昼の八分坂について「繁華街の“裏路地感”が出るように、さまざまな自動販売機を設置したり、自転車を置いたり、タバコやポイ捨てされたゴミも置くなど、雑多な“飾り”を意識しました」と稲場さんが装飾のポイントを説明。

棈木さんは「歓楽街の生活感、街の経年劣化が感じられるようなエイジング(汚し加工)をして、昭和感が出るようにしています」と語り、太陽の下で鮮明に映し出される街の作り込みにこだわりが。

坂に入るとすぐに見えるWS劇場などの看板(左)、金網に引っかけられたゴミにも“年季”が…!(右上)、案内所前には錆びついた自販機や謎の胸像も(右下)
今では珍しい?細長い郵便ポスト(右上)、街のあちこちに止められている自転車は「当時の物を探すのに苦労しました」と稲場さん(右下)
劇中、フィーチャーされることは少ないですが、八分坂には中華そば屋さんやカフェも!
坂の一番上にはラブホテルがあり、純喫茶やイタリアンの店も。昔懐かしいたばこ屋さんに並ぶ商品は、当時のデザインに合わせて一つひとつ手作りしたとか

夜の八分坂は計算されてつくられた!?苦労して用意したレトロな街灯にも注目

夜の八分坂は、煌びやかでまばゆい光が印象的。「正面(アーケード側)から見たネオン看板の重なり具合は、WS劇場を中心に、大きさや色味、形など細かくこだわりました」(棈木)と、計算して配置されているそう。

また、棈木さんは「装飾部さんが用意してくれた、レトロな街灯が街の雰囲気を出すのに効いていますね」とも。この街灯、稲葉さんによると「時代ものということもあり、用意するのに苦労しました。写真資料をもとに、今も製造販売されているところがないか探したのですが、すでに販売しておらず。新たに作ってもらっています」と明かしました。

坂の上まで等間隔に配置されたレトロな街灯。ネオンのなかで柔らかい光を放っています
八分坂のなかで随一の存在感を放つWS劇場。「一見、レトロな映画館のようなデザインに、“いかがわしさ”をプラスしました」(棈木)
WS劇場の隣にあるスナック「ペログリーズ」は、「一見、昭和モダンな喫茶店ですが、中では、お通しで9万円をとるなど、ぼったくり経営をしているんですよね。そのギャップを意識しました」(棈木)
おばば(菊地凛子)のいる案内所は、「工事で使っていたプレハブが残っていて、それをそのまま利用しているイメージ」(棈木)
案内所の入り口に貼られた謎の言葉たち。もしかしたら刺さる言葉があるかも…?