年末にかけて増加する交通事故。例年、12月は交通事故が最も多くなる傾向に…。
首都圏の大動脈である首都高速道路。その安全を守っているのが、首都高速道路パトロール隊です。
事故発生時には現場に急行し迅速に対応。そして、落下物などを素早く回収。事故を未然に防ぎます。
『サン!シャイン』は首都高パトロール隊に密着。24時間365日体制で首都高の安全を守る隊員の仕事に迫ります。
追突事故で破片散乱
今回取材したのは、麻布交通管理部・首都高パトロール隊。24時間体制で事故や落下物がないか、パトロールを行っています。
管制員「上りの明大前、カメラ確認で(車が)2台停止中」
隊員「了解しました」
現場付近へ向かうと渋滞が発生しています。
隊員「この先事故が発生しております。走行ご注意ください」
目の前には車の部品と思われるモノが散乱しています。さらに、破損した車が。
発煙筒と三角コーンを置きながら、車両を誘導。大きな破片を道路脇に寄せると、すぐ横を車が走る中で現場の整備にあたる隊員。
隊員「おけがはないですか?大丈夫ですかね。どういった事故ですか?」
トラックの運転手「20~30キロで(運転していて)、(渋滞していて後ろから)コーンって」
隊員「後ろから突っ込まれた感じですか?」
トラックの運転手「はい」
衝突した後続車両は、左側面が大きくめくれ上がり、内部がむき出しの状態になっていました。
隊員「ぶつかったときの話を伺いたいんですけど」
事故車両の運転手「居眠り運転でちょっと…」
運転手は渋滞中に居眠り運転をしてしまい、衝突をよけようとしてハンドルを切ったところ、左フロントがトラックにぶつかったといいます。
隊員は破損した車体を確認すると、めくれていた部分を粘着テープで固定。応急処置を施します。事故車両は路側帯まで自走で移動。双方にけがはなかったということです。
2024年、首都高で起きた事故は9295件(1日あたり約25件)。全体の約4割を占めるのが追突事故です。
時にはレッカー車を出動させて事故車両の移動を行うこともあります。
そして、パトロール隊の重要な任務が事故発生時の“車線規制”。車が猛スピードで通りすぎるすぐそばで、二次事故を防ぐため、交通規制を行っています。
カメラに映る白煙を上げる車…いったい何が?
そのパトロール隊を指揮・統制しているのが、交通管制室。首都高に設置された約2600台のカメラで監視し、あらゆる事態に目を光らせています。
常時7人体制で監視。1分1秒を争う事故やトラブルへの対応を即座に判断します。
そのカメラに…。
管制員「何これ…ヤバいね」
管制員「えーーーーー。エンジン止めて…。逃げてる逃げてる」
管制員「だめだよこれは…」
管制員「燃えちゃうよ…」
山手トンネルの出口付近で白煙をあげる車両を発見。そこには人の姿もあります。
管制員「車両からかなり白煙が出ています」
隊員「車両から白煙、了解しました」
管制員「五反田の分流、近い車両応答願います」
トンネル内が煙に包まれる中、近くにいるパトロール隊に出動を要請。管制室に緊張が高まります。
指示から約1分後…パトロール隊が到着。
管制員「エンジン切れているかだけ先に確認してもらっていいですか」
隊員は発煙筒を設置し、他の車を誘導。原因はオーバーヒートで、運転手にけがはありませんでした。
落下物回収で安全確保
そして、パトロール隊の任務で重要なのが、高速道路上の落下物の回収です。
現場に到着した隊員は、すぐさま落下した赤いプラスチックの破片を回収。中には金属の物体も。車を移動させると…散乱している破片を拾い集めていきます。
隊員「麻袋出して!」
隊員「スコップですかね?」
隊員「あープラスチック製のスコップ」
赤いプラスチックは、よく見るとスコップの持ち手部分でした。
続いて向かった現場で回収されたのは…。
隊員「なんだこれは?イタッ!ハリガネか?」
建築用のハリガネでした。
路上にナゾの“巨大袋”
交通量が増える午前8時頃。
管制員「はい、首都高速緊急ダイヤルです。どうされました?はい、落下物、ありがとうございます」
管制員「けっこうでかいな…」
道路中央に「大きな袋が落ちている」との通報。走行する車もぶつからないよう徐行運転でよけていきます。
管制員「上りの護国寺合流先、音羽、(道路の)センターにでかいトン袋が落ちてます。かなり邪魔になっているので排除に行ってください」
隊員「了解しました。右に入ります、右に入ります」
パトロール隊が現場へ向かうと、道路の真ん中に大きな袋が…。
取材スタッフ:
え?なんだアレ…。
近づいていった隊員よりも袋は大きく見えます。
隊員「行けます、行けます!」
隊員「行ける?じゃあ…準備できたら教えて!」
隊員「先の待機所まで運びます、どうぞ」
管制員「十分気をつけて行ってください」
隊員「落下物を排除を行っています。1車線の走行をお願いします」
袋を路肩に移動させてから約2分。パトロール隊のトラックが到着します。
隊員「中身なに?」
隊員「中身…軽いです」
隊員「発砲スチロール?」
回収班「発泡スチロールでいいと思います」
袋は「トン袋」と呼ばれる土砂などを入れるもので、中に入っていたのは発砲スチロールでした。隊員到着から約10分。落下物は無事に回収されました。
2024年度の首都高速での落下物処理件数は1万8415件(1日平均約50件)。その多くは木材や鉄くずなどだといいます。
過去には、車のバンパーやはしご、一輪車、スノーボードが落ちていた事例も。
もし道路に物を落下させてしまったり、落下物を発見したら…道路緊急ダイヤル「♯9910」に連絡を。首都高に関する緊急連絡は「1」で報告・通報することができます。
入社1年目 首都高速道路 柏原陽太隊員:
我々の仕事は道路の確保、どうにかして(停止車両を)移動できないか。人命が最優先ですけど。首都高速道路という日本の大動脈を守る仕事なので常日頃からやりがいを感じています。
(『サン!シャイン』2025年12月8日放送より)
