功を焦る日下部は、園児たちの前で強引に本田の逮捕に踏み切ろうとするが、そこに碇から電話が。田淵が扱っていた毒物の取り引き相手の中に、保育園の園長・高崎有里子(和田光沙)の名前があったという。
6年前に高齢者が起こした自動車事故で恋人を亡くし、その後立ち直り、保育園で働き始めた高崎。しかし、介護施設から騒音のクレームを受けて老人たちへの憎しみを募らせていたのだ。
保育園を逃げ出した高崎が介護施設に向かったのではないかという碇の指示を受けて、日下部は後を追う。
介護施設に向かった日下部が目にしたのは、入居者・宇部八重子(今本洋子)を殺そうと、首に注射器を突きつける高崎の姿。そこに飛び込んできた碇の説得と、宇部の「生きていてごめんね」という言葉に正気を取り戻した高崎は、日下部の手で逮捕された。
碇(佐藤隆太)が無鉄砲に命をかける理由は…「順番が来た」
連続毒殺事件を解決し、観閲式での水上署の対応がSNSで評判になったお陰で、玉虫は上機嫌。湾岸署から三上慎吾(松本怜生)の身柄を取り戻した碇と日下部も、久しぶりに軽口を叩きあう。

そこに田淵が事件を起こしたお詫びにと、“上条”こと黒木が現れた。碇は「いつまでも好き勝手やれると思うな」と黒木に釘を刺すが、黒木は余裕の表情で受け流す。
チーム碇の面々と礼子は居酒屋に移動し、初事件解決の打ち上げが行われていた。
思った以上に酒が進んだ日下部は、先に水上署へ帰ったという碇を追いかける。そして、事件を解決するためとはいえ命をかける碇に対し、バカなんじゃないかと突っかかってしまう。
さらに、地元の住民のために身を粉にして働く所轄刑事のあり方を真正面から説く碇に向かって、日下部は「いつか溺れ死ぬのがオチだけどな!」と言い放った。
日下部の様子を見に来た礼子は、何も知らない日下部に38年前に海上への墜落事故を起こした飛行機に碇が乗っていたことを伝えるが、日下部は自分の手で礼子を救えなかったことへの後悔が溢れてしまい…。

自身を責める日下部の姿を見た碇は、「俺はあの飛行機には乗っていなかったんだ」と告白。
飛行機事故の当日、夫婦喧嘩が原因で自分も乗るはずだった飛行機に父親だけが乗ったこと、キャンセル待ちをしていた親子が自分たち母子の代わりに父の隣の席に座り、事故に巻き込まれたことを打ち明けた。
事故を知り、大急ぎで現場に向かい、海技職員だった玉虫に連れられて救護室にやってきた碇が目にしたのは、少年の遺体を抱きしめて号泣している父の姿。「あの子は、俺の代わりに死んだ」と信じて、碇は生きてきたのだ。
自分はどうして生き残ったのか。自分には、命を惜しむ資格はないのではないか…。そう自問し続けてきた碇。水上署への異動の内示を受けて「順番が来た」と悟ったという碇は、「覚悟はできてる」と日下部と礼子に言い放ち、その場を後にした。