──トラ役の山寺さんに取材した際、「宮野くんがいてくれて演じやすかった」と話していました。その山寺さんのほか、皆さんとのアフレコはいかがでしたか?
メインヒーロー以外のキャラクターも含めて、キャストがとにかく豪華で。大御所の方もたくさん登場する作品だったので、皆さんと一緒にお芝居できて有意義な時間が過ごせました。
先輩方だけでなく、内山(昂輝)くんや自分より若い世代の人たちの表現からも刺激を受けましたし、いち声優の自分が言うのもおかしいですが…やっぱり手練(てだ)れの人たちがこれだけ揃うと、一つひとつのシーンに説得力が生まれるんだなと実感しました。

山寺さんとは、最近ご一緒させていただく機会がすごく増えているのですが、直接お言葉をいただくことはなくても、「信頼してくださっているのかな」と感じることがあって。『TO BE HERO X』の設定じゃないですが、お芝居のうえでも、オフの場面でも、信頼値みたいなものを送ってくださっていると感じるので、ご一緒できるのがいつもとてもうれしいです。
宮野真守 もし劇中の世界に生きることになったら…「Xと同じ行動をとるかも」
──印象に残っているXにまつわるシーンはありますか?
「Xは“謎の男”とされているけど、こういう人なのかも」と思える、性格や人となりが見えるのは、スマイルとのやり取りなのかなと思っていて。
真意は明かされていないので見えてこないけど、スマイルと過ごした時間は嘘じゃなかったということが、スマイルを弔う姿でわかりますよね。スマイルの死に対するリアクションを見ても、大切な人に対する思いは強い人なのかなとわかるシーンだったので、スマイルとのシーンは印象に残っています。

──『TO BE HERO X』の世界には、ヒーローになりたい人、ヒーローをプロデュースする人、ヒーローを応援する人とさまざまな立場の人がいます。宮野さんがこの世界で生きるとしたら、どの立場に立つと思いますか?
ナイス(CV:花江夏樹)がスマイルに憧れてヒーローになった描写がありましたが、ヒーローかどうかは別として、カッコいい存在には、子どもの頃の僕も憧れただろうなと思います。それが自分の夢になって、今の自分がこの業界で生きていくことを目指したように、ヒーローを目指す人になるかもしれません。
ただ、大人になった自分が感じるのは…Xの立場に近いのかな、と。Xは「あのときのコインが 俺をヒーローへ誘ったと思っていたが」と言うのですが、「そうなった以上は、Xとして生きるしかない」という決断をしているのかなと思うんです。
「残業がヤダ」「本当は1位から引退したい」と口では言っているけど、自分の立場を理解しているから、そこから逃げることはしない。自分に課せられた運命だと捉えて、嫌がりながらも向かっていくXの姿は共感できますし、この世界のなかで、僕も同じ行動をとるかもしれないなと思います。
