宮崎美子さん主演、土ドラ『介護スナックベルサイユ』は、魔法のワインを飲むと会いたい人に会えるという不思議なスナックを舞台に展開するヒューマン・ファンタジー。

<試写室>『介護スナックベルサイユ』第6話

いやー、すごい。『介護スナックベルサイユ』がすごい。ホントにすごい。もう、なにもかもがすごすぎて、すごいしか言葉が出てこない!ああすごい!あらすごい!まあすごい!なんとすごい!すごいオブすごい(しつこい)!

っと、『介護スナックベルサイユ』の第6話視聴後、一人で小躍りするくらい興奮してしまったので、言語を失ってしまいました。

(少し間をおき…)

っというわけで、まだ『介護スナックベルサイユ』を見たことがないという方のためにも、改めて、ここでその“すごさ”について語っていきたいと思います。

『介護スナックベルサイユ』のここがすごい①
「いろいろと渋い!」

最初に出てくるのがそれか!ではありますが、『介護スナックベルサイユ』をまだ見たことがないというあなたにとって、まずもって越えなければならないのが“渋さ”でしょう。

だってこのドラマ、とあるスナックへ訪れたお客さまたちの悲喜こもごもを描いたファンタジックヒューマンドラマ…っていうたてつけなんだけど、スナックっていっても“介護”ってついてるし、訪れるお客さまはみなご老人だし、ファンタジック要素つっても、飲めば会いたい人に会える不思議なワインが登場するし、そのママを演じるのも、主演が24年ぶりという宮崎美子さんだし…という、渋い要素が満載。

だけどだけど、その“渋さ”が…いいんです(答えになってない)。

見てる最中、「僕は(私は)、なぜこんな渋いドラマを見ているんだろう…?」という“ネガティブな客観”が開始数分、必ず入ってしまうことは事実です。

だけど、そこからが勝負です(?)。そんな己に打ち勝ちましょう(?)。なぜなら、数十分後には、その世界観に不思議と没入できてしまうし、特別編2回~連ドラ版のこの第6話まで見続けると、次のお話が楽しみで仕方なくなる。

まるで、次の絵本を待つ子どものような、あの感覚を思い出させてくれるのです(なぜ絵本を待つ子どもになるのか?は不明)。そしてついには、「こんな“渋い”ドラマにハマっている…オレ(アタシ)、ステキやん?」という、“ポジティブな客観”を得ることになるのです(何もかも意味不明)。とにかく、その“渋さ”こそを、体感しましょう!!

『介護スナックベルサイユ』のここがすごい②
「宮崎美子ママが強引」

①②と、決して、ディスってはいませんよ!?だって、だって、そんな宮崎美子ママの強引さが、その強引さこそが、いいんだもの(結局、答えになってない)。

そもそも、このドラマ、タイトルから、さも、もうみなさんすでにご存じの介護スナック!といわんばかりの突然さがあるし、“会いたい人に会えるワイン”なる代物も理解するのに時間がかかるし(そしてまだ理解できない)、実際見進めていくとあまりに要素が多いもんで気が気じゃないし、ドラマ全体の構成としても、1話完結型のお客さまのエピソードと、スナックで働くことになったワケアリ青年・大輝(杢代和人)の闇バイト問題の縦軸という構成で複雑だし。

と、ともすれば散漫になってもおかしくないドラマなのです。だけど、ママのナレーション「さて、次のお客さまは~」とか「夜もふけてまいりました~」的な、文言上ではどう見ても強引なブリッジが挟まれたその瞬間、謎に美しく前後がつながるマジカル!!そう、多少の強引さが垣間見えても、そこに宮崎美子ママが“いる”、それだけですべてが納得できてしまう魔法にかかってしまうのです。そんなマジカル体験を、ぜひ!!

『介護スナックベルサイユ』のここがすごい③
「“要素”が多い」(ディスではありません!)

先ほどサラッと“要素が多い”とか言いましたが、マジでホントに、このドラマ、“要素”が多いんです。だってこのドラマ、ファンタジックではあるけど、リアリティも重視してるし、風刺だし、社会派だけど、説教臭くなくて笑えるし、最後には料理も出てくるからグルメドラマでもあるし、老若男女問わずのキャラクターたちだし、時代も自由自在に前後するし。

体裁は1話完結でありながら、連続性もあって、闇バイトパートはサスペンスだし、“生”を描きながら、“死”も隣り合わせだし、不思議なワインの効能には謎解き感覚だってあるし、出てくる小道具たちも、不思議なワインをはじめ、そのノンアルバージョンもあって、ボトルキープ型の点滴もあるし、拭けば若返るおしぼりに、誤嚥(ごえん)を防ぐとろみビールも出てきちゃったりして、なんなら「介護スナックベルサイユ」という存在も、物理的にどれだけ遠くへ離れようとも目の前に現れるという意味不明の怖ろしさもあるし。

今回の第6話でも、それに加えて新たな“要素”も加わるしで…と、とにかく、何から理解して解決していいのか迷子になるほどの“要素過多”なのです。

だけど、だというのに、なぜだか結局やっぱり不思議と、全然混乱しないし、情報過多によるストレスもないし、辛いものと甘いものとすっぱいものと、熟成されてるものとが混ざっていて、一口目は「ん??」なんだけど、味わえば、すんごくまとまってる…三位一体!うまい!っていう感じ(わけわからん)。とにかく、そんな“まとまり体験”をぜひ(まとまり体験てなんだよ)!!

『介護スナックベルサイユ』のここがすごい④
「(脚本の)清水先生がすごい!」

最後にやっとまともな(!?)“すごい”、出ました。

やはり、何といってもこのドラマを成立させてしまう“すごさ”が、脚本の清水先生ですよ。とにかく、毎回紡がれる、お客さまたちのエピソードと、縦軸の闇バイト問題と、ときおり挿入されるスナックのスタッフたちのエピソードが濃厚で、回数を重ねてもまったくへたらないどころか、どんどん屈強に、濃密になっていくすごさ。

まず、そもそも、赤ん坊のときに取り違えられてしまった本当の私に会いたい!っていう、その導入から気になりまくるエピソードを、正味15分ほどで使いきってしまう贅沢さに加え(第1話参照)、自殺しようとしたあの瞬間にかかってきた電話の少女に会いたい!という発想力(第2話参照)、会いたい!けどお酒は飲めないから現実世界で代用という柔軟性(第3話参照)、で、前回の第5話なんて、会いたい“人”ではなく、最後に会いたいのは…一緒に語り合った自動販売機!?という独創性、そしてそれを見事“ドラマ”に変えてしまう表現力!!!

いやホントに、どっから、そんな物語が浮かんでくるんでしょうか。自動販売機と喋る話にしようって、どこをどうしたら、出てくるんですか?で、それでもって、あんな感動的なお話に仕上げてしまうんだから。ねぇ、先生!?(僕、誰だよ)