10月1日から始まった、中国の大型連休「国慶節」。
延べ23億人以上が大移動するといわれていますが、今年(2025年)は例年より1日長い8連休になることも手伝ってか、初日から空港には多くの人が詰めかけていました。

そんな、「国慶節」での海外旅行先として1番人気は、「日本」。成田空港には、中国からの多くの旅行客の姿が…。

2016年 中国人観光客の“爆買い”

大型連休で来日する中国人観光客というと、高級ブランド品や家電製品などを大量に買い込む、いわゆる“爆買い”が世を騒がせましたが、最近はそこにも変化があるようで…。

中国から来た観光客:
東京は今回で2回目です。ホテルを予約しようとも思ったのですが、高く付いてしまうので。

男性が泊まったのは格安の「民泊」。今、中国人観光客の間でも、“節約志向”が強まっているといいます。

それを裏付けるかのように、毎年10月1日は「都民の日」で入園料が無料になる、東京・上野動物園にも、多くの中国人観光客が訪れていました。

声をかけてみると、中国のSNSに「10月1日は都民の日で無料」だと紹介されていたので来たといいます。

中国人観光客:
これ(無料)を知って、必ず行きたいと思ったんです。
買い物する時は、以前の“爆買い”のようなやり方はしないでしょう。値段を全く見ずに、衝動的に買うようなことはしません。

実際に中国のSNSを調べてみると、「人気スポットが無料開放!」「観光スポットを無料で回ろう」といった、日本での旅をお得に楽しむための投稿が複数見つかりました。

中国人観光客:
この後、銀座へ行って歩き回ってみて、夕食もそこでします。

中国人観光客:
日本の化粧品が良いと聞いたので、また、洋服も見てみたいです。

無料で上野動物園を楽しんだ後、銀座に行くという中国人観光客の2人組。

節約するところは切り詰めながら、ショッピングやディナーにはお金をかけるのか?と思いきや…、後から旅行の様子を送ってもらったところ、化粧品店で買ったのはアイライナー1本だけ。

食事も、立ち食いそばらしきお店で、コスパ重視のカレーとそばを味わったそうです。

背景に“日本旅行”の価値観の変化と中国経済

「都民の日」で無料になるのは、上野動物園だけではありません。10月1日は入園無料の「葛西臨海水族園」を親子で楽しんだという中国から来た女性は…。

中国人観光客:
通常料金が一番高い場所を選びました。ここは通常700円です。

なんと、「都民の日」で一番お得感があると、葛西臨海水族園を選んだといいます。
その差は数百円ですが、彼女にとっては重要なポイントです。

別の中国人観光客も、外国人観光客向けの「スペシャルショッピングクーポン」を使用し、お得に買い物をしたと話します。

中国人観光客:
このバッグは中国にもあるかもしれませんが、こっち(日本)で買ったほうが安いかと。
これはショッピングモールで使える外国人向けの割引券です。中国で買うより半額に近い値段で買えました。

なぜ、中国人観光客の間で“節約志向”が広がっているのでしょうか。
中国人向けに日本の観光地などを紹介し、フォロワー数560万人を誇るインフルエンサー・林萍(リンピン)さんは、その背景をこう話します。

在日インフルエンサー・リンピンさん:
ちょっとした、賢く節約する日本旅行になっているかもしれないですね。
昔は日本旅行って、生涯1回、何年間で1回しか日本に旅行しかしなかったので、パッとお金を使って思い出を作るんですけど、最近はリピートする人がすごく増えています。

人生で数回の特別な旅行先から、何度もリピートしていく手軽な観光地に変化したことで、より「リーズナブルな旅」をする人が増えているというのです。

さらに、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏によると、不動産不況やトランプ関税などの影響で長引く中国経済の不況も影響しているといいます。

峯村健司氏:
もう買う物は買ったので、それよりもマニアックに「誰も行ったことのない秘境」、例えば青森の誰も聞いたことのない町に行ったり、SNSでその写真を上げることで皆さんのアテンションを得るみたいなことが流行していると。
お金をかけないで、いかに楽しむかということに移っています。例えば一時期北海道がはやっていたんですが、「北海道は行き飽きた」と。最近はむしろ青森や秋田、山形が人気です。

中国の事情も変わっていて、経済状況が悪くなってきていることで、お財布のひもがきゅっと厳しくなっている。ちょうど、日本のバブル崩壊後みたいな感じですよね。だからできるだけお金をかけずに楽しもうという感じになってきています。

(『サン!シャイン』 2025年10月2日放送より)