髙橋海人(King & Prince)さんが、映画『おーい、応為』で時代劇に初挑戦した思いを明かしました。

本作は、江戸時代に活躍した絵師・葛飾北斎と、彼の娘であり弟子でもあり「美人画では父を凌(しの)ぐ」と言われた才を持つ北斎の右腕として、そして数少ない女性の絵師として、人生を描きぬいた葛飾応為(かつしか・おうい)の物語。

茶も入れられず、針仕事もできないが、親ゆずりの画才と豪胆さで、男社会を駆け抜けていった先駆的な女性アーティスト・応為(お栄)を長澤まさみさんが演じ、その父であり破天荒な絵師・葛飾北斎を永瀬正敏さんが演じます。

髙橋さんは応為のよき理解者であり、北斎の門弟でもあった渓斎英泉(善次郎)を演じます。美人画を得意とする色香漂う優男を魅力たっぷりに好演。

めざましmediaでは、髙橋さんと大森立嗣監督にインタビュー。快活だけれど寂しさを滲(にじ)ませる善次郎を演じた髙橋さんと、髙橋さんの演技と存在感を絶賛する大森監督に本作について、北斎と応為の魅力を聞きました。

髙橋海人「他の人にはできない感情表現を目指した」

――善次郎役を髙橋さんにオファーした理由を教えてください。髙橋さんにどのようなことを期待しましたか?

大森:僕はもちろん、テレビなどで髙橋さんを見ていましたが、1番のきっかけはドラマ『だが、情熱はある』(2023年)です。すごくいいなと思ったんです。今回、髙橋さんが演じる善次郎という役は一見快活な人物ですが、少し寂しさも背負っているキャラクター。髙橋さんの、明るくて真っ当で、爽やかな中に、寂しさを役として重ねることで、より寂しさが浮き立つのではと思い、勇気を出してオファーしました。

髙橋:そんな!勇気を出してなんて、やめてください(笑)。

――髙橋さんは監督の期待を受けて、初の時代劇で実在した絵師・渓斎英泉(善次郎)という役を、どのような人物と受け止めて演じましたか?

髙橋:善次郎は、作品の中で北斎とお栄さん親子の1番近くにいて、対比として描かれる役だと思いました。親子2人が絵に真剣に向き合う姿を間近で見ながら、自分は生活のために絵を描いている。生活のことを常に心に抱えつつも、それをあまり見せないように生きています。周りの人から見ると、とても自由でお調子者な、お気楽なやつに見えるかもしれませんが、シーンが進むにつれて寂しさなどが見えてきます。そうした部分を表現できたらいいなと思いました。

最初は「時代劇」という感覚が強くて、監督に「どのくらい表現のギアを上げるべきか」と相談した記憶があります。その時に監督から「時代劇と考えなくていい」と言っていただき、とにかく自由に自分にしかできない表現を目指しました。撮影中も「自由に、思いついたことは何でもやってみて」と言われていたので、他の人にはできない感情表現ができていたらいいな、という願いを込めながらお芝居していました。

――自分にしかできない表現をとのことですが、演じるうえで工夫した点や意識したこと、こだわったことを教えてください。

髙橋:脚本を読ませていただいて、善次郎は表向き女たらしに見えるなど、艶っぽさを持ったキャラクターだと感じました。最初は「どう表現しようか」と悩みましたが、色っぽい人の動きを見てみると、「振り返る時には、結構ゆっくり動くんだな」とか、いろいろと発見もありました。最終的には、あまり考え込みすぎず、その場面で感じたことを自分なりに持ちつつ、自由に演じようという気持ちで臨みました。

初の時代劇挑戦への思いを語ってくれた髙橋さん。演じた善次郎が放つ華と色香について大森監督が絶賛すると、髙橋さんはある思いを吐露します。