ナレーション収録を終えた森川さんにインタビュー。当時と今回の“その後の物語”を見て感じたことや、自身にとっての熱血和尚のような存在、「プレッシャーが得意ではない」というい森川さんが、壁にぶつかったときに心に決めていることなどについて聞きました。
森川葵 おじさんと子どもたちの関係性が「ちょっとうらやましかった」
――約6年前の放送と現在の様子を見つめ、どのように感じましたか?
『ザ・ノンフィクション』の中でも長い期間、取材してきた物語ということで、その時間の積み重ねを感じました。当時の子どもたちが今それぞれの居場所を見つけて、カメラがその人生を追いかけていくというのは、『ザ・ノンフィクション』だからこそ、できることなのかなと思います。

――この物語は、番組歴代最多の受賞作。どのようなところが評価につながったと思いますか?
反抗期があった人もなかった人も、誰しも“親にぶつけられなかった思い”というのがあると思うんです。私は親に何かを強く主張したり、わがままを言ったりということが苦手なタイプでした。本当は言いたいことがすごくあって、反抗的になりたいた気持ちもありましたが、そうはなれなかった。
このお寺に集まった子どもたち、それぞれの心の中にも、そういう思いがあるような気がして。だからこそ、おじさんやショウさん、タクマさんのように、お互いちゃんと気持ちをぶつけて、怒られて、愛情をもらえてというのが、ちょっとうらやましかったです。
もちろん、感じ方は人それぞれ違うと思いますが、きっと多くの方が自分自身と重ね合わせ、心に響くものがあったのではないでしょうか。
森川葵「プレッシャーが得意ではないし、立ち向かっていくタイプでもない」
――森川さんにとって和尚のような、人生を導いてくれた存在はいますか?
私は中学3年生で芸能界に入ったのですが、当時、地元の高校に行くか東京の高校に行くか、すごく迷っていました。その時、あるファッション雑誌の編集部の方が「地元の高校に進学したほうがいい。その時にしかできない友だち、できないことがある。私たちは、そういうリアルな学生生活を送っている人を求めている」とおっしゃって。
その言葉を受けて地元の高校に進学しましたが、今も高校時代の友だちとは仲良しで、毎日のように連絡を取り合っています。編集部の方のおかげで、心の支えでもある大切な友人と出会えたと思っています。
――和尚はよく子どもたちに「逃げるな!」と伝えていました。共感するところはありますか?
私も、自分で決めたことは最後までやりきろう、なるべく逃げないようにしようと思っています。もともと、プレッシャーをかけられるのがそんなに得意ではないですし、立ち向かっていくタイプでもなくて。高い壁にぶつかると「不安だな、できるかな…」と思ってしまうからこそ、それだけは心に決めています。