──声優としての話もうかがいます。宮野さんは20年以上のキャリアがありますが、声優の仕事の魅力を聞かせてください。
言葉が難しいですが、自分じゃないものを演じられるのは、面白いなと思っています。これまでにいろいろなキャラクターを演じさせていただいていますが、そのたびに役の心情やパーソナルな部分からいろいろな感情や表現を学ばせてもらっていて。自分のレパートリーとしてどんどん身についているので、それが声優の仕事の面白いところかなと思いますね。

もちろん俳優のお仕事もたくさんの学びがあるのですが、また違った学びなんです。自分の(ビジュアルなどの)ガワにどれだけ責任を持てるかということに加えて自信が必要になりますし、自分の見た目や年齢感、どんな動きができるかによってチャレンジできる役柄も変わってきますから。
でも、声優はキャラクターがいてくれるので、鬼にもなれますし、年齢も飛び越えられるんです。いまだに実年齢よりも若い役をいただくこともありますからね。そういう意味では、お芝居のレパートリーがより多く増えていく感覚があって面白い仕事だなと思います。
今後やりたいことは?「宮野真守といえばこれだよね、というものが生み出せたら」
──確かに、俳優は自分の体を使った表現なので、年齢によってできる役が限られる場合もありますね。
少し話がずれてしまうかもしれませんが…例えば、有名なグランドミュージカルに出たいと思っても、「年齢的にもう王子じゃないでしょ」という事実もあるじゃないですか。若手の登竜門的な役は若手がやるべきだとも思いますし。そうすると、やっぱり俳優は年齢で左右される部分が多少あるのかなと思うんですよね。
でも、この間、『井上芳雄ミュージカルアワー「芳雄のミュー」』(WOWOW)のイベント『芳雄のミューFes.』に出演したときに、ミュージカル『エリザベート』の『闇が広がる』を歌わせていただいて。そこでルドルフ皇子を演じたので、まだ王子役も狙って頑張っていこうと思っています(笑)。
ここまで声優と俳優との違いの話をしましたが、どちらも「そのときにできることを全力でやる」ということが面白いこととして共通しているので、結局はどちらも魅力的であることに変わりはないですね。
──声優としても、俳優としても多くの作品に出演していますが、今後やってみたいこと、興味があることはありますか?
それが“何か”ということはまだわからないですが、今の自分の立場や経験から導き出されるエンターテインメントを作っていきたいですね。いろいろな経験をした自分だからこそできる何か…。「宮野真守といえば、これだよね」というものが生み出せたら、いいなと思っています。

──最後に『TO BE HERO X』の見どころをお願いします。
X編は、物語の真相に限りなく迫る回です。その真相をXが説明するということは、やはりXは何かしらを知っていて戦っている人なんだとわかる回だと思います。
それでも謎に包まれた終わり方をするので、皆さんには、この物語が紡いでいるものを、たくさん想像してもらえるとうれしいです。
【リレー企画:花江夏樹さんにヒーローネームをつけてください!】
『TO BE HERO X』に登場するヒーローを演じている豪華声優10人にリレーインタビュー。
今回はヒーローランキングNo.1のXを演じる宮野さんに、ヒーローランキングNo.10のナイス/リン・リンを演じている花江夏樹さんの“ヒーローネーム”を命名してもらいました

考えてきましたよ。花江くんはですね、「ザ・センターマン」です。
やはり花江くんは「主人公」だなと思うんです。今回共演した『TO BE HERO X』も、ナイスの物語が印象的でしたから。あと、花江くんが中心にいる作品で僕は“謎の人物”とか、クセの強い役をやらせていただくことが多くて(笑)。そういう観点からも、僕の中の花江くんのイメージは“センターマン”なんです。
いつも「本当かよ」と思っているのですが、花江くんって「宮野さんの『桜蘭高校ホスト部』を見て、声優を目指しました」と言ってくれているんですよね。まさに、僕が「ザ・センターマン」だった頃の作品がきっかけだったと。そういう意味では、「ザ・センターマン」を受け継いでくれた人(笑)。
これからは花江くんが「ザ・センターマン」として生きてほしいですし、もしクセのある役が多くなってきたら、誰かにその座を譲って、継承していってほしいですね(笑)。
撮影:河井彩美