超高齢化社会の日本で、定年後も働いている65歳以上の人は、約4人1人いると言われています。

2025年1月に「ヒューマンホールディングス」が行った調査によると、定年後働く理由について、半数以上が「生活費を得るため」と回答しました。

65歳以上の生活費について、総務省の調査では、単身世帯でひと月に約16万円、妻と夫の2人世帯で約29万円でしたが、受け取れる年金の平均は、単身世帯で約14.7万円、夫が厚生年金・妻が国民年金の2人世帯で月20.5万円程度と、夫婦の場合は約8万円も下回っています。

物価高騰に伴い、さらに「年金だけでは生活できない」という声が多く上がる中、『サン!シャイン』は、“意外な方法”でお金を稼ぐ高齢者たちを取材。さらに、専門家におすすめの資格を聞きました。
経験や人脈を収入に?新しい働き方
65歳以上だけど働きたい高齢者の中で、今、注目を浴びているのは、自分の経験やスキルなどを講師として教えることができる「ストアカ」というサービスです。

60歳以上の講師数は、この5年間で5倍になっているといいます。

会社員時代に5年ほど包丁研ぎをやっていたという、豊住 久さん(74)も、「ストアカ」で講義を行っている1人です。豊住さんは、定年してから3年たった2013年から、ストアカで「包丁研ぎ」の講座を始めました。

豊住 久さん(74):
もともとね、ニーズがあるのは分かっている。包丁を研いでもらいたいっていうね。
うまくいくことないかなと思ってたところに、「ストアカで趣味の時間が生かせます」っていうそういうニュースが流れて。
年金もらうでしょう。(収入は)そういうようなものを少し埋めるくらいでいいわけですよね。

自分がやりたい講座を申請し、審査が通れば受講者の募集が開始できるようになる「ストアカ」。豊住さんの場合、今では月に4回ほど包丁研ぎの講座を行っているといいます。
講座料は1人4500円。1回で2~3人の受講者がおり、月の収入は約4万円です。

他にも、視覚障害者福祉事務所や受付で働いていた中東さん(67)は、朗読やボイトレなどの講座を月に15回ほど行い、5万円ほどの収入。

ジュエリー会社や園芸店などで働いていた、山名さん(65)は、コロナ禍で仕事が激減した時にWebデザインについて勉強。そのスキルを生かして、HPの作り方などについての講座を行い、月に10回ほどで収入は数万円に上るといいます。

スキルだけでなく、これまで培った“人脈”をお金につなげられる仕事も人気です。
顧客紹介サービス「セールスハブ」では、これまでのキャリアで築いた人脈を生かし、知り合いと企業をつなげて商談をセッティングすることで収入を得ることができます。
代表によると、元々若い世代をターゲットにしていましたが、ここ1~2年で利用者が急増。

会社の規模や紹介する人の役職などによって報酬は異なりますが、元コンサルントの椎野さん(70代)は、その人脈の広さから2024年の1年で15件マッチング、120万円の収入があったといいます。
取っておいた方がいい資格は?専門家オススメ!
定年後の第2の道として、資格取得に励む人たちもいます。

様々な資格が取得できる「ヒューマンアカデミー」では、日本語教師の資格取得を目指す50代以上の人が1年前と比べ1.5倍に増加。
1カ月ほど前からスクールに通い始めたという70代の鈴木さんは…。

鈴木さん(70代):
勉強の量や範囲が広いし深いし、果たして行き着くのかって、めちゃくちゃ不安なんですけど、アジアの人たちと何か(仕事が)できたらいいなって思います。

さらに、「ヒューマンアカデミー」では、就職希望先の採用担当者と話す機会を用意したり、自社の日本語学校で採用したりするなどして就職をサポートしているといいます。
高齢者の仕事事情に詳しい、日本総合研究所の小島明子氏によると、他にも注目の資格として以下のようなものがあります。

▼介護福祉士
費用はスクールだと4万4000円+受験費用1万8000円、収入は月に約23万円。
▼保育士
費用はスクールだと2万6000円~+受験費用1万3000円、収入は月に約22万円。
▼食品衛生責任者
費用は地域で異なるが、東京都の場合約1万2000円。製造工場で働く場合、収入は月に約20万円ほど。

日本総合研究所 小島明子氏:
ご自身も専門性を持った形で再就職できますので、非常に資格を取るということの意味はあるのだと思います。
(『サン!シャイン』 2025年4月22日放送より)