12月18日から21日にかけて行われた、全日本フィギュアスケート選手権。
ミラノ・コルティナ オリンピックの開幕まで50日を切る中、12人の日本代表が決定。
21日に行われた全日本フィギュア女子フリーでは、今シーズンシニアデビューした17歳の中井亜美選手が4位入賞。そして3位に入った千葉百音選手(20)が初めて代表の座をつかみました。
勢いに乗る新星たちを抑え、大会5連覇を達成。代表の座をつかんだのが…今季限りでの引退を表明し、集大成となる全日本フィギュアに臨む坂本花織選手(25)。
坂本花織選手 今季世界最高得点で5連覇
三原舞依選手や樋口新葉選手、これまで共に戦ってきた同世代のライバルたちから「かおちゃん、がんばー!」の声が飛ぶ中、迎えた、運命のフリー。
演技冒頭、加速のついたダブルアクセルに成功。
そのまま勢いに乗ると、3回転ルッツ-2回転トーループのコンビネーションジャンプを鮮やかに決めます。
基礎点が1.1倍となる、演技後半。3回転フリップ-3回転トーループの連続3回転ジャンプに成功。女王らしい堂々たる演技で締めくくりました。
実況「坂本花織は最後まで強くあり続けました!偉大なチャンピオンの最後の全日本、仲間たちが涙しながら坂本の偉大さをたたえます」
会場に大歓声が響き渡る中、あふれんばかりの涙を見せた坂本選手。今季世界最高得点(※参考記録)をたたき出し、日本女子史上初となる3大会連続のオリンピック出場を決めました。
プレッシャーのかかる大舞台で、ミスなしの完璧な演技を見せた坂本選手に、ライバル選手たちも思わず涙…。
中井亜美選手「強すぎる、強すぎる」
演技終了後、坂本選手の元には…。
千葉百音選手「かおちゃん、おめでとう~!」
坂本花織選手「おめでとう」
千葉百音選手「よかった~」
島田麻央選手「おめでとう」
坂本選手と同じく、引退を表明した同世代の三原舞依選手は…。
三原選手「かおちゃん!」
坂本選手「見ててくれてありがとう」
三原選手「もう涙がさ、すごすぎてもうさ、かおちゃんのタオルびっしょびしょになって」
坂本選手「いいよ、ふけふけ顔」
三原選手「おめでとう、おつかれ~」
坂本花織選手:
ここまでたくさんの方に応援してもらって、先生方とか、トレーナーさんとか、本当にチームメイトとかも、たくさん支えて来てくれた人がいるので、その人たちの努力とかが無駄にならないように、感謝の気持ちを忘れず、すべりきれたらなと思っています。
織田信成さんが語る坂本選手の強さ
『サン!シャイン』では、プロフィギュアスケーターの織田信成さんに坂本選手の強さのポイントを聞きました。
①スケート技術の高さとスピード
②プログラムの複雑さ
織田信成さん:
スケートの素晴らしさを測るのにいろいろあるんですけど、まずスピード感・流れというのが坂本選手はほんまに素晴らしいなと。そこにあるエッジのコントロールという部分。ターンとかしながらでもしっかりバランスを崩さずきっちりターンできるというのも強いし。
プログラムの複雑さ、僕は坂本選手が世界一やと思っていて、すごく入り組んだプログラムになってるんですよね。
ジャンプいく前がすごく入り組んでるんですよ。普通やったらそこってもうちょっと止まって休んでもいいかなという気がするんですけど、そういうところでも全身を大きく表現しながら動きながら、動いて動いてジャンプにいってるんですよ。僕はここがすごいなと思っていて。体力的にも厳しいし、エッジが全然浅くない。そういう時にしっかり深いエッジに乗りながらできてるっていうのもすごいし、後半の3回転-3回転の連続も下りられてるというところが僕はすごいなと思っていて。
谷原章介キャスター:
深く乗れているというのはスピード感のこと?
織田信成さん:
(浅いと)重心が上がってるという感じですかね。どっちかというとすべってるというよりかは立ってるようなイメージ。それが花織ちゃんの場合は重心が低くて常にカーブにのってる。
「スケート」っていうんですけど、ときどきスケートのために「ラン」しちゃってる、走りにいっちゃってることが結構あります。ああいうのは悪くはないんですけど、高い演技構成点を取ろうと思ったらあんまりない方がやっぱりいい。
石戸諭氏:
そこができる人はあまりいないんですか?
織田信成さん:
おっしゃるとおりで、あれだけプログラムが複雑になってくると、どうしても動きが小さくなったりエッジが浅くなってくるんですけど、かおちゃん(坂本選手)はスケート技術もすごいんだけど、体力とか筋力、体幹というのがすごいから、すべてがその複雑なプログラムをこなすための体になっているというか。坂本選手だからこそできるプログラムじゃないかなというのは僕見ていて思います。この良さ、もっと見てる人に伝わってほしいな、伝わってるから優勝してるんですけど(笑)。プログラムの完成度だったりスケート技術の高さというところもフィギュアの楽しみの一つなんだよということです。
佐々木恭子キャスター:
ジャンプとジャンプの合間がすごいということですね。
織田信成さん:
今はどうしてもフィギュアって難度の高いジャンプ、空中戦になりがちですけど、いにしえより伝わりしスケートというのはこれですね。4回転とかトリプルアクセルするくらい難しいことをやっているという目線で僕は坂本選手のことはずっと見ているから、最終滑走でこれをやるというのが体力とか精神力もすごいなと思います。
(『サン!シャイン』2025年12月22日放送より)
