12月15・16日、東京・世田谷区で年末恒例の「ボロ市」が開催され、多くの人が詰めかけました。

440年以上の歴史があり、東京都の無形民俗文化財にも指定されている「世田谷ボロ市」。

かつては古着や農機具などが主流でしたが、いまでは雑貨や骨董品など様々な品が店先に並び、物価高が続く中で格安の商品も多いためか、15日、16日の2日間で約36万人が訪れたといいます。

――何を買ったのですか?
来場者(50代):

戦前のマネキンを買いました。趣味で、この年代のものをたくさん持っています。服から自転車から全て。

来場者(70代):
アンティークビスクドールのレプリカですね。

掘り出し物も多い「ボロ市」のウワサは、外国人観光客にも伝わっているようで、ドイツ人の男性は、仏事用の掛け軸3点をまとめて5000円で購入したといいます。

――ボロ市のことは、どこで知ったのですか?
ドイツ人観光客:

インターネットで知りました。年に4回しかないと聞いて「絶対に行かないといけない」と思いました。

今回が初めての「ボロ市」だというフランス出身のコランタンさんは、特別な思いを胸に訪れていました。

フランス出身 コランタンさん:
実は、今回日本に来る前に(フランスで)生うどんと、大福、餃子とかを作っていたんです、奥さんと一緒に。毎日朝市に出ていた。だから今度はチャンスがあれば、お店の形でやりたい。
フランスに作りたいお店は、団子も作りたいので、団子を並べるお皿にも興味がある。

フランスで妻と共に日本食の店を出したいというコランタンさん。お店で料理を提供する際に使うお皿を探しているといいます。

いくつか気になる物は見つけたものの、「500円~600円」の予算に合う一品にはなかなか出会えません。
その後、歩き続けること約20分、特に気になる品を発見!お値段は1000円と予算オーバーですが、購入すると決めました。

フランス出身 コランタンさん:
色的にもかわいいし、形も。予算ちょっとアップだけど、しっかりしてそうだから何年ももつと思うんで。

気に入る一品が見つかり、笑顔のコランタンさん。将来の夢に一歩近づいた喜びをかみしめながら帰っていきました。

「ボロ市」卒業…変わりゆく時代の中で

にぎわいを見せる中で、「ボロ市」への出店に一区切りを付ける決断をした人もいます。

約20年も骨董品を扱ってきた小川さん。卒業を決意した理由は、最近感じている、“需要の変化”でした。

古民藝 小川商店 小川陽一さん:
(ボロ市を)卒業しようかなと思っています。
今、雑貨屋さんとかがすごい増えているので、それがスタンダードなのかもしれないです。時代は変わっちゃいましたね。

かつては骨董品を扱う店が多く並んでいた「ボロ市」。
しかし、最近はより気軽に扱えるリーズナブルな品を手に取る人が増え、骨董品の需要は減っていると小川さんは感じているといいます。

古民藝 小川商店 小川陽一さん:
昔だったら、例えば「自分が持ってない」ってなったら、「自分の手元に置きたい」ってなるものが、(今は)そういう雰囲気があまり感じられない場合が多いので。
(物価高の影響は)ものすごく強いと思いますよ、物価高っていうのも。

親交のある同業者の小林さんが「ラストラスト詐欺ですか?」と笑いながら話しかけてきたのを、「いやいや、本当にやめます」とはにかみながら返す小川さん。
20年近くの付き合いとなる常連客も…。

20年来の常連客:
ボロ市自体もどんどん変わってきているので、それはもうしょうがないのかな。

日が暮れた午後5時。20年にも及ぶ小川さんの「ボロ市」の歴史の幕が、静かに閉じました。

古民藝 小川商店 小川陽一さん:
やっぱり20年近くここでやっていましたので、「終わりなんだ」っていう気持ちは、正直、今はあります。
ボロ市には育てていただいた部分もかなりありまして、今の形に添った形でやりつつも、日本の伝統とか文化、そこはボロ市でしか表現できない部分があると思うので、そこは残して、継承していただけたらありがたいですね。

(『サン!シャイン』 2025年12月17日放送より)