最近、社長になりすます“ニセ社長メール詐欺”が急増。全国各地で被害が確認されています。
いったい、どのような手口で大金をだまし取るのでしょうか?
『サン!シャイン』は、実際にこの詐欺の標的になった会社を取材しました。

LINEに誘導 社長のアカウントになりすまし

まず 送られてきたのは、社長をかたる1通のメール。

〈社長をかたるメール〉
業務上の必要により、まず 自分だけがいるLINEグループを作成し、臨時の業務連絡用に使ってください。

建設工事会社ビップ 人事・広報 大森詩音さん:
社長がメールくれる時、結構簡素なメールなので、こんな感じなんですよね。

大森さんは本当の社長からのメールと思い、指示通りにLINEグループを作成したといいます。

〈LINEグループ内のやりとり〉
ニセ社長「今忙しい?」
大森さん「大丈夫です!」「11:30からお客さん来ちゃいます」
ニセ社長「今、オフィスにいらっしゃいますか?」
大森さん「います!」

怪しむことなく、普段通りのやりとりを行っていたという大森さん。
実は、このLINEグループに相手を信じ込ませる罠が仕掛けられていました。

建設工事会社ビップ 人事・広報 大森詩音さん:
社長のアイコン、社長の名前の別の(ニセ)アカウントが入ってきまして、本物の社長は(ニセ社長が)グループ内から退会させまして、そのグループにいるのはニセモノの社長と私だけっていう状態になりました。

“ニセ社長”は グループに入ると同時に、本物の社長と同じアイコンのアカウントを作り、本人になりすましていたといいます。
しかし、大森さんは、LINEのやりとりの中での“ある言葉”に違和感を覚えたといいます。

建設工事会社ビップ 人事・広報 大森詩音さん:
「財務担当の方をグループに招待してください」っていう言い方が、社長は絶対にしないので社員の名前を必ず呼ぶので。

社長が普段使わない「財務担当」という言葉。不信に思った大森さんは、会社の財務担当に直接相談し、詐欺に気付くことができたといいます。

建設工事会社ビップ 人事・広報 大森詩音さん:
ちょっとふがいない気持ちですね。うちはもう本当に社長と社員が距離が近い会社なので、格好の的だったのかもしれないです。

口座情報を要求し送金指示

では、具体的にどのようなやりとりをして金銭をだまし取ろうとするのか?
詐欺対策サービスを提供する会社が詐欺だと気付きながら、やりとりを続けた文面を見てみると…。

〈LINEのやりとり〉
ニセ社長「本日、会社に一件入金がある予定ですので、会社の振込先口座情報をLINEグループで共有してください」

会社へ入金の予定があるので、口座情報を送ってほしいというメッセージが…。
その後、偽物の口座情報と残高を示す画面を返信すると、話の流れが一変。

〈LINEのやりとり〉
ニセ社長「今、2000万円の支払いがある。相手の口座情報を今すぐ渡すから、手続きして」

「会社へ入金予定がある」という話が、突然「相手へ2000万円を送金する」話に変わったのです。
担当者によると、送った偽物口座の残高情報をもとに支払える金額を確認し、送金の指示を行ったのではないかということです。

社長と社員との信頼関係を悪用した詐欺。被害に遭わないために注意すべきポイントとは?
ITジャーナリストの三上洋氏に解説してもらいました。

“ニセ社長メール詐欺”なぜ急増?

――なぜこのような手口が急増?
ITジャーナリスト 三上洋氏:

特に去年(2025年)12月の中旬から1月にかけて。明らかに“年末年始の休暇狙い”なんですね。その間は経理担当も社長も出社しない、対面で会わないというところを狙っていると思われます。
もう一つは、LINEに持ち込むのが巧妙なんですね。普通であれば、例えばメールでの正式なやり取りだったり、もしくは企業のシステムのチャット内での正式な依頼をするはずです。そうではなくて、あくまでも私的なスマホの中でやると「社長から直接メッセージが来てるからやらなきゃ」みたいなプレッシャーが経理担当には来るので、言われた通りやりましょうってなっちゃう。

宮澤智アナウンサー:
成田さんは会社の経営などもされていますけれども、こういった手口で騙されてしまう可能性はあると思いますか?

成田修造氏:
あると思います。
会社の専用のシステムでやり取りをするというのは、ちょっと会社が大きくなってくると多分もう義務付けられると思うんですよね。逆に10人ぐらいでやってる規模の会社っていうのは、個人でのやりとりと仕事でのやりとりが混同しちゃってるケースが多いんですよね。だからこそつけ込まれるっていうところなので、できる限り業務はLINEではなくて会社のシステムでやってほしいなっていうのは思います。
メールやチャットシステムも法人用のはあるんですけど、ついつい社長って面倒くさがってLINEで指示しちゃうんですよ。だからつけ込まれるっていうのがある。
今は年末年始もそうですし、ほとんどの会社がリモートワークを導入してますよね。だからその日にいないなんてことは当たり前っていうことに逆に詐欺がつけ込んでいるという。

“ニセ社長メール”見分け方・対策

三上氏によると、これまでも注意点として挙げられてきた「メールアドレスは本物?」「不自然な日本語はないか?」といったこともチェック項目として有効ですが、酷似したメールアドレスを作れたり企業のメールシステムから送っているように見せかけることもできる。さらに、AI技術の発達で不自然な日本語も見分けがつきにくいこともあり、これらで見分けるにはもう古いんだとか…。

ITジャーナリスト 三上洋氏:
とにかく対面でのコミュニケーションが大切。

メールの偽装はいくらでもできるので、メールの内容よりも「お金を振り込め」って言われた時点でぜひ対面で!怒られてもいいので社長に直接電話をするとか。来たメールにかけちゃダメですよ。そうじゃなくて自分が知っている番号に電話をかけるとか、もしくは直接会うという“アナログ戦法”をぜひやっていただきたいですね。

(『サン!シャイン』2026年1月14日放送より)