今から18年前の2007年。

和歌山のローカル線・貴志川線の終点・貴志駅。

普段は無人駅のこの駅に、世にも珍しいネコの駅長「たま駅長」が誕生。

あるときは、改札でお客さんに挨拶。

またあるときは、ホームで電車をお出迎え。
その姿が大きな話題を呼び、連日、全国各地からファンが訪れるようになりました。

就任翌年には写真集もリリース!クリスマスになれば、サンタのコスプレをしたりと、まるでアイドルのような存在に。

実は、この「たま駅長」旋風、ただのブームではありませんでした。
たまが駅長になる2年ほど前、当時、貴志川線を運営していた南海電鉄は、利用客が少ないこの路線からの撤退を発表していました。
そこで、和歌山電鐵が引き継ぎ、正式にたまを「駅長」に任命したところ、大人気になったというのです。

「たま駅長」にあやかり駅舎も“ネコ型”にリニューアル!
たま駅長の経済効果は約11億円。まさに、存続が危ぶまれていた路線をV字復活させる救世主となりました。
「たま駅長」は今どこに?『サン!シャイン』カメラは喜志駅へ
“時のネコ”となった「たま駅長」。18年がたった今、どうしているのでしょうか?

『サン!シャイン』取材班は、貴志川線の終点「貴志駅」に向かいました。
取材スタッフ:
貴志駅に到着しました。あ、いたいた、白と茶色と黒の模様、たまちゃんですかね。
あれ?でも「ニタマ」って書いてある。

あの一世を風靡した「たま駅長」とは別のネコなのでしょうか?
和歌山電鐵の広報に伺いました。

両備グループ・広報部 山木慶子さん:
「たま駅長」は2015年に亡くなりまして…。
10年前、16歳でこの世を去ったという「たま駅長」。
その葬儀には、全国各地からファンが訪れ、献花台は花束やキャットフードで埋め尽くされました。

8年続いた“ネコの駅長”も、これで終わりか…
しかし、「たま駅長」が天国へと旅立つ少し前に、和歌山電鐵にある相談がありました。
「保護した三毛猫を引き取ってほしい」
その時引き取ったのが、現在貴志駅にいるこの三毛猫「ニタマ」なのです。

初代「たま駅長」はもういませんが、その魂を受け継いだ「ニタマ」を見るために、連日たくさんの人が貴志駅を訪れています。
そんな中、『サン!シャイン』取材班が出会ったのは…東京からやってきたという、ネコ大好きの20代・あやさん。

東京から来た あやさん(20代):
初めてです。かわいいのひと言、すごくふわふわだなって。
最初の「たま駅長」のころにずっと続けてきて、そこからたまから「ニタマ」に代わったときに、ずっと続いていくんだなって感動を覚えまして。
これから伊太祈曽駅で「よんたま」ちゃんを見ようと思っていて。
「よんたま」ちゃん「ごたま」ちゃんに会いたい!
「よんたま」って??
取材班は、あやさんに同行させてもらうことに。

あやさんが乗り込んだのは和歌山電鐵名物の“たま電車”。

ホームに降りて、駅舎へ向かうと…

あやさん:
「よんたま駅長」です。

伊太祈曽駅は和歌山電鐵が本社を置く重要な駅。
以前は「ニタマ」が駅長を務めていましたが、初代の後継として貴志駅に転勤したため、空席となった伊太祈曽駅の駅長は「よんたま」に任されることとなったのです。
貴志駅の「ニタマ」同様、こちらの「よんたま」も大人気。

あやさん:
ネコの駅長は初代「たま」からスタートして、いまは「ニタマ駅長」「よんたま駅長」「ごたま駅長」がいるんですけど。
「よんたま」だけじゃなく、「ごたま」まで?
その真相を探るため、取材班は後日、ふたたび貴志駅へ。

取材スタッフ:
本日の貴志駅、すごい人だかりができています。

両備グループ 小嶋光信 代表兼CEO:
きょうはですね「たま駅長」が大明神として、「たま神社」の御祭神としてですね、鎮座して10年祭ということになります。

実は初代「たま駅長」は、亡くなった後、「たま大明神」としてホームにあるお社にまつられ、その10周年を記念するイベントが行われていたのです。
熱烈なファンの中には、「たま駅長」に人生を救われたという人も。

愛知県から来た いず美さん(50代):
もう100回は軽く来てますね。
(以前)交通事故に遭ったことがあったんですけど、その時に左足が結構ひどかったんですけど。ここに来て、どうしても「たま駅長」や「ニタマ駅長」に会いたいっていう気持ちで。(事故のけがの)回復がものすごい早くて。
左足もいま日常生活にまったく支障がないくらいまで元気になれたので。もうここのおかげだと思います。
取材スタッフは、「ごたま」ちゃんを探すことに。

ーー社長が今抱いているネコが「ごたま」ちゃんですか?
小嶋光信 代表兼CEO:
これはね「ごたま」ちゃん。
この「ごたま」ちゃんは、“鍵しっぽのネコ”といって、世界でも福猫といわれる猫なの。しっぽが鍵のように曲がってるの。

まさに和歌山電鐵に福を呼ぶ幸運のネコなのです。
現在、貴志駅と伊太祈曽駅の副駅長として活躍しています。

子供たちにも大人気のこの「ごたま」。
そのすぐそばには、東京からのファン、あやさんの姿もありました。

あやさん:
「ニタマ」ちゃん、「よんたま」ちゃん、「ごたま」ちゃん。3匹一緒に見られたので、感無量です。
初代からはじまり5代目まで、たくさんの人を虜にしてきた、“ネコの駅長”たち。
すると、子供たちから鋭い疑問の声が!
「なんで“さんたま”いないの~?」

現在、伊太祈曽駅の駅長は「よんたま」ですが、本当は「さんたま」こと「SUNたまたま」
というネコが就任する予定でした。
しかし、親会社「岡山電気軌道」のある岡山県で駅長になるための訓練をしていたところ、
担当者が「かわいすぎて絶対に手放したくない」と言いだしたため、駅長にするのは断念。岡山県で「おかでんミュージアム」などの館長代理を務めているということです。
(『サン!シャイン』2025年8月14日放送より)