8月4日、横浜市のみなとみらいの花火大会で発生した火災事故。

実はこの時…当時、パトロールにあたっていた海上保安庁の巡視艇に、“日本の海の安全を守る海上保安庁の仕事”を取材中だった『サン!シャイン』のカメラが密着していました。

『サン!シャイン』が取材したのは、海上保安庁の巡視艇「いそづき」。
みなとみらいの花火大会では会場にも多くの観覧船が行き交うということで…今回、特別に船のいたる所にカメラを設置させてもらいました。

そんな中、花火大会のパトロール密着中に起きた予期せぬ火災事故…。
カメラはその一部始終を捉えていました。

巡視艇「いそづき」パトロールに密着

〈いそづき船内でのやりとり〉
両舷前進。赤灯台ヨーソロー。

「いそづき」は海上で花火を見る観覧船などへ安全を呼びかけるため、基地を出港。

【花火打ち上げ 1時間前】

〈いそづき船外のスピーカー〉
観覧船の各船、船長さんにお伝えします。まもなく日没時刻となります。航海灯の点灯確認をお願いします。

夜間、船の位置を知らせるために必要な航海灯のチェック。衝突事故などを防ぐ命綱です。
この日は「いそづき」を含む6隻の船がパトロール。
お互い連携を取りながら任務を行う場面も。

〈無線のやりとり【いそづき→はまなみ】〉
いそづき

「貴船(はまなみ)の前を今、左から右に横切ろうとしている船体黒・ハウス白の船舶。航海灯がついていないように見えるのですが、いかがでしょうか。どうぞ」

はまなみ
「はまなみからいそづき。現在、注意喚起実施中。どうぞ」

しかし、花火開始時間が近づくと、危険な場面も見られるように。

〈いそづき船外のスピーカー〉
大変危ないですよ。スピード落としてください。スピード落としてください。パイロットボート!スピード落としてください。パイロットボート!スピード落としてください!パイロットボード!大変危ないですよ!

花火を良い所で見たかったのでしょうか。真っ暗な中、スピードを緩めず前を横切るボートが…。
こういった船を見つけた場合、現場全体に情報共有し、警戒を強化するといいます。

パトロール中に…火災発生

〈無線のやりとり〉
「花火打ち上げ開始した、どうぞ」
「花火開始、了解」

「いそづき」は、打ち上げ会場から少し離れた所で警戒することになりました。

花火打ち上げから約10分後、異変が…。

〈無線のやりとり〉
現在、海上、台船1隻引火。燃えています。

〈いそづき船内でのやりとり〉
引火ですって!引火!

無線から「引火」の情報が入り、現状を確認しようと移動を始めます。

〈いそづき船内でのやりとり〉
「うわ。爆発した!」
「えっ!?」
「台船上で爆発した!」
「花火が上がったってこと?」
「いやいや、台船上で爆発」
「(台船火災)を消しにいく可能性があるから、ちょっとガソリンポンプの準備だけしておきますか」

いつ消火の指示が来てもいいように準備する乗組員たち。そんな中、本部から「いそづき」とは別の船に指示が入ります。

〈無線のやりとり【本部→別の船】〉
巡視艇『はまなみ』『はまかぜ』、両船はこれから注意しつつ救助に当たれ。

このとき炎上していた台船には、5人の花火師が…。「いそづき」より現場の近くにいた別の船が救助に向かいました。

〈無線のやりとり【別の船→本部】〉
現在、コンテナの中の要救助者と接触。全員が無事とのこと。
これより要救助者が海水に飛び込む予定です。

〈無線のやりとり【本部→別の船】〉
要救助者の継続監視を実施せよ。1人も見失うな。

救助活動が進められる中、「いそづき」には別の重要な任務が…。

〈いそづき船内でのやりとり〉
こうなると、一気に(観覧船が)ばーっと走り出す可能性もありますからね。

炎上した台船の近くには、多くの観覧船の姿が。
その船がパニックに陥ると、船同士の衝突なども考えられるため、入念な注意喚起が続けられます。

〈いそづき船外のスピーカー〉
ゆっくり走ってください。大変危険な行為ですよ。パイロットボートの船長さん。大変危ないですよ。
慌てず、焦らず、ゆっくり徐行でお願いします。

そして、無事に火災現場から一般の船の誘導を終えた「いそづき」。
今回の火災事故で、台船上の花火師1人が軽いケガをしましたが、全員が救助され、さらに、一般船による衝突事故などを未然に防ぐことができました。

当時の状況を、「いそづき」の佐久間船長はこう振り返ります。

巡視艇​「いそづき」佐久間亮輔船長:
花火が制御できないという情報がございましたので、火は消すことが可能なのか、夜間でしたので、どうしても情報が限られておりますので、この中でどういった対応が必要なのか、対策本部が指揮をとっておりますので、指揮の上で対策をとるということをしていました。

船舶が火災に巻き込まれないよう的確に、スピーディーに誘導作業を行ったといいます。

巡視艇​「いそづき」佐久間亮輔船長:
海で遊ぶこと自体は、大変有意義な時間の使い方だと思いますので、楽しんでいただくとともに、ただ、海ではそういった事故もあるんだというところは必ず忘れることなく、ご家族の方と帰る時間ですとか、あとお子さんの方は目を離さないですとか、というのをしっかりしていただければと思います。

(『サン!シャイン』2025年8月13日放送より)