宮崎美子さんは、1980年に『週刊朝日』の女子学生表紙モデルの第1号を飾ったことが話題となり、カメラのCMへの出演が決定。一躍、時の人となりました。

さらに同年、主演ドラマ『元気です!』で俳優デビュー。2000年には映画『雨あがる』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、その後も連続テレビ小説『ごちそうさん』、大河ドラマ『八重の桜』など話題作に出演を重ねています。また、その博学ぶりからクイズ番組やバラエティ番組でも活躍中です。

このたび土ドラ『介護スナックベルサイユ』(東海テレビ・フジテレビ系)で主演を務める宮崎さんに、年を重ねることについて、そして美や健康維持の秘訣を聞きました。

「ジムに行っていますと言いたいけど続かない(笑)」宮崎美子が続ける習慣は

――デビューから印象が変わりませんが、美や健康のために行っていることはありますか?

本当だったら「ジムに行っています」とか、「走っています」とか、「歩いています」とか言いたいんですけど、ジムが続かなくて(笑)。何回も入っては辞めてしまって。

もう笑い話ですけど、以前、加圧トレーニングに通っていたんです。ただ、パーソナルトレーニングだとつい頑張りすぎて、逆に腰を傷めてしまって。そうこうしているうちにコロナ禍になり、コロナ禍が明けて久しぶりにジムに行ってみたら、そこが本格的に体を鍛える方が通うタイプのジムになっていて(笑)。これは、もう行けないな、と。

年齢的にも頑張りすぎてはよくないですし、家の中で続けられるものとして、今はラジオ体操の第1と第2をやっています。

――ラジオ体操は毎朝ですか?

できれば朝がいいんですけど、時間帯はまちまちです。ほかには、スクワットなど家の中でできることをしています。

それから、毎週欠かさずとはいかないけれど、知り合いのアスリートの方から紹介していただいて、2年前くらいからピラティスを始めました。ピラティスはいいですね。姿勢や骨格の仕組みを意識したことがなかったですが、少しずつわかってくると、気にするようになりました。

姿勢って気づかないうちに悪くなることがありますよね。でも、ピラティスを始めてからは意識するようになって、気づくと姿勢を正したり、時間があるときにポーズをとったりするようになっています。

――2020年にデビュー40周年で発売したカレンダー&フォトブックでは、ビキニ姿も披露し、変わらぬ美しさが話題となりました。

あれは、奇跡の1枚なんです(笑)。篠山紀信さんのマジックですよ。

何十年ぶりに篠山先生にお目にかかって撮っていただいたのですが、先生は全然お変わりなくお元気でした。撮影後に「50周年のときもお願いします」ってお願いしたんです。楽しみにしていたんですけど、それは叶わなくて…。

年を重ねると、会いたいと思った人には会っておかないとダメだ、思い立ったらすぐ会わないとダメだと思いましたね。

――その一方、“人生100年時代”といわれています。年を重ねるメリットはどう感じていますか?

無理をしなくなるし、見栄を張らなくなるんですよ。できないことはできないとわかっているし、できるふりをする必要はないと思うと楽だから。

自分もそうでしたけど、若いときって負荷をかけて頑張って伸びていく時期がありますよね。年を重ねると、その状態を余裕をもって見ることができる。そして、その人に「頑張れ!」や「そこはもう少し肩の力を抜いてもいいんじゃない?」って自然に言えるようになる。そういうことなのかなと思います。

――若い頃は悩みましたか?

そうですね。自分のことをよくわかっていなかったし、無駄に人と比べてしまったり。そういうことは、若いときのほうがあったと思います。自分の良いところ悪いところ、だんだん自分がわかってくるのかな。それが年を重ねるということなのかと思います。

――それは、気持ちが自由になるということでもありますか?

そうだと思います。人間、頑張れば何でもできるわけじゃないですよね。私が頑張っても三段跳びはもう跳べないですし、オリンピックには行けません。だけど、若いときは、同年代ですごい人が出てくると、「私、何やっているんだろう。私も頑張らなくちゃ」って思ってしまう。ちょっと大げさですけど(笑)。

そうではなくて、三段跳びは跳べないけど、私はこの仕事でちゃんと前進しているということがだんだんわかってくる。そんな気がします。

私たちの仕事は、やりたい役柄があっても、その物語や役柄にぴったりハマらなければ出演する機会もないので、選ばれる機会を待つしかありません。だから、いつもいい状態で、機嫌よくいることが大切かなと思うようになりましたね。

撮影:今井裕治
衣装:Merci DIEU par Satomi