日本時間2月17日。
ミラノ・コルティナ五輪でフィギュアスケート・ペアフリーが行われ、三浦璃来(24)、木原龍一選手(33)の“りくりゅう”ペアが、世界中を魅了する完璧な演技で、世界最高得点を更新。ショート5位から、大逆転の金メダル獲得となりました。

涙のショートからわずか1日で立て直し、手にした日本ペア初の金メダル。
試合後のインタビューでは、感極まった木原選手が涙ながらに話す場面も…。

――世界最高得点で大逆転、きのうからきょうまで、どんな一日を過ごしたんですか?
木原龍一選手:

ぼくは…、ずっと泣いていたんですけど。

三浦璃来選手:
もう龍一くんがずっと泣いているんですよ。いつも引っ張ってくれる龍一くんが。だから今回は私が“お姉さん”でした。

演技後、涙が止まらない木原選手 写真:ゲッティ

木原龍一選手:
やっぱり、4年前は立場が逆で、僕が引っ張るという立場だったんですけど。本当に今回はずっと助けてもらって、きのう終わった時点で「もう全部終わっちゃった…」と思っていたんですが、やっぱり璃来が力強く引っ張ってくれたので、なんとか戻ることができましたし、諦めないことが本当に良かったかなと思います。

三浦璃来選手:
龍一くんに、「巡り会えたのは奇跡なんだよ」というふうに言っていただけて、本当に全てのモーメント、全ての人々に感謝しています。

木原龍一選手:
もう感謝しかないです。本当にやめようとしていたときに、(三浦選手が)声をかけてくれたので、この出会いがなかったら、またこうして2大会も五輪に出ることはできなかったので、もう感謝しかないです。
先輩方がつないでくれたものが僕にも回ってきて、4大会つなぐことができたので、本当に今までの日本のペアの先輩方に心から感謝したいなと思います。

“りくりゅう”の金を確信!織田信成氏「二人の絆がみせた技」

日本のフィギュアスケート界を見守り続け、“泣きキャラ”としても有名な、元日本代表の織田信成氏。

16日に『サン!シャイン』に出演した際は、ショート5位という結果を受けてもなお、「りくりゅうペアが4年間やってきたことを、ジャッジの方に評価してもらっていると思うので、素晴らしい演技ができれば十分まだ金メダルはいけます。絶対大丈夫です!」と二人の金メダルを確信していました。

りくりゅうペアのインタビューを見て、目を潤ませながら、演技をこう振り返ります。

二人のインタビューを聞き、目に涙をためる織田氏

織田信成氏:
本当にすごい演技でした、ショートのミスからいい演技をしなくてはいけない場面で、世界歴代最高得点ですから、すごいです。

谷原章介キャスター:
世界歴代最高得点を、五輪の場で出せるすごさというのはどういうものが。

織田信成氏:
いやもう想像がつかないですね。本当に“二人の絆”がみせた技なのではないかなと。
木原選手のインタビューにあったように、本当にショートでは今まで見たことのないミスがあって、木原選手がすごく落ち込んでいたけれど、三浦選手が気持ち的に引っ張ってくれたというところが、これがまさに“二人の絆”というか、お互いにどんなことがあっても支え合ってやっていくというのが、すごくフリーに向けていい気持ちを作っていけたのではないかなと。
今一緒に滑っている人に「絶対できるから大丈夫、がんばろう」と言ってもらえると、すごく力強いというか、うれしくなると思うんです。
それが本当に木原選手の気持ちが支えられて……、いいフリーになったのではないかなと思います。

解説中に感極まり、涙があふれる織田氏

話しているうちに、また涙がこみ上げてきた織田氏は、「僕は別になにもしていないのに…すみません」と、うれし涙を拭います。

佐々木恭子キャスター:
でも(木原選手)きのうは泣いて過ごしたっていって。本当に一緒に練習してきた時間は二人のものですね。

谷原章介キャスター:
木原選手きのうショートが終わった後、璃来さんが声をかけても一切目も合わさず、あんな木原さんを見たことがないじゃないですか。よく一日で立て直しましたよね。

スペシャルキャスター 武田鉄矢氏:
その辺がやはりペアの強みなんでしょうね。相棒がいるという。

織田信成氏:
落ち込んだりミスがあっても、どちらかが引っ張っていってもらえる…、それはすごく強いと思いますし、フリーは出来栄えで見ると+3とか+4とかエレメンツ(技術要素)があれだけ多いのに、ものすごい出来栄え点をたたき出しているんです。
フィギュアもそうですし、スキーもそうですが、ウィンタースポーツって不安定な場所でいかにバランスを取ってきれいに演技しなくてはいけないかというところで、これだけ緊張した場面で、これだけの点数をたたき出して、これだけの演技ができるって、いかにすごいかという。

非常に高い技術点 ショートで失敗のリフトにも挑戦!

