桐生祥秀選手が持つ、陸上男子100mの高校記録『10秒01』が、7月26日に開催されたインターハイで12年ぶりに更新されました。

星稜高校 清水空跳選手:
本当に『10秒00』という自分でも今衝撃のタイムなんですけど、この1台を乗り越え、0台っていうのを見ることができて、本当にうれしいです。伝説を作ったのかなという気がします。

新記録となる『10.00』を出して自ら「伝説を作った」と豪語するのは、石川・星稜高校の2年・清水空跳選手(16)。
今回の記録で、18歳以下の世界記録も更新。さらにインターハイでは200mも優勝し2つの金メダルを手にしました。

星稜高校 清水空跳選手:
100m、200mでインターハイ2冠するっていうのが目標だったので、そこ達成できて本当にうれしいですし、200m優勝できるかっていうところが不安だったんですけど、しっかりこうやって優勝しきれて、良い姿をいろんな人に見せられたかと思います。

清水空跳選手とは一体どんな人物なのか?『サン!シャイン』は、清水選手を支えた“2人の恩師”を取材しました。

恩師に告げた「優勝宣言」

“史上最速高校生”として、一躍注目されている清水選手。小学4年生から通っていた陸上教室の恩師・野村泰裕さんに、インターハイ前、こんな話をしていたといいます。

清水選手の小学校時代の恩師 野村泰裕さん:
全国大会行きたいっていうのは、ずっと夢だったので。
「今度、インターハイ100mと200m優勝するから」って言っていたんで、「じゃあ、頑張ってね」って言って別れて。1週間後に10秒00でしょ?本当にびっくりして、言葉が出なかったですね。

恩師に「優勝する」と宣言しての有言実行。野村さんは、そんな清水選手を子どもの頃から“負けず嫌い”な少年だったと話します。

野村泰裕さん:
負けず嫌いなところもあって、リレー遊びっていう、バトンをもって班対抗のリレーで遊ぶんだけど、結構真剣にやっていて、負けると相当悔しい感じでしたね。

勝負となれば、いつも全力。
県大会のリレーでは、トップでバトンを受け取ると容赦なく後続をぶっちぎる走りを披露し、名前の通り、まさに“空を跳ぶ”ように走る姿が印象的だったといいます。

野村泰裕さん:
(陸上教室に通って)最初の記録17秒16が、13秒18までいったんだから、4秒縮めていることになりますね、3年間で。伸びは大きいほうです。1学年上がる度に、1秒縮むんですよ、平均すれば。

小学生時代は、走る度に記録を伸ばしていきました。

体格差を跳ね返す“回転数”強化

急成長の一方で、懸念されていたのはその体格。
現在の身長は164cm。陸上の短距離では背の低い選手は不利だとされていますが、中学時代の陸上部の顧問・上林奈穂さんは、一目見た時にその走りに大きな可能性を感じたといいます。

清水選手の中学校時代の恩師 上林奈穂さん:
(足が地面に)接地する時のタイミングがすごく上手で、短い接地で前にぐんぐん進むイメージはありました。

小柄な身長をカバーするため、中学時代、清水選手が取り組んだのは、股関節を強化し、ストライド(歩幅)を伸ばすことでした。

上林奈穂さん:
腕の振り方が後ろまで…90度で後ろまでくるんです。そうするとストライド(歩幅)も伸びますし、あとは小柄の分ピッチが(ウサイン)ボルトよりも速いのではないでしょうか。

今やその回転力は、世界最速の男、ウサイン・ボルト選手にも匹敵するといいます。
さらに、予選・準決勝・決勝を走りきる体力強化のために、しっかりとした走り込みも行いました。

小学校、中学校で磨きをかけた“走り”は、高校2年の夏、歴史を塗り替える走りで大きく花開くかたちとなったのです。

(『サン!シャイン』 2025年7月29日放送より)