コメの高騰を巡り、石破首相から、価格高騰の要因や対応の検証などを指示された小泉進次郎農水相(44)。

政府の関係閣僚会議に先立って行われた、衆議院の農水委員会で特に問題視したのは、「コメの複雑な流通ルート」です。

小泉進次郎農水相:
ほかの食料品と比べて、コメの流通というのは極めて“複雑怪奇”だと、そして“ブラックボックス”があると、こういった指摘が多々寄せられています。まず、一体、コメの流通というのはどういった状況なのかを可視化させたい。

さらに、社名は伏せるとしながらも、大手卸売の利益が跳ね上がっていることを強調し、流通のあり方が、高騰の原因のひとつだと考えられる、と指摘しました。

小泉進次郎農水相:
卸の大手の売上高・営業利益。これ見ますと、ある会社の売上高は前年比で120%を超え、そして営業利益はですね、なんと対前年比500%ぐらいです。そして他の大手卸も、営業利益は250%超えていますね。やはりこういったことも含めて、よくお考えいただきたいと。

小泉進次郎農水相:
今までの流通のすべてを1回総ざらいをして、あり方を見ていくという方向性が私は不可欠なのではないかなと思っています。

コメ不足「地元の集荷業者やブローカーみたいなのが」

小泉農水相から飛び出した「複雑怪奇」「ブラックボックス」発言。流通経済研究所の主席研究員である折笠俊輔氏はコメの流通問題について、「コメ不足」が密接に関係していると話します。

流通経済研究所 主席研究員 折笠俊輔氏:
2、3年前まで5kg2000円とかっていうお米を、安定的に供給できてきたシステムなので、ものすごく問題があるとは言いがたいんですが、それは「コメ余り」を前提とした流通システムだったんです。
今回コメ不足になった瞬間に、今まで集荷業者で一番多かった農協の4割あったシェアが26%まで令和6年産は下がりました。代わりに、地元の集荷業者やブローカーみたいなのが出てきて…、いろんな人がコメを買い集めて、産地側の集荷業者で転売とかも結構あったと聞いています。今年のような“コメ不足”という異常事態になった瞬間に、かなり“ブラックボックス”、見えないところが増えたと。

――今までのシステムがブラックボックスではなく、今年のような“特異”なときに起こったと?
流通経済研究所 折笠俊輔氏:

コメ余りの中では五次問屋とかまで通すと価格競争力がなくなるので、余っていればもっと安い業者から買えてしまうんです。しかし、コメ不足となった瞬間に、「ない」と分かれば「足元を見合う」という動きになって、いろんな人が参入してきて、見えない動きが増えた。
特にJAに行かなかったことで、国が把握できない動きが増えてしまい、特に今年は「複雑怪奇」な「ブラックボックス」が生まれたのではないかと。

“五次問屋”ドン・キホーテ運営が指摘

ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営する株式会社PPIHも、現在のコメ流通ルートに対し、卸売業者が「五次問屋」まで存在しており、それぞれに中間コストやマージンがかかるため、価格が上昇していると指摘しています。

流通経済研究所 折笠俊輔氏:
一般的に問屋が5個入るというケースはほとんどないですが、集荷業者と挙げている部分が、ある意味問屋としてカウントすると、集荷の所で色んな人が入ってくるというのは、十分ありうると。
通常、集荷業者と卸問屋の間の部分が、年間4000t 、5000t 扱う事業者の場合は国に報告が義務付けられているんです、どれぐらいをいくらで売ったのかと。
ただ、集荷業者のところに新しい人が参入してコメを買ったときに、規模が小さい事業者は、報告義務がないので、本当に「ブラックボックス」になってしまっていると。
今年は、この集荷業者まで含めて五次問屋というか、色んなところに転売されて5軒も通っているじゃないかというのが、ドン・キホーテが言いたいことだと思います。
(通常)大手さんなら一次問屋で。地方で地元の卸さんに配達してというときでも、二次問屋、多くて三次問屋どまりかと。

――今後またコメ不足になると予測されれば、また問屋間の融通が五次まで起こってしまう可能性がありえる?
流通経済研究所 折笠俊輔氏:

このままいくと、またコメ不足になれば、間に入ってマージンを抜いていくような人が現れたり、集荷をJAの代わりにコメをすごく高い価格で買いたたいていく業者さんが出たりとか、それはあり得ると思います。

スペシャルキャスター カズレーザー:
僕ら消費者ができることは、そういうケースが発生した場合に高いお米を絶対に買わないというようなスタンスになると、もうけが出ないから、転売のようなことをしなくなるんですかね?

流通経済研究所 折笠俊輔氏:
そうですね、実際に売れるからというのが背景にあってやっているので、そういった意味では消費者の皆さまとしては、あまり高いコメは買わないというのはそうですし、場合によっては生産者さんがネットで直接売っていたり、直売所で売っているようなお米を優先的に買っていくとか、そういう消費者としての抵抗じゃないですが、あると思います。

谷原章介キャスター:
現実、コメがないから買わなくてはという人も多かったと思うし、だからこそ小泉農水相は2000円で出すということをやったのかなと。

スペシャルキャスター カズレーザー:
今のコメの高騰の本当の要因は?

流通経済研究所 折笠俊輔氏:
根本の要因はコメの量が足りてないことですね。「そもそも数が足りないから高くなるぞ」という予想が出たから、流通の中で転売業者が入ってきたりという課題が出てきた。
元々の量の不足が全ての根本原因ですね。

谷原章介キャスター:
令和6年産はどれくらい足りなかったと?

流通経済研究所 折笠俊輔氏:
私の予測ですが、30万t から40万t くらい足りなかった。

(『サン!シャイン』 2025年6月6日放送より)