揺れていないのに、津波がくる・・・「遠地津波」とは
震源から遠く離れた場所に到達する津波を「遠地津波」といいます。
最近では、2025年7月に発生したカムチャツカ地震で津波警報や津波注意報が出ました。
約1000キロ離れた場所から伝わる津波に、驚いた方も多かったのではないでしょうか?
遠地津波の特徴は・・・
(1)たとえ日本では揺れていなくても、津波がくること。
(2)地震発生からある程度の時間がたってから津波が来ること。
そして、
(3)伝わってくる海の海底の地形や陸地の影響を受け、複雑に変化するため、津波が長時間継続すること。
さらに、複数の波が重なって著しく高い波になることもあります。
1960年のチリ地震津波は、日本まで1万5千キロ以上も伝わり、到達には約23時間かかりました。
東北と沖縄の沿岸では、4mを超える津波が観測されました。
当時は、遠地津波への認識も警報体制も追いついていなかったため、避難が遅れ、死者・行方不明者は142人に達しました。
チリ地震津波以降、遠地津波に対しても警報が出せるよう整備され、今では、津波が到達する前にある程度余裕をもって、警報や注意報が発表されるようになっています。
防災メモ 地震以外でおこる津波に、どう対応する?
津波は「地震のあとに来るもの」と思われがちですが、実は地震以外でも津波は発生します。
(1)ひとつは・・・火山です。
火山噴火によって生じる気圧波によるもので、大気圧の急激な変化が海面を押し、波が海岸に押し寄せるケースがあります。
気象庁では、これも「津波」と呼んでいます。
2022年に、南太平洋のトンガで起きた火山噴火では、この「津波」が発生。
日本でも深夜にいきなり津波警報・注意報が発表され、飛び起きた方もいらっしゃったと思います。
(2)もうひとつは、山体崩壊です。
地震や噴火、または地盤の不安定化によって山が大規模に崩れると、その土砂が海や湾に流れ込み、巨大な波を引き起こすことがあります。
江戸時代に、長崎県の雲仙岳(島原)で発生した火山性地震で、まさにこの山体崩壊が起こり、
大量の土砂が海に流れ込みました。
(詳しい状況については研究が進んでいる最中で、原因には諸説あります。)
その結果、津波は長崎側だけでなく、対岸の熊本県にも押し寄せ、多くの命が奪われました。
この津波は「島原大変肥後迷惑」と呼ばれ、記録に残る火山性津波としては、日本最大級とされています。
この2つのケースのように、津波には揺れを伴わないケースもあり、私たちの感覚だけでは危険を察知できないことがあります。
津波の危険があるとき、頼りになるのは “情報” です。
テレビをはじめとした信頼できる情報源が出す情報に、
ご注意ください。
私たちメディアも、いち早く正確な情報を届けられるよう、
引き続き努めていきます。
そして――いま見えている、この穏やかな海や美しい景色を、
未来の人たちにも同じように楽しんでもらうために。
知ること、備えることの積み重ねを大切にしたいものです。
