宮崎美子さんは、1980年に週刊誌『週刊朝日』の「篠山紀信があなたを撮ります・キャンパスの春」に掲載されたことをきっかけに、ミノルタ・カメラのCMに出演し、話題の人となりました。

同年、主演ドラマ『元気です!』(TBS)で俳優デビューし、以降、連続テレビ小説『ごちそうさん』『おむすび』、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(すべてNHK)など多くのドラマや映画に出演しています。

また、その博学ぶりから多くのクイズ番組で活躍。さらに、YouTubeチャンネルを開設するなど新しいことにも挑戦する宮崎さんに、クイズ番組への思いや、好奇心の源について聞きました。

宮崎美子 クイズ番組出演に対する思い「もうポンコツ状態(笑)。でも余力で楽しめればいいかな」

――さまざまなクイズ番組で活躍していますが、普段から対策や勉強をしているのでしょうか?

「クイズのためにどんな勉強をしていますか?」などとよく聞かれるのですが、全然していなくて、最近はもうポンコツ状態(笑)。でも、それはそれで、余力で楽しめればいいかな、くらいの感じです。

デビュー当時から『クイズダービー』(1976~1992年/TBS。宮崎さんは1981年10月~1983年9月で6代目2枠レギュラー)などに出演してきて、ずっとクイズをやっていることはすごいなって、自分でもときどき思うことがあります。

すごく充実した時期もあれば、階段を下りていく時期もある。グッドルーザーとして、それでも楽しめるよという姿もかっこいいかなと思っています。

――一方、豊富な知識をもった若きクイズ王も多い印象です。

そうなのよ。びっくりするくらい。伊沢拓司さん率いる知的エンタメ集団「Quiz Knock」が出てきたことから、勉強することがすごくかっこいい、物知りは素敵なことだっていう風潮になっている気がして。彼らに憧れてみんなが知識を得ようとするようになったのは、すごくいいことだと思います。

芸能界でもクイズサークルや勉強会をやっている若い人達がいて、楽しいんだろうなと思います。ただ、オールドメンバーとしては勉強をあまりしていないので、若い人たちに勉強されると、もう太刀打ちできないですね。

――さまざまな現場で、幅広い年代の方と交流していますね。

お芝居の現場では、子役から先輩までいろいろな年代の人と対等に話ができて、ともに一つの作品を作り上げるのは楽しくて、元気の素です。

バラエティの現場は、また全然違います。難しさも、スタッフの雰囲気も出演者の顔ぶれも違って、それがまた面白いです。最近は、芸人さんもどんどんお芝居をされて、皆さん上手なんですよね。

年を重ねるほど、こういう経験は貴重になりますね。そう考えると、幸せな仕事を選んだなと思うので、ずっと続けていけたらいいなと思います。

――YouTubeチャンネルを開設するなど、新しいことにも挑戦していますが、きっかけは?

YouTubeに関しては、コロナ禍で何もできなかった時期に「何でもやっていいよ」と言われて始めたんですけど、老後の楽しみを得たなと思って(笑)。

自分としては、とにかくやりたいことだけをやっています。ただただ好きなことを原稿も作らずに好きなようにしゃべったり、「今度こういうところに行きたいから、スタッフに声かけておいて」とか、「ちょっと(岩手県の)遠野に行ってきます」とか。

あとは、紙の本が好きなので、本屋さんで手触りを確かめつつ購入し、読んで面白かったら、その作者のほかの作品も読みたいし、応援したい。じゃあ、YouTubeで紹介しようという感じです。

でも、編集などはできないので、ややこしいことはスタッフに全部丸投げです(笑)。

――そういう好奇心の源は何ですか?

私は「これ何?」「どうなっているの?」「どういう意味?」ということは、普段からよく言っているし、「これ、やってみたい」と口にするタイプです。

また、この仕事は普段なかなか行けないところに行けたり、会えない人に会えたりできるじゃないですか。

若い頃、私はトレンディドラマに1本も出ていないんです。何をしていたかというと、紀行クイズ番組『なるほどザ・ワールド』(1981~1996年/フジテレビ)で海外リポーターをしていて。テレビ業界も元気で、いい時代でした。だから、たくさん海外に行っていろいろな経験ができたことは、財産になっていると思うんです。

それがお芝居にすぐ結びつくわけではないけれど、自分が大自然の中ではちっぽけな存在だと自覚したり、いろいろな生き方があるんだと教わったりしたことが、どこかで栄養になっているから、いい経験をさせてもらったと思っています。

ただ、あの頃は無茶しましたよね(笑)。それもいい思い出です。

――デビュー45周年を迎えて、今どんな気持ちですか?

土ドラ『介護スナックベルサイユ』(東海テレビ・フジテレビ系)は、思い出深い作品になると思います。24年ぶりの主演ですし、春の特番で放送し、種をまいたものが秋につながっていくということは、この年を通じて、本当にいい舞台を与えてもらえたと思います。

「45周年には、『介護スナックベルサイユ』をやりました」と、自信をもって言えるものに出合えたし、そうしないといけないと思っています。

撮影:今井裕治
衣装:Merci DIEU par Satomi