中国系オーナー企業に所有権が移った後、突然、家賃が2.5倍に値上げされ大きな問題となった東京・板橋区のマンション。
マンション内で民泊を始めたのか、外国人旅行者らしき人たちも出入りするようになり…。
住人らが家賃値上げを拒否する意志を書面で伝えたところ、マンション内のエレベーターが停止・これまで管理会社が行っていたごみ出しの準備や、周辺の掃除もストップする事態となりました。
その後、6月には国会でも問題視され、『サン!シャイン』も含めたメディアなどに大きく取り上げられたこの騒動。
その後、問題の広がりを見てか、エレベーターの運転は再開され、家賃の値上げも撤回されましたが、今度はマンションの所有権が、別の中国系の人物が代表を務める会社に移転。
すると、新たな問題が発生したのです。
8月には、新オーナー会社が電気料金を支払わず、共有部の灯りが消え、住人たちが電気料金を立て替える事態に。
立て続けに起こる騒動に住人は減り続け、ついに半数以下になってしまいました。
住人らが「損害賠償」訴訟に踏み切る
騒動から始まってから約1年、あのマンションは今どうなっているのか?
『サン!シャイン』取材班が改めて訪れてみると、現在のオーナー会社が新たに管理会社を入れたことにより、ゴミ出しの準備など、住人の負担が改善された部分もあるといいます。
しかし、長期におよぶ騒動を受けて、住人や元住人らは、家賃値上げをつきつけてきた前オーナー会社と、現在のオーナー会社に対し、民事訴訟を起こしていました。
住人代表 鮫島さん:
集団訴訟というのを提起いたしました。東京地裁の方に対しまして訴状を出しました。一般的な常識だけの額しか求めておりません、12人で約1000万円弱ぐらいですかね。
住人らは、「突然のエレベーター停止」、「共用部の掃除を余儀なくされたこと」などについて、損害賠償として約1000万円を請求しています。
マンション住人(79):
エレベーターが止められた。私は膝も悪いので…その時の損害賠償ですよね。
また、マンションを出た際に、本来返ってくるべき敷金が戻らず、その返却を求めている元住人も。
元マンション住人:
還暦を過ぎているので、やはり年齢的に(賃貸を)借してくれるところが見つからないということで、こちら(実家)に戻りました。
敷金の精算が全くできていないということで、弁護士の方にお願いして「集団訴訟」にしたのですが、各種費用が発生していますので、戻ってきてもらわないと困りますね。
あとは司法に委ねて…と思っていたのも、つかの間。
住人とその弁護士によると、2社とも裁判所からの通知を受け取っておらず、11月に予定されていた裁判が延期になってしまったのです。
連絡を取ることもできず、住人たちに不安が広がります。
マンション住人(79):
どんな不安があったとしても…考えてくださいよ、もうすぐ80になるんですよ。
この年で新しいところ…住むにも借りられない年ですよね、年齢的に。私なんか、引っ越すこともできないし。
住人代表 鮫島さん:
一体いつになったら解決するんだろうって、不安でしかない。
我々が裁判を起こしたのは、オーナー側と対話がしたいのために起こしている裁判ですのでね。普通でいいんです、普通に住める状態、安心できる状態に戻してもらいたい。
今後の展開は?「夜逃げをしてしまった可能性も」
中国に滞在経験があり、外国人・国際案件に精通している福原啓介弁護士に、今後この問題がどのように進展していくか聞きました。
福原啓介弁護士:
訴えというものは相手側に届かなければ始まらないというのが前提になります。
今回、なぜ企業側が訴状を受け取らなかったかという原因ですよね、もしかしたら居留守だったかもしれませんし、場合によっては今回の紛争を避けるために、夜逃げをしてしまった可能性もあるので、そういうところも含めて調査する必要があります。
調査をした上で、裁判所の方で訴状の送達をどうするのかによって、最終的に第一回口頭弁論の日程を改めて調整するところが問題になってくると。
福原啓介弁護士:
日本には「借地借家法」というものがありますので、ある程度きちんと住人がルールを守っていれば追い出されないようになっているのですが、今回の件のような、貸主側がきちんとルールを守らない場合に、どう対応していけばいいのかというところは、新たな課題だと。
谷原章介キャスター:
安定的に生活するというのもひとつの権利だと思うんです。そこが脅かされるということになった場合、きちんと国が介入してほしいですね。
佐々木恭子キャスター:
やはり貸主が外国人である場合、どういう資格が必要なのかということは、もう少し制度設計される必要がありますよね。
谷原章介キャスター:
国籍関係なく、そういう悪意的なオーナーとういうのはいると思うので、きちんと国が、悪質なオーナーという言い方は良くないかもですが、きちんと取り締まる、罰則的に懲罰的にというより、住民の代わりに肩代わりをして取り立てる…?なのか。守る制度を構築してもらえないですかね。
福原啓介弁護士:
やはり今回の件のように、被害を受けた方がいたときに、金銭的な損害もそうですし、そういう部分について、果たしてどう補填していくのかという話も、一つの救済の方法としては考えられると思うのですが、その部分については、国が補填するなら予算の話もあると思いますし、どうバランスを取るかは制度論の話になってくると思います。
(『サン!シャイン』 2025年12月25日放送より)