――りくりゅうペアが他のペアと異なる点はどこなのですか?
織田信成氏:
他のペアに比べて全体的な美しいスケーティングの流れ。例えばスロージャンプであったり、リフトにしても、持ち上げるときにスピードが落ちないんです。
そのままの流れでいける、いわゆる“一筆書き”の演技をしなさいとよくフィギュアでは言われるのですが、演技の流れが止まらず、流れるようにという、そのスケーティングが一個一個の技が決まる度に加速していく。
だから最後も、本当に苦しいのですが最後の最後のスロージャンプもすごく流れがあって、そこでも大きな加点がついていたので、それがりくりゅうペアの強みであり、その強みがめちゃくちゃ出た世界最高のフリーでした。

織田信成氏:
最終組に残れず、第3グループでの演技ということだったのですが、ミスなくできれば絶対メダルには届くと思っていましたが、ここまで完璧に、団体戦のフリーよりもさらにいい演技を見せてくれたというところが、本当にすごいことだと思います。
北京から4年間積み重ねてきた「大丈夫、絶対できる」という自信が、最後にお互いを支え合っていたのかなと。

歴代最高得点を記録した、りくりゅうペアのフリー。
中でも、テクニカルエレメントスコア(技術点)で非常に高い点数を出しているのが、プログラムの二つ目。「トリプルトーループ+ダブルアクセル+ダブルアクセル」という高難度のジャンプシークエンスに挑み、12.00という非常に高い点数をマークしました。

織田信成氏:
この(二人が並んで同じ技を行う)“サイドバイサイド”というジャンプは、お互いがある程度同じ距離で飛ばないといけないんです。
離れすぎても駄目で、しかも(ジャンプ)3連続となってくると、最後までジャンプをつなげるのがすごく難しいんです。(ジャンプの際)左足をついて跳んでいるんですが、途中でバランスを崩したら、コンビネーションというかシークエンスと認めてくれないので、3連続までしっかり跳びきるのも難しいですし、りくりゅうペアは幅を保ちながら3連続まできっちり跳ぶという。
ここの3連続ジャンプのシークエンスでものすごい加点をたたき出したんです。僕はこれが決まったときに、「これはいける」と。

――これだけ体格差があって、どうやってタイミングを合わせているのですか?
それはもう本当に“あうんの呼吸”です、お互いを見ずにお互いの流れとタイミングで。

さらに、プログラム三つ目は、ショートで失敗した「アクセルラッソーリフト」に挑戦。今度は完璧にこなし、こちらも、9.70という高い技術点をマークしました。

――ショートで失敗したリフトをフリーでは成功させましたが、何か変わった点などは?
織田信成氏:

フリーの「アクセルラッソーリフト」のレベルの取り方がちょっとだけ、ショートと違うのですが。ショートでは左手を持ち替えて女性をくるっと一回転させて降ろすのですが、フリーの時は木原選手がワンハンドで降ろしてレベルを取っていくという形で、非常にりくりゅうペアらしい、流れのある美しいリフトでした。
(最も高い)レベル4が取れています。

――前日に失敗していると変えたくなりそうですが、プログラムは変えられない?
織田信成氏:

ペアは特に絶対に変えられないです。シングルだったら多少ジャンプ構成を変えたり、ミスした後にリカバリーと言うこともあるのですが、アイスダンスやペアは、リカバリーというのができない…というか難しいです。
ただ、りくりゅうペアは、リフトはすごく自信を持っている要素でもありますし、世界的な評価も高い技ではあるので、本当にショートのミスが見たことない、二人から見たことないミスだったので。むしろ「いつも通りフリーはいこう」という気持ちで臨めていたのではないかなと。
特に音楽に乗ったリフトがすごくきれいでしたね、伸びやかな男性のボーカルの音と、しっかりスピード感のあるダイナミックな、りくりゅうペアらしいリフトというのが。

――演技後、木原選手が泣き崩れていましたが、彼は普段から涙もろいのですか?
織田信成氏:

いや、泣いたところは見たことありますが、あんなに泣いていることは見たことないです。

――では、ついに織田さんに次ぐ、“男子泣きキャラ”が誕生しましたね
織田信成氏:

いや…でも、それはちょっと譲れない(笑)

(『サン!シャイン』 2026年2月17日放送より)