自然災害の歴史から防災を学ぶ、「災害遺構プロジェクト」。
あなたの地域で、過去にどんな災害が起きたのか?
全国の災害遺構をめぐり、先人たちが遺したメッセージや災害の爪痕から、
地理歴史科の教員免許をもつ、フジテレビの上垣皓太朗アナウンサーが災害の歴史を解説。
また、防災士の視点から、防災に役立つ知識を紹介します。
「ジャングリア沖縄」の近くにある災害伝承碑
みなさん、こんにちは。上垣皓太朗です。
今年の夏、話題となった「ジャングリア沖縄」。
私もオープン時に取材で訪れましたが、好奇心をくすぐられる演出が詰まったテーマパークでした。
気になる方はぜひ調べてみてください。
そして――
このエリアに来たら、もうひとつ見てほしい場所があります。
「ジャングリア沖縄」周辺には、美しい海や離島の風景が広がり、思わず写真を撮りたくなる景色の連続です。
その自然の中に佇む自然災害伝承碑があるのをご存じでしょうか。
場所:沖縄県名護市字真喜屋
災害名:チリ地震津波 (1960年5月24日)
「ジャングリア沖縄」から車でおよそ10分。
名護市にある屋我地島(やがじしま)へ渡る橋のふもとに、その石碑はあります。
遠くから見ても
「津波に関係するものなのだろう」とすぐわかる形が印象的な、大きな石碑です。
碑文を読んでみると、こんな記述がありました。
「初代の屋我地大橋は1953年に完成。
しかし、その7年後に津波により破壊された。」
その津波とは――
皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。
「チリ地震津波」 です。
1960年、南米チリで巨大地震が発生し、津波が太平洋を横切って到達、東北地方の三陸沿岸などを襲いました。
日本では揺れが感じられなかっただけに、まさに突然の大津波に見舞われたのです。
しかし、私自身も「チリ津波=東北地方の被害」という印象が強く、沖縄も甚大な被害を受けていたことは知りませんでした。
さらに、近くの運動場にも、別の伝承碑が建てられていました。
そこにはこう書かれていました。
「南米チリ中部の近海でマグニチュード8.5の地震が発生」
(現在使われているモーメントマグニチュードではM9.5で、観測史上世界最大の規模であることがわかっています)
「その津波が約1日後の5月24日午前5時30分ごろ、沖縄へ到達。数回にわたり襲来し甚大な災害となった。」
この場所には当時、小学校がありましたが、津波により破壊。
この地域で3人が亡くなった記録が残っています。
