12月15日、上野動物園の双子パンダ・シャオシャオとレイレイが、期限とされていた来年2月20日を待たず1月下旬に中国へ返還されると発表されました。

この発表後初の開園日を迎えた16日、上野動物園にはその姿を一目見ようと早朝からパンダファンが押し寄せ、行列は隣接する上野公園の不忍池にまで到達し…、

不忍池にまで到達した行列

開園から1時間半後の午前11時の時点で3時間待ちになりました。
返還期限が1カ月早くなったことに、動揺する声も…
14年間毎日パンダの写真を撮り続けてきたという高氏貴博さんです。

14年間毎日パンダの撮影 高氏貴博さん:
もう当たり前の存在だった。パンダはまさかゼロになってしまう瞬間が出てくるなんて…、本当にもう想定外でしたのですごく寂しい。

上野動物園は16日から観覧方法を、自由観覧ではなく1人1分程度の時間制限付きの観覧に変更。

訪れた人たちは短い時間の中で写真や動画を撮影しながら、愛くるしいパンダの姿を目に焼き付けていました。

日本が“パンダフィーバー”に湧いた…「パンダ外交」の歴史

中国からのパンダの貸し出しは「パンダ外交」とも呼ばれ、日中友好の証として半世紀にわたり続いてきました。
日本に初めてパンダがやってきたのは1972年。

当時は中国からの贈与だった2頭のパンダ、カンカンとランラン。羽田空港に到着した際には警察が出動する厳戒態勢に。
そして、公開されると…、

パンダを見に来た子「おーいた!あーかわいいよ!」

無邪気な姿が人々を魅了します。

公開当日には約5万6000人もの人々が上野動物園に押し寄せる大騒動に。日本中が“パンダフィーバー”に湧きました。

前園長語る“パンダの思い出”…「最初に生まれた子が記憶に残る」

『サン!シャイン』は、パンダのことをよく知る上野動物園の前園長で、現在は日本パンダ保護協会の会長を務める土居利光さんに話を聞きました。

上野動物園前園長 日本パンダ保護協会 土居利光会長:
50年以上前からですね、パンダの飼育をしてきましたので、これで日本にいなくなっちゃうっていうのはちょっと寂しい感じがしますけれど…。

土居会長が上野動物園の園長に就任した2011年、当時いたパンダはオスのリーリーとメスのシンシン
現在飼育されているレイレイとシャオシャオの親にあたるパンダです。

Q. 一番の思い出は?
土居利光会長:

記憶に残っているのは…、いい記憶ではないんですけれど、自分で思うのがやっぱり最初に生まれた子どもですね。

そう言って話してくれたのは、シンシンが初めて産んだ赤ちゃんパンダのことでした。

土居利光会長:
朝、園長室に入ると庶務やってくれる方々の場所の間を突き抜けて園長室入るんですけど、その時にそっと耳打ちされて、「パンダがダメだったみたいですよ」と。

生まれてわずか6日後、赤ちゃんは誤嚥性の肺炎が原因となり死んでしまったのです。

<上野動物園・土居利光園長 当時の会見より>
死亡の原因も…、動物園ですのでいろんな動物が亡くなるんですけど…、その時に悲しい思いをする訳ですが…。

土居会長は涙ぐみ、言葉を詰まらせながらその死を報告していました。

その悲しい経験を乗り越え、2017年には双子パンダのお姉さんにあたるシャンシャン(2023年返還)が、2021年には現在飼育されているシャオシャオとレイレイが誕生。

シャオシャオとレイレイは飼育員たちが全力で見守り、元気に育ちました。

しかしこの2頭が中国に返還されると約50年ぶりに国内からパンダは不在に。
東京都は中国側に新たなパンダの貸し出しを求めていますが見通しは立っていません。
日本と中国の緊張状態が続く中、再び日本でパンダが見られる日は来るのでしょうか。

最後に会いたい…シャオシャオ・レイレイに会える方法は

今どうしても会いたいパンダ…。最後にどうやったらシャオシャオとレイレイに会えるのか、その方法は次の通り。

<上野動物園HPより>
・12月16日(月)~21日(日)整列順(予約不要)午後3時半締め切り(混雑状況により早まる可能性も)
・12月23日(火)~2026年1月12日(月・祝)ウェブ予約 先着約4500人/日
・2026年1月14日(水)~25日(日)ウェブ抽選 最大4400人/日
【観覧方法】
・「係員の誘導に従って1分程度で移動しながらの観覧」に変更
・12月27日(土)以降は検疫に伴い室内展示のみ
[休園日…毎週月曜日(1月12日営業、翌13日休園)、12月29日~1月1日]

宮澤智アナウンサー:
計算するとあと33日が会える日数となります。

今後パンダが見られるのかについて、中国問題に詳しいキヤノングローバル戦略研究所 上席研究員・峯村健司氏によると「パンダは日中友好の象徴、現在の日中関係が改善しないと再貸与は難しく数年はかかる」のではないかということです。

SPキャスター・武田鉄矢氏:
寂しゅうございますけれども、ここは耐えましょう。ただ、岩田さんによると中国に帰ったパンダ(シャンシャン)も見物人の声が日本語だと反応するんだそうで。聞き覚えがあるらしくて。

谷原章介キャスター:
覚えててくれてる?そうなると余計に会いに行きたくなっちゃう。

岩田明子氏:
呼べばニコッと笑うらしいですよ。“故郷”だからね、覚えててくれたらうれしいですよ。

(『サン!シャイン』2025年12月17日放送より)