7月27日、千秋楽を12勝2敗の単独トップで迎えた前頭15枚目・琴勝峰(25)。
ウクライナ出身の安青錦に見事「突き落とし」で勝利し、13勝2敗の成績で初優勝を果たしました。

そんな琴勝峰はいったいどんな人物なのか?
歓喜に包まれた地元を取材しました。

「気持ちの優しい子」支えた両親の存在

27日、『サン!シャイン』が向かったのは千葉・柏市。

琴勝峰が小学校時代に入団した、名門で知られる「柏相撲少年団」。

同じ佐渡ヶ嶽部屋に所属する2歳年上の兄弟子、大関・琴櫻も同じ少年団で稽古に励んでいました。

小学4年生から6年間指導した永井明慶さんに当時の琴勝峰について聞くと…。

琴勝峰を指導した 永井明慶さん:
気持ちがすごい優しい子だったので。小5の時かな、予選負けちゃって全国に行けないという時がありましたね。

――負けた相手の気持ちになってしまう?
けがさせちゃいけないというような感じで。

そんな心優しい琴勝峰を変えたのが、父親の学さんだったといいます。
地元・柏市で居酒屋を営む両親。父・学さんは週6回ジムに通う現役のボディービルダーです。

永井明慶さん:
中学生ながらね、胸を突き刺さるようなあたりでした。イノシシのような感じ。痛かった、本当に痛かった。
お父さんがボディービルダーっていうこともあったので、毎日、筋トレと柔軟運動っていうのは欠かさず、100kg以上の体ありましたけど、足も本当にクラスでリレーに出るくらい速かった。

母・カツ江さんによると、幼い頃からよく食べる子で、家ではビッグサイズのギョーザを100個作っていたそうです。
さらに、お肉が大好きで、骨付きのお肉を抱えながら寝ていたというエピソードも。

そして、そんな父の影響なのか、琴勝峰にはこんな怪力伝説が。

・お風呂で足を伸ばしたら浴槽に穴が空いてしまった
・階段で手すりにかけたタオルを引いたら階段の手すりが壊れてしまった

また、相撲を始めるときに、父・学さんと“3つの約束”を交わしていたそうです。

・負けたら誰が相手でも「もう一丁」と立ち向かうこと
・負けて泣けるくらい本気で取り組むこと
・全国大会に出場すること

永井さんによると、琴勝峰は中1になるまで相撲で父親に勝てなかったそうです。父親に勝つのも目標のひとつで、「試合で勝って褒められたくて頑張っていた」といいます。
二人三脚でトレーニングに励んだ結果、中学3年生の時には全国大会で優勝するなど、無類の強さを誇るまでに成長。

その後、角界入りし25歳で迎えた今場所。柏市出身の力士で、初めての優勝力士となりました。

琴勝峰優勝に喜ぶ永井さんと子供たち

永井明慶さん:
夢心地ですね。うれしいを通り越して。
柏の土俵で頑張った子が幕内の最高優勝をつかめるというのはうれしい限り。
子供たちの希望になったと思います。

専門家に聞く琴勝峰親子

周りに支えられ、初優勝を勝ち取った琴勝峰。
『サン!シャイン』スタジオでは相撲ジャーナリストの横野レイコ氏に琴勝峰について聞きました。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
琴勝峰関強くなると思ったから、私、数年前からお父さんの店に行っているんです。絶対強くなるとベテランの記者たちと行く会があって。
5年前はこんな亀仙人じゃなかったんですけど、どんどんひげが伸びてきて、お母さんもお父さんもお料理が上手だから琴勝峰兄弟は多分この料理で育ったし。トレーニング方法とかいったらプロ並みなんですよ。「プロテインはこれを飲んだ方がいい」とか、聞いたら止まらない。小さい頃から英才教育をしていたと思います。

谷原章介キャスター:
琴勝峰関にとってお父さんはどういう存在なんですか?

横野レイコ氏:
相撲を始めるきっかけを作ってくれて、小さい頃から最初の師匠がお父さんだと思います。プロに入って、今の相撲界ってトレーニングも取り入れたりする中で、トレーニング方法なんかは今もお父さんに聞いたりアドバイスをもらっているということで、尊敬しているお父さんだと思います。

谷原章介キャスター:
琴勝峰関の今後の活躍はどう見ていますか?

横野レイコ氏:
今までは悩んだり考え込むタイプだったんですけど、この優勝がすごく自信になって、これまでは「上を目指す」って口に出さなかった人なんですけど、「とりあえずは三役で。またその上もどんどん狙っていきたいです」ってきのう(27日)言いましたから、これは期待できると思います。

(『サン!シャイン』2025年7月28日放送より)