――まりえママを演じるうえで意識していることはありますか?
ベルサイユは、スナックだけれども介護現場でもあるから、介護の所作や作業の手順などはアドバイザーがついてきちんと描いていますが、設定としてはファンタジーなんです。
実際に介護スナックはあるようですし、絵空事ではないのですが、“魔法のワイン”や点滴などはファンタジーなので、そこをわかって見ていただけるようにしたいと思っています。

――まりえママの人物像をどのように捉えていますか?
まりえの正体は、あまり明らかにならないと思います。スナック自体が異世界なので、いつごろから店を開けているのかもわからないし、スタッフも訳ありの人が集まってきていますから。
だから、ママは私自身にもよくわからないまま終わるかもしれませんね。
地球の人ではないような感じで演じております(笑)。それくらい、どんな人も受け止めて、どんな方でもお話を聞くという、そういう人だと思っています。
会いたい人に会える“魔法のワイン”を飲めたら…宮崎美子が会いたい人は
――劇中に登場する、飲めば会いたい人に会える“魔法のワイン”について、どう思いますか?
ワインを希望されるお客様は、たとえば余命宣告されて、もう人生は長くない、締めくくりだと自覚されてベルサイユにいらっしゃって、最期にそのワインをお飲みになります。
ベルサイユの仕組みとして、ご来店されたら特別な点滴を打って、すごく元気になって、会いたい人に会うわけですが、とてもうらやましいなと思ったんです。最期までちゃんと自分で人生を選択できているわけですから。
年齢を重ねてくると不安なこともいっぱいあって、最期まで自分を保っていられるのだろうかと思うと、それができる登場人物たちはうらやましいなって思うようになりました。
そして、どんな人に会いたいかは、人それぞれなんですよね。それがその人の人生を象徴しているので、さまざまな生き方をドラマとして皆さんに見ていただけると思います。
“魔法のワイン”をどう思うかというご質問の答えは、「あればいいな」かな。怖いですけどね(笑)。

――もし宮崎さんがそのワインを飲めるとしたら、人生の最期に誰に会いたいですか?
“今なら”ということでしたら、篠山紀信さんにもう1回お目にかかりたいです。
5年前、私のデビュー40周年のときに久しぶりにお目にかかり、写真を撮っていただき、カレンダーを出したんです。撮影のあと、「50周年のときもお願いします」って言ったんですよね。でも、それは叶わずで…。
私のデビューのきっかけは、なんといっても篠山先生に撮っていただいた『週刊朝日』なので、これまでのいろいろな話や、50周年はどんな写真撮りますかとか話したいですね。そして、もう一度改めてお礼を言いたいと思います。