12月2日から、「マイナ保険証」に完全移行する日本の健康保険証の仕組み。直前の週末には、市役所に多くの人が駆け込み申請に訪れていました。

移行が進む一方で、11月27日には、全国の医師らで構成する団体、「全国保険医団体連合会」が、「マイナ保険証」の利用状況やトラブルに関する調査結果を公表。

マイナ保険証の不具合などで資格確認ができず、患者が窓口で「いったん10割負担」するケースが、2025年の8月以降に約3400件あったことが明らかになりました。
これは、前年同期の調査から2000件超増加しているといいます。

実際にマイナ保険証移行により、トラブルなどは増えているのでしょうか?
『サン!シャイン』が、1日に東京・国分寺市にある「国分寺整形外科」リハビリクリニックを取材してみると、ほとんどの人はマイナ保険証を提示していました。

患者(50代):
(薬などの)情報を共有してもらえるので、なんか重複した薬とか重複したその情報の混乱とかがなくて、私的にはスムーズな制度だなと思っています。

便利だという声がある一方で、クリニック側からはこんな声も…。

医療社団法人真聖会 国分寺整形外科リハビリクリニック
医療事務 金澤幸代主任:

マイナンバーを持っているので、もうこれで保険が使えるだろうって皆さまがやはりいらっしゃって…。
実際、読み込んでこの保険が使えないってなった時に、「なんで使えないんだ?カードを持っているのに」「保険証であれば持っていれば使えるものだったのに」「マイナンバー持っているのに、なんで保険が確認できないんだ」といったようなところはございました。

――10割負担になった患者さんは過去にいますか?
そうですね、やはりそのマイナンバーの切り替えまでに保険切り替え、
例えば国保から社保ですね、社保から国保もそうですけれども、切り替えにちょっと時間を要することがありまして、切り替えのタイミングによっては資格が無効・確認できない状況も発生しますので、そういった際に保険が確認できないものですから、自費で10割をご負担いただくっていうケースは結構多いですね。

保険情報が確認できない?「いったん10割負担」

全国保険医団体連合会によると、「いったん10割負担」が発生してしまう主な理由として、以下の3つがあるといいます。(※基本的に初診の場合)

▼有効期限切れ
マイナンバーカードの有効期限は10年だが、マイナ保険証の電子証明書の有効期限は5年。一定の猶予期間はあるものの、期限が切れると、マイナ保険証として使えなくなり、医療機関で情報が読み込めなくなることで、保険情報などが確認できなくなる。
特に最近は、有効期限を迎える人が増えているため、このケースは増加している。

▼住所や保険の変更が反映されていない
転職や転居によって住所や保険が変更された場合、利用者が手続きをちゃんとしていても、保険組合などの入力が遅れると、変更内容がデータに即時反映されないことがある。
この場合、マイナ保険証を病院で読み取っても「資格情報の無効」と表示され、保険情報などが確認できない。

▼カードリーダーの不具合
カードリーダーの不具合によって、マイナ保険証のデータが読み込めなくなる。
今回の調査でも頻繁な接続不良・ネットワークエラー、フリーズなどの事例が多数寄せられている。

このようなトラブルに対して、医療機関側は他の手段で保険情報の確認を試みてはいるものの、それでも確認が取れない場合、患者側に10割負担をお願いするしかないといいます。
今回の調査では、医療機関側の声として、「資格情報が無効などの状況を把握して対応するのに時間を要する」「受付に時間がかかり、混雑してしまう」といった意見も寄せられています。

『サン!シャイン』の視聴者からも、マイナ保険証について様々な質問やご意見が届きました。

・病院なのにマスクを外して顔認証しなければならず、とてもいやでした(40代)
・歯科助手をしていますが、マイナ保険証に登録していない方が多い。その場でしてあげる時間がないのでどうにかして!(50代)
・子どもの保険証が使えないと病院側から言われて、いったん10割負担しました(30代)

医療ジャーナリスト 市川 衛氏:
やはり今、制度の移行期でもあるので、利用する側も医療機関側もまだ慣れていないというところがあって、大きな病院ならいいのですが、小さな個人でやっているような診療所だと、受付の人も数が少ないので、その問い合わせが負担になるケースというのは、出てくると思います。
これは、使う側・受け取る側が慣れていくことによって、数としては減っていくだろうと。今は大変な時期ということですね。

レアケースではあるものの、起こりうる「いったん10割負担」。
保険でまかなわれる7割を返金してもらうためには、後日、保険情報を確認できる書類等を医療機関に持参する必要があります。
持参する書類の例としては、マイナ保険証と医療保険者(勤務先や自治体)から通知された「資格情報のお知らせ」などになります。

医療ジャーナリスト 市川 衛氏:
この「資格情報のお知らせ」というのは、全ての健康保険に入っている方に届くのですが、届いた後どこにしまっているかわからないなというので。
いいのは、届いた後にカードみたいな切り取れるところに情報がまとまっているので、切り取ってマイナカードと一緒にしておくとか、どうしても見つからない場合は、昔の健康保険証が手元に残っているなら、それを一緒に持っていくと。
結局、医療機関側もどの保険組合で、その保険組合が出している番号が何番かを確認できれば、照会はできるんです。

――もし資格情報のお知らせを紛失してしまったら?
再発行できます。自分が所属している保険組合で、会社なら結構組合、国民健康保険なら区役所だしと。

(『サン!シャイン』 2025年12月2日放送より)