宮崎美子さん主演、土ドラ『介護スナックベルサイユ』は、魔法のワインを飲むと会いたい人に会えるという不思議なスナックを舞台に展開するヒューマン・ファンタジー。
<試写室>『介護スナックベルサイユ』第10話
この回含めて、あと2回で最終回だというのに、謎だらけだったこのドラマもようやく情報がまとまってきたので、『介護スナックベルサイユ』ファンの方にはその振り返りとして、まだ見たことがないという方には追っかけ用チェックリストとして、今作に散りばめられていたさまざまな謎の数々を整理していこうと思います。
①『介護スナックベルサイユ』の基本設定について
このドラマは、介護が必要なお年寄りが集うスナック。常駐しているのは、元を含む看護師や介護士ばかりなので、ご老人の方々への接客も安心。
また「ベルサイユ」ならではの特殊サービスも存在していて、例えば、お客さま専用のボトルキープ型の点滴は、打てばみるみる元気になるし、何の変哲もないおしぼりも、拭けばお肌がピッチピチに。いずれも「なんかヤバいモノが入ってんじゃないか?」と、劇中の人物たちも疑いますが、どうやらなんにもない、とのこと。
そんな特殊サービスの中でも超特殊なのが「SEE YOU IN MY DREAMS」なる、死を目前にした人が一杯だけ飲むことができる、“会いたい人に出会える”ワイン。そのワインを嗜(たしな)んでやんやした最後には、“思い出の料理”が提供されます。
そして一連の特殊サービスを受けたお客さまは、その数日後、天に召されることとなります。
つまり、このドラマは、“会いたい人”に会うためにやって来るご老人たちの悲喜こもごもに、ファンタジックとリアリティを混ぜて、グルメ要素まで足した、欲張りなドラマなのです。
※なお、「スナックベルサイユ」は、物理的にどれだけ遠く離れていても、“ワケアリ”な人たちは必ずそこへとたどり着いてしまう…という、恐怖の謎設定あり。
②魔法のワイン「SEE YOU IN MY DREAMS」の効能など
“会いたい人に会える”というワイン「SEE YOU IN MY DREAMS」は、どうやら“酔う”ということが重要のようで、一度だけノンアル版「SEE YOU IN MY DREAMS」が登場するも、“酔わない”ことによって効果はあらわれず。
またその“会いたい人”は決して幻想や妄想、願望ではなく“真実”とのこと(←ここ重要)。当時の姿の人もいれば、ちゃんと年をとった人もいるし、当人しか知りえない事実を教えてくれる人もいるし、なんならあったこともない人にも会える。もっと“なんなら”でいうと、人でなくても、物やデータでも可(後述)。会話は当然できるし、触れることもできるし、会いたい人が持っている“物”を見ることも、受け取ることもできる。
そして、極めつきは、別に“会いたい人に出会える”でなくてもよくって、前回の第9話にて登場した、白ワイン版「SEE YOU IN MY DREAMS」は、“真実に出会える”という効能があり、もはやなんでもあり状態と化している。
③主なこれまでの出会った人・モノ
以下、これまで出会ってきた、主な人やモノたち。
出生時に取り違えられたもう一方の私に会いたい。
自殺しようとしたときにかかってきた電話の相手に会いたい。
推しのメンズアイドルに会いたい(ノンアル回で効果なく、仕方なくリアルで再現)。
自動販売機に会いたい(意味わからん)。
勝利の女神に会いたい(いるんかい)。
降板させられたラジオパーソナリティの新任に会いたい(AIだった)
などなど…。
このように、回を追うごとにカオスと化しているし、前回の新要素“白ワイン”の登場により、さらに混沌としまくってますが、基本的にはハートウォーミング、いい話なので何ら心配はいりません。自動販売機に会いたいがどうしてハートウォーミングでいい話になるのか?理解できない人は、とにかく見ましょう(自動販売機回は第5話)。
④そんな「スナックベルサイユ」で働く人々
このドラマは、訪れるお客さまだけでなく、働く人たちもとんでもないワケアリばかりで…。元ボクサーで対戦相手に大けがを負わせてしまった山本(木村了)を皮切りに、どうしても妻帯者を好きになってしまう未来(杏花)、ギャンブル依存症といまだ戦っているみどり(笛木優子)、スパイとしてベルサイユへ乗り込んできたリラ(森日菜美)、ただただいろんな料理を作れるだけの英さん(高山広)、闇バイトに片足を突っ込んだ大輝(杢代和人)。
と、それだけ濃いキャラぞろいなのに、まだ何も“明かされていない”ママ(宮崎美子)が、一番ミステリアスで、今作の世界観を支配しているという、怖ろしさと美しさ…。
