日本を訪れた外国人旅行者は、約340万人と2月としては過去最高を記録。そんな中、今、千葉・市川市に多くの外国人が押し寄せている場所があります。

人々が釘付けになっていたのは、オランウータンのぬいぐるみと戯れる、市川市動植物園の子ザル「パンチくん」です。
その愛らしい姿がSNSで拡散され、日本だけでなく、世界的にも話題に。今や来園者は、約半数が外国人だといいます。

アメリカからの観光客:
彼をオンラインで見て、大好きになったの!
私の周りはみんなパンチくんが大好きです!

県内から来た男性は、撮影したパンチくんの写真をSNSに投稿しているといいますが…。

千葉県在住 街かどフォトグラファー Shun Shiraiさん:
世界中からかわいいとか、色んな言語でコメントが入ってくるので。フランス、イタリア、スペイン、トルコ、アゼルバイジャンとかロシアとかもう本当にたくさんで。

実に世界各国からコメントが届く反響ぶり。
なぜ、ここまで人気になったのでしょうか?

「#がんばれパンチ」世界中に広がる応援の輪

3月18日、『サン!シャイン』が取材したのは、市川市・動植物園課の安永崇課長。

実は、安永さんこそが、パンチくん人気の仕掛け人なのです。
安永さんがパンチくんの画像をSNSに投稿する際、つけたハッシュタグが「#がんばれパンチ」

市川市 動植物園課 安永崇課長:
「#がんばれパンチ」と、ハッシュタグをクリックすることで、パンチへの皆さんの応援を、皆さんもご覧いただくことができるし、我々もそれを見て励みになると。そういう思いで作らせていただきました。

2025年7月に生まれたパンチくんは生後まもなく母親が育児放棄。飼育員に育てられました。

しかし、幼いパンチくんにはどうしても“母親代わり”が必要ということで、園にあったオランウータンのぬいぐるみを気に入り、いつも一緒に過ごすように。
しかし、ぬいぐるみを肌身離さないパンチくんを他のサルが警戒。群れになじめないこともあったといいます。

それでも、仲間に入れてもらおうと努力するけなげな姿がSNSで拡散され、「#がんばれパンチ」のハッシュタグと共に、日本中、そして世界中に応援の輪が広がったのです。

市川市 動植物園課 安永崇課長:
画像や動画という、要するに言語じゃない情報が世界中に拡散したことで、パンチっていうのはどういうサルなんだというようなことで、世界中の方の興味関心をひいたんだというふうに思っています。まさかここまでとはいうのが正直なところです。

その人気は海を越え、海外の大手メディアがこぞって紹介。ホワイトハウスがSNSに上げた、時事ネタなどが並ぶビンゴカードにもパンチくんが!

アメリカで人気の長寿バラエティー番組では、出演者がパンチくんのコスプレ。母親代わりにしている、オランウータンのぬいぐるみも再現されています。

メキシコでは、パンチくんをイメージしたパンが登場。人気すぎて予約制で販売しているのだとか。

さらに、パンチくんタトゥーまで!熱烈なファンの間で広がっているといいます。

メキシコからパンチくんに会いに来たという女性は…。

メキシコからの観光客:
パンチくんが新しいことをできるようになるたびに、たくさんの人が集まってスイーツをシェアするのよ。

メキシコでは、パンチくん推しが公園に集い、成長を祝うパーティーを開いたといいます。

“パンチくんフィーバー”で思わぬ影響も。
市川市動植物園から300km以上離れた「いしかわ動物園」にパンチくんについての問い合わせが相次いでいるのだとか。
「Ichikawa」と「Ishikawa」ローマ字のつづりで1文字違いのため、海外の人たちが混同してしまったとみられています。「いしかわ動物園」ではニホンザルは飼育しておらず、SNSなどで日本語と英語で注意を呼び掛けています。

国境を越えて愛されている、なじめない群れにも懸命に溶け込もうとするパンチくんの姿。

実際に、18日の様子を見てみると…ぬいぐるみのそばでポツンと寝ている場面もありましたが、ほかのサルたちと仲良くじゃれ合う様子も見られました。

人気の裏で…偽の寄付集めも

一方、人気すぎるがゆえに、今、悪質な問題も…。

パンチくんの飼育員をかたったSNSの“偽アカウント”です。パンチくんが飼育員に甘える動画などが無断で使用されているとみられます。

プロフィール欄にあるリンクを開くと「Donate to HomeforPunch(パンチに新しい家を)」というページが表示されます。園とは無関係のサイトで偽の寄付金を募っているのです。よく見ると、あちこちに不自然な日本語が…。

市川市 動植物園課 安永崇課長:
非常に我々としても残念なことで、応援したいという善意を踏みにじることがないような世の中になってほしいなというのが私の切なる願いです。

市川市動植物園では、3月16日に「サポーターズガイド」を公表。園としての公式な寄付の受付を開始しました。中には、飼育員が作成したLINEスタンプも。購入することで、寄付につながるといいます。

こうした中、安永さんが心がけていることが…。

市川市 動植物園課 安永崇課長:
一番気をつけているのは、動物たちが普段通りの生活をするということ。それをこう守りながら大勢押し寄せてくるお客さまに誠実に向き合う。その部分が一番私として気を使っているところです。

パンチくんがいるサル山と来園者との距離を保つ「規制ゾーン」を設置するなど、動物の安全とストレス軽減に努めています。

市川市 動植物園課 安永崇課長:
いずれですね、群れの中になじんでいくに従って体も大きくなって、どれがパンチだろうっていうふうに分からない状態になっていくのかなというふうに考えています。お客さんにとっては、パンチどれか分からない…ちょっと寂しいという気持ちになるかもしれませんが、パンチが一人前のニホンザルになるように、全力でサポートしていきたいと思っています。

(『サン!シャイン』2026年3月19日放送より)