スキマ時間にアルバイトをする、いわゆる“スキマバイト”をするシニアが急増しています。
スキマバイトアプリの「タイミー」によると、60歳以上のシニア世代の働き手は、今年(2025年)4月時点で、約30万8000人と、1年で2倍近くに増加。
『サン!シャイン』は、そんなスキマバイトを利用するシニアを取材。その働き方に密着しました。
全国6位にランクイン “スキマバイター”の一日
神奈川県藤沢市で1人暮らしをしている、田中正則さん(62)。
以前は証券会社や銀行に勤めていましたが、55歳で退職。5年前からスキマバイトで働き出したといいます。
タイミーで働く 田中正則さん(62):
めっちゃ僕にぴったりなんですよ、本当に。色んな新しいことも知りたいし。
スキマバイトの予定が書かれたカレンダーを見せてもらうと、週に5回前後入っていることが分かります。
そんな田中さんのこれまでの勤務回数の合計は、2025年12月1日時点で1414回。
これは全国に1200万人近くいるタイミーの会員の中でも6位にランクインする回数…まさに“スキマバイター”なのです。
取材した日に向かったスキマバイト先は、自動車関連会社に向けた「代車サービスの営業チラシ配布」のお仕事。スマートフォンで受付を済ませて、早速業務スタートです。
タイミーで働く 田中正則さん(62):
自動車の修理工場とか中古車販売しているような会社でリストがあるんでこれを回って。まぁ話せりゃ話すんですけど、基本飛び込み営業。知らないところに飛び込む、営業するのはあまり抵抗ないタイプなので。
1件目は担当者が不在で、ポストも見つからなかったため不発。しかし、「営業に抵抗がない」という言葉の通り、次の店では対面でのチラシ配布に成功!
田中さんはこの日、7時間の勤務の中で17件の会社を訪問。そのうちの10件にチラシを配ることが出来ました。
その日の業務を終えると店長に成果を報告し、スマホでチェックアウト。この日の収入は7時間の勤務で8000円でした。
スキマバイトで、月に約14万円のお給料をもらっているという田中さん。
こうした働き方に対して、どのように感じているのでしょか?
タイミーで働く 田中正則さん(62):
自分のレベルに合わせて(仕事を)選べるじゃないですか。反射神経落ちてきたなとか、体力落ちてきたなとか、そういうのは合わせて選べるんですごいいいんですよ。
一応体力の続く限りはやるつもりですね。
スキマバイトから理想の職場を…78歳の「じいちゃん」
スキマバイトで、理想の職場を見つけたというシニアもいます。
東京・六本木にある水ギョーザの専門店「肉汁水餃子 餃包 六本木交差点」で働く、中尾嘉孝さん(78)。
この店のアルバイトの平均年齢は25歳と若い中で、スタッフから「じいちゃん」と呼ばれ親しまれています。先祖の名前、「左京左衛門尉祐成(さきょうさえもんのじょうすけなり)」からとって、「スケさん」と呼ばれることも。
中尾さんは大学卒業後、商社や保険会社を経て、自ら会社を設立。
しかし、後継者がいないため近々廃業することとなり、スキマバイトを始めたといいます。
「肉汁水餃子 餃包 六本木交差点」小橋拓馬店長:
タイミーというアプリを使って、たまたま来たのがスケさんでした。
シニア枠っていうのが、前の方が抜けてしまって。ちょうど探しているタイミングでもありましたので。(中尾さんは)優しい雰囲気の方ですので、それがお客さまに対しての接客にすごくいいかなと。
2024年にこの店で何度かスキマバイトをするうちに、その人柄にほれ込んだ店長から「継続して働いてほしい」と声をかけられ、今では週に5日ほど働いています。
若いスタッフたちからも頼りにされているという中尾さんの主な業務は接客。
20代のスタッフからも「じいちゃん!」と呼ばれ、和気あいあいとした雰囲気で、楽しそうに働いています。
店員(20代):
最初からみんなが「じいちゃん!」って。名前で今まで呼んだことなくて。
水ギョーザ専門店で働く 中尾嘉孝さん(78):
ハハハ。いいですよね、居心地がいいですよね。
そんな誰からも好かれる中尾さんを頼りにするのは、店の人だけではありません。
大学時代に海外で暮らしていた経験のある中尾さんは、英語での対応もスムーズ。海外からのお客さんにも積極的に話しかけます。
1人暮らしで、夜のみのシフトで週5日働く、中尾さんのバイトの収入は月に約20万円。それに加えて年金が約17万円ありますが、働く理由はお金だけではないといいます。
水ギョーザ専門店で働く 中尾嘉孝さん(78):
体、とにかく動かすような仕事を毎日続ける。これがないと、やっぱり私は長生きできないなと。
私と同じような感じのシニアって結構いると思うんです。そういう人たちを受け入れる場所はないんですよね。自分で経験してみて、本当によくわかりました。(今の環境は)非常に素晴らしいなと思いますね。
(『サン!シャイン』 2025年12月3日放送より)
