いま各地で、警察官になりすまし現金などをだまし取る、“ニセ警察詐欺”の被害が相次いでいます。
警察庁がまとめた、2025年の1年間の特殊詐欺の被害額は、約1414億円2000万円。“ニセ警察詐欺”の増加により前年を大きく上回りました。被害者は30代が最も多く、続いて20代と若い世代に被害者が多いのが特徴です。

『サン!シャイン』は“ニセ警察詐欺”の被害に遭った、ピアニストの芥川怜子さん(33)に話を聞くことができました。

芥川怜子さん:
警察の番号から電話がかかってくるっていうのがまずおかしいじゃないですか。あと実際にある犯人グループ、詐欺グループの名前を言われて、本当に私巻き込まれているのかもしれないと。もうパニックですよね、その段階で。

恐怖をあおり“依存”させる手口

芥川さんが被害に遭ったのは、警察や検察を名乗る人物が次々に入れ替わり、被害者の動揺を誘う、“劇場型”の手口。

ことの発端は、2025年5月、警察官を名乗る人物からかかってきた1本の電話。
実際にあったマネーロンダリング事件を持ち出し、使用されていた銀行口座に名前があったとして「事件に加担したのか?」と聞いてきたといいます。

1人目 “三重県警刑事”を名乗る男【事実確認】

まず、「三重県警の刑事」だと名乗る男が個人情報をもとに事実確認。
芥川さんの携帯電話には、三重県警察本部の代表番号と同じ電話番号が表示されていましたが、頭に「+180」と付いていました。

〈やりとりの音声〉
「+180というのは、こちらの録音対象番号となっておりまして、今あなたと私の会話録音させていただいています」

そして男は、「大阪府警との合同捜査」だと話し、電話を切ったといいます。すると、すぐさま次の電話が…。

2人目 大阪府警の“ヤマグチ“を名乗る男【恫喝】

芥川怜子さん:
最初すごい怒鳴られたんですよ。「お前がやったことわかってるのか!」みたいな。「何しとんじゃボケ」みたいな。すごい男の声で怒鳴られて、ものすごい萎縮しちゃったんですよ、私。

突然怒鳴られ、怖くなり話ができなくなったという芥川さん。すると、また新たな人物が出てきたといいます。

3人目 大阪府警の“コンドウ”を名乗る女【聴取】

イメージ

大阪府警の“コンドウ”を名乗る女はLINEでのビデオ通話に誘導してきたといます。この時、調書を取る際の注意事項だとして、常に画面に両手が映るよう指示されたといいます。そして、事件に関する質問のほかに、銀行口座の番号や残高なども聞かれたという芥川さん。

さらに、LINEを通じて「逮捕状」「凍結捜査差押許可状」「守秘義務命令」と書かれた3つの書類が送られてきたといいます。
女は芥川さんに「疑いを晴らす必要がある」と説明。そして次に求めてきたのが、検事による“資金調査手続き”への協力でした。

4人目 大阪地検の“カミヤ”を名乗る男【冷徹から寄り添うように態度を変える】

〈やりとりの音声〉
カミヤ
「今回の事件においてですね、容疑が希薄な方に関しては捜査に協力してくださいという形で資金調査を行っていただいている形ではあるんですね。ですが今回事件において容疑が深いあなたのような方に関しては、資金調査ではなく令状を持っての凍結捜査差し押さえ許可証およびですね、あなたの身柄を拘束し逮捕するという捜査になっています」

芥川さん「え、え、え、私今逮捕されるんですか?」

カミヤ「お教えになられておりませんか?」

芥川さん「聞いてないです」

その後、「あなたの言うことを信じてみましょう」と態度を変えたカミヤを名乗る人物は、芥川さんの容疑を晴らすために、指定する口座に現金を振り込むよう要求。振り込んだ後、金の動きに不審な点がなければ、全額戻ってくると説明したといいます。「容疑が晴れるなら…」と、指定口座に現金を振り込んだ芥川さん。しかし、現金が戻ってくることはなく、数百万円をだまし取られました。

芥川さんはなぜ“ニセ警察”を信じてしまったのでしょうか?その背景には3つの理由がありました。

信じてしまった3つの理由

理由① 個人情報を知っていた

芥川怜子さん:
あちらが私の情報をかなり握っているので、家族の話だとか。個人情報は基本的に全てです。住所・名前・家族構成、あとマンションの部屋番号まで言われましたので、職業バレてましたね。「ご家族にいらっしゃいますよね、警察関係」とにかく親戚家族には迷惑かけられないというその気持ちが先行しました。

――なぜ個人情報を知っていたのか?
詐欺・悪徳商法ジャーナリスト 多田文明氏:

闇の名簿屋というのがいて、非常に洗練された名簿を持っているんですけれども。なぜかというと、皆さんネットを通じて物を買ったり個人情報を教えたりするのは当たり前になっているんです。それが悪質なサイトだったり詐欺サイトだったりすると、もうその情報が漏れてしまっているということですね。
もう一つは、今スマートフォンを皆さん持っているんだけれども、スマートフォンの番号と住所が一致しちゃうんです。そうなるとこうした被害に遭うということです。

理由② 外部との連絡を遮断

芥川怜子さん:
「漏らした段階で守秘義務違反が発生するから、今の実刑プラス3年から5年は確定で実刑になる」みたいな説明をされるんですよ。

理由③ マインドコントロール

立正大学心理学部の西田公昭教授によると…
名前や内容を理解したかのように被害者に復唱させる、実際の事件や警察の番号などを被害者に検索させるなど、被害者を積極的に関与させることでストーリーに没入させ、“マインドコントロール”していく手口だそうです。
被害者に「どうしたらいいですか?」と思わせ犯人側を頼らせるといいます。

芥川怜子さん:
個人情報をいきなり言われるので、部屋番号だとかそこまでバレてるっていうのの恐怖で。あと声のトーン。要は捜査官たちの優しいところとめちゃくちゃ怖いところのコントロール。そういったところからかなと思います。

(『サン!シャイン』2026年3月5日放送より)