一年の中で、交通事故が増加する傾向にあると言われている、12月。
警察庁が発表した、2024年月別交通事故件数を見てみると、12月は約2万9000件と、他の月に比べて増加していることが分かります。

なかでも危険なのが「交差点」。日本損害保険協会によると、交通事故の約58%が「交差点」で起きているといいます。

『サン!シャイン』は、2024年に12件の人身事故が発生した、横浜市の交差点を専門家と共に取材。事故が多発し、“魔の交差点”と呼ばれる交差点に潜む“危険なポイント”が浮かび上がってきました。

“魔の交差点”「衝突音や警察がしょっちゅう…」

横浜市青葉区にある、「恩田陸橋」の交差点。
陸橋の上には交通量の多い国道246号線が通っており、側道を通って降りた先は、橋の下を通る県道へとつながる、十字路の交差点となっています。

一見、普通の交差点のようにも見えますが、側道と県道が交わる部分には、大きな文字で「右折注意」の看板が。

実際に取材を続けていると、国道から降りてきたものの、ひっきりなしに来る車になかなか右折できずにいる車や…。

右側から車が来ているにもかかわらず、強引に急発進して右折していく車の姿も見られました。

近隣住民:
衝突した音とか、パトカーが来たりとかっていうのを、しょっちゅう聞いている。(恩田交差点を)使わない人も多いと思います。

近隣住民:
通り掛かると「あ、やっちゃったな」って、もう(事故を)10回ぐらい見ているんじゃないかな。…“魔の交差点”

近隣住民から“魔の交差点”と呼ばれる理由はどこにあるのか、交通事故鑑定人の中島博史氏に、交差点を見てもらうと…。

交通事故鑑定人 中島博史氏:
上を太い幹線道路が走っています。結構ペース速く走るところなんですけど、側道で降りてきて県道のところと交差しています。
側道が下り坂なので、幹線道路でスピードが出たまま下り坂に来るために、比較的速度を落とさないまま来てしまう。

中島氏は、交通量の多い国道から県道につながる「距離の短い側道」に注目。
この部分が下り坂になっているため、スピードが落としづらいのではと指摘します。

さらに、県道の手前にある「一時停止線」にも危険なポイントが。
国道から降りてきて、県道に合流する部分に書かれた一時停止線に止まってみると、右側に大きな橋脚があり、陸橋の下を走ってくる車の姿を確認することが、非常に困難な視界となっていることが分かりました。

中島氏は、右側から来る車を見るために、車を前進させると、いつのまにか県道に車体がはみ出し、右から来た車と衝突してしまうのではないかといいます。

取材中にも、側道を降りてきた車が大きく県道にはみ出し急停止。陸橋の奥から走ってきた車が、対向車線に大きくはみ出しながらよけていく様子がみられました。

交通事故鑑定人 中島博史氏:
県道は交通量が多くて比較的直線なので速いペースの車が流れている。(側道側は)一時停止からの発進なので、道路に出るのに時間がかかるところと、スピードが早めの車が重なるところが事故につながりやすい点ではあります。

また、県道側を走っている車の視点では、陸橋のトンネル部分にさしかかるまではすぐ先の交差点が見えず、トンネルを抜けるところでようやく側道の出口が見えてきました。

このため、この道をよく知らない人が走行した場合、陸橋をくぐる前から「左側から車が飛び出してくるかも知れない」と予測するのは困難なのではないかといいます。

では、このような場所でどうすれば事故は防げるのか?
中島氏は、側道を降りた先交差点の左手にある、カーブミラーに注目します。

交差点にミラーが設置されることは珍しく、この時点で「事故の多い注意すべき場所」だと分かるといいます。ミラーでしっかりと対向車を確認することで、より安全に右折する事ができます。

続いて中島氏が指摘したのは、「恩田陸橋」の高架下の“暗さ”。

高架下のトンネル部分には、日中も照明がついているものの、日陰になっているため車体の色によっては認識しづらいのではないかと指摘します。

『サン!シャイン』が県道を管理する横浜市に取材したところ、実際、この交差点での事故のほとんどは、日中に起きているということです。

事故に遭わないために キーワードは“2秒間”

旅行も増える年末、初めて行く場所で事故に遭わないためにはどうすればいいのでしょうか?

交通事故鑑定人 中島博史氏:
基本的には、余裕を持ってほしいと思います。
特に年末になると忙しくて焦りがあったり、疲労があったりということがあるのと、あとは物理的に車間距離を開けてほしいです。つい急ぐとせばまってしまうんですが、距離というより、感覚的に『2秒間』。前の車が線を越えたところから2秒間たったら自分が線を通るくらいの。
何か起きたときに、反応するのに1秒くらいかかってしまうので、そこから急ブレーキをかけて1秒くらいで止まれますので、2秒間あけていれば前の車が何かあったとしても、事故を避けられる可能性が高いです。

谷原章介キャスター:
道を間違えたとしても、ゆっくり回り道すれば絶対に行けますから、事故よりはそちらの方がいいですね。

(『サン!シャイン』 2025年12月3日放送より)