国内屈指の巨大テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」。

アジア最大級の来場者数を誇り、12月はクリスマスイベントを開催していることもあってか、パーク内は連日多くの人でにぎわっています。

『サン!シャイン』は、訪れたゲストを笑顔にするために、閉園後も奮闘するクルーたちを取材。華やかなパークを支える“裏側”に迫りました。

閉園後のパークで働く人々

日中のにぎやかさから一転、静まりかえった閉園後のパーク内。

仕事を終えたクルーたちが次々とやってきたのは、制服などの管理をしている「ワードローブフロア」です。

「ワードローブ」のクルーが、ポケットの中に何か入っていないか、ボールペンなどでシミができていないかチェックし、次々と洗濯機に入れていきます。

パーク内で1日に洗濯する数は、最大で約5000点。担当クルーは交代制で、24時間稼働しています。洗濯したものはエリア別にラックで管理し、保管されている総数は約10万点にのぼるといいます。

入社16年 ワードローブチーム 奥田修功さん(63):
すごい量なので、初めに入社した時は、なかなか覚えることができずに、どれが何のワードローブなのか分からなかったころはありましたね。
こちらのワードローブなんですけど、ジュラシックパークエリアのディスカバリーレストランという、レストランのワードローブになっています。(恐竜が)並んで(食事を)取っている絵柄があります。

子どもに人気の「セサミストリートゾーン」で働くクルーのワードローブには、膝パットが入っています。

子どもと同じ目線で話すことを大切にしているクルーたちが膝をつくことが多いため、パットが入っている仕様に改良されたといいます。

ボタンが取れている物があれば、すぐに補修。これもワードローブクルーの重要な仕事です。

ワードローブチーム 奥田修功さん(63):
クルーにとってすごく心地よい状態でいてもらうっていうのが、僕にとって一番やりたいというか、そういうふうになってほしいって思いで、管理をしています。

パーク内には、そんな夜勤のクルーを支える施設もあります。

パーク内で働く1万5000人のクルーのための従業員用食堂「クルーカフェ」。
日中に加え、午前1時から午前4時まで営業し、メニューはラーメンやカレーライスなどの他に、安価でボリューム満点の「バリューセット(360円)」、ピザやポテトなどUSJらしい料理が並んだ「ユニバセット(360円)」など約150種類のメニューを提供しています。

USJクルー:
おいしいです。夜も、こうやって温かいのを食べられるんで、すごく助かっています。
(以前は)パンの自動販売機とかで食べていたんですけど。

元々は日中だけの営業だったという食堂。しかし、真夜中に働くクルーにも食事を楽しんでほしいと、2年前から深夜営業も行われるようになりました。

クルーカフェマネージャー 緒方広宣シェフ(60):
我々のミッションはクルーの心と体に栄養を届ける。ゲストの前で頑張っているクルーがいっときの休憩をする時に、できるだけ心穏やかになれるような接客を心がけています。

さらに、クルーカフェで使用された廃油はバイオ燃料に生まれ変わり、パーク内を彩るイルミネーションや、人気アトラクション「JAWS」のボートなどにも使用されているといいます。

“あすのゲストの笑顔のために”

閉園後のパークでは、翌日のゲストの笑顔のために、様々な人が働いています。

フードサービス部 キッチンオペレーション
堀江貴士さん(40):

(ゲストが)写真を撮った後も、しっかり熱々の状態で提供できているかなと。

異国気分が味わえる「クリスマス・マーケット」のフード販売をするカートでは、ゲストがフードの写真を撮った後も温かい状態で飲めるよう、限定メニューの「ピザスープ」の温度確認が行われていました。

フードサービス部 キッチンオペレーション
堀江貴士さん(40):

ゲストが手に取った時に「わぁすごい!」とかっていうような、「ワオ!」が生まれている瞬間を見るっていうのは、すごく楽しい瞬間ではあります。
安心安全な食事を提供して、USJにしかない食体験をしてもらうっていうことが、我々の使命かなと思っております。

イルミネーションの点検が行われる中、ひとり黙々と暗がりでライトを持って作業する人がいました。

――何をしているんですか?
ファシリティーメンテナンス 櫻井 一樹さん(49):

今はプロップス(装飾や置物)の点検をしています。塗装が剥がれているものに関しては、補修や塗装のやり直しが必要になってきますので。

ファシリティーメンテナンスの櫻井さん。パーク内に設置されている装飾などの塗装に問題がないか、ライトで照らしながら細かく確認しています。

ファシリティーメンテナンス 櫻井 一樹さん(49):
この木箱は塗装の剥げがだいぶ進行してきているので、きょう部分的に塗装をやり直そうと思います。

そういって櫻井さんが手に取ったのは、映画「JAWS」が舞台の「アミティ・ビレッジ」の木箱。上部の塗装が一部剥がれてしまっています。

一口に塗り直しと言っても、USJでは、各エリアの世界観に合わせて、“エイジング”と呼ばれる「物を古くなったように見せる」技術で塗装されているものが多くあります。

例えば、「ウォーターワールド」のエリアは、「海の底に沈み一度滅びた文明」という世界観のため、装飾もサビや傷みを強調。

一方、映画「JAWS」を舞台にしたエリアは漁村が舞台のため、潮風による風化などがリアルに再現されています。

一度、箱本来の色味にベースを塗って、ここからが櫻井さんの腕の見せどころです。

ファシリティーメンテナンス 櫻井 一樹さん(49):
ここから、もう少し古めかしく見えるような塗装をしていこうと思います。
遊びに来て世界に没入できるような(世界観を)作っていけたらなと思っています。

ブラシやタオルを使って、潮風によるダメージやほこりを再現していきます。

作業開始から約50分、エイジング塗装によって、潮風にさらされて傷んだ木材の様子がリアルに再現された木箱が出来上がりました。

開園まであと5時間に迫った、午前3時30分。
パーク内では、約100mもある長いホースを使って、ごみやほこりなどを洗い流す作業が行われていました。

写真映えする窓や扉のガラスを丁寧に拭いていくクルー。開園までに拭く窓ガラスの枚数は、毎日数百枚にものぼるといいます。

日が昇った午前7時。ゲート前には多くのゲストが列をなし、続々と出勤してきたクルーたちもワードローブチームが並べた制服を手に取り、担当するエリアに向かいます。

そしてついに開園!パークでの“特別な時間”が始まります。
クリスマス・マーケットでは、温度確認が行われていたスープを多くのゲストが購入。

ゲスト:
すごくアツアツ、おいしいね!

「セサミストリートゾーン」では、きれいに洗濯された制服を身にまとったクルーが、膝をついて子どもたちに対応していました。

さらに、深夜にエイジング塗装が施された木箱を常連だというゲストに見てもらうと…。

ゲスト:
え!すごーい!年季入ってる。(USJは)そこの世界に本当に入った感じになれるってところが、世界観にあふれているなって思っています。

深夜のクルーたちの奮闘によって、この日もパーク内は笑顔であふれていました。

(『サン!シャイン』2025年12月18日放送より)