ナレーション収録を終えた小雪さんにインタビュー。衝突しながらも穏やかに接する、まさきさん親子の印象、「私の知り合いにもひきこもりの方々がいる」という小雪さんが思う、社会との関わり方ついて語ってくれました。
――まさきさん親子を見守っての感想を聞かせてください。
「ひきこもり」という言葉が、以前に比べて世の中で認知されてきていると、肌で感じています。というのも、私の知り合いにもひきこもりの方々がいて。引きこもってから数十年たつけれど、絵を描くのが好きでアーティスト活動をしている方などです。
そういう方々が社会に出るきっかけになるような取り組みに、個人的に参加しているのもあって、ひきこもりは、特別なことではないと感じています。むしろ、誰でもなり得る身近なものだと思っています。
まさきさんもですが、ご本人の考えを掘り下げていくと、「繊細」という一言では表せない、さまざまな感情や思いがあります。ひきこもりの方は“深い孤独”を経験されているので、思慮深い方が多いと思いますし、私自身インスピレーション受けることがよくあります。
ですから、その1人ひとりの思いをもっと社会に発信できる機会があったら良いのにと、まさきさんを見て改めて思いました。オンラインでもリアルでも良いですが、自分らしくいられる場所をどのぐらい見つけられるかが大事だと思います。
たとえば自分の考えをブログやSNSで発信したら、多くの共感を得られると思いますし、そこからまたコミュニティが生まれるかもしれない。もちろん、参加できない期間があっても良いし、批判してくる人がいたとしても真っ向から闘わなくても良いと思います。

――まさきさんと母親は、まさきさんの大量の荷物を巡って衝突もしますが、おだやかに会話する姿が印象的です。2人から感じたことはありますか?
お母さまは37年間、まさきさんと一緒に暮らしてきて、ご自身の体の不調も抱えて、そのご苦労は計り知れないと思います。この先を考えるとやっぱり不安でしょうし、「前途に希望がない」と漏らすほど、身体的にも精神的にも大変だったのでしょう。でも、いつもとても穏やかで、強い精神力をお持ちだと思います。
まさきさんも、お母さまの心の機微を感じ取ろうとしていて、とてもやさしいですよね。お二人とも、本当に心の受け皿が広いと感じました。
――12年前に番組が初めてまさきさん親子を取材した際は、生きづらさを抱える若者のための施設を訪れたことをきっかけに、マラソンに挑戦したり、近所の畑仕事を手伝ったりしていました。
やっぱり外に出て太陽の光を浴びたり、体を動かしたりすると、気持ちも巡るのではないでしょうか。「今日は出られた」とか「次は何をしよう」と思うその一歩が、次につながると思います。
実際、まさきさんはマラソンを完走して「よくやれたなって思う」と、ご自身でおっしゃっていましたし、最近の取材にも「何かしないと」と思っていることを打ち明けていました。
やはり、変化したいのでしょう。自分を理解してくれる人に出会うたびに、変わろうとアクションを起こしていますよね。そんなまさきさんを見て、人はいつでも変われるんだと思いました。
――まさきさんは引きこもるなかで音楽に傾倒し、たくさんの音源や雑誌を37年かけて集めてきました。特に日本のハードコアパンクの先駆け・横山SAKEVIさんに思い入れがあります。
これほど音楽が好きで、膨大なコレクションをお持ちなので、たとえば音楽評論家として発信するというのも“自分らしくいられる場所”のひとつになるかもしれません。音楽のジャンルやアーティストごとにコメントを書いて、ネットで配信したり。好きなことを極めて、それが新たな形でやりがいにつながると良いのかなと思います。
――ところで、小雪さんが前回“語り”を担当した「結婚したい彼と彼女の場合〜令和の婚活漂流記2024〜」は非常に大きな反響がありました。改めて、令和の婚活についてどう感じていますか?
やっぱり結婚相談所やアプリで出会って結婚される方が増えたなと感じています。初めから、お互いの趣味や居住地、実家との関係、同居できるかできないか、子どもが生まれたらどんな生活がいいか、そういうことを踏まえて同意のうえ決めるから、結婚までが早いと聞いて。“時代”ですよね。かえって無理がないから、良いかもしれないですね。
予告動画
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。5月4日(日)14時~「ひきこもって37年〜母と息子の小さな食卓〜」
配信スケジュール
4月20日放送「あの日 僕を捨てた父は3 ~ようやく家族になれたのに~」(語り:宮﨑あおいさん)が、5月11日までTVer・FODで無料配信されます。