを見習い、これからも過去の災害を未来へ伝える役目を果たしていきたいと思います。