ナレーション収録を終えた中島さんにインタビュー。ケンタさんやアキさんらを見つめて感じたこと、「私も昔こういう話を聞いたことがある」と語る、自身の経験などについて聞きました。
中島美嘉「1人で抱え込むのが、実は一番危険なのかもしれない」
――約3年ぶりの『ザ・ノンフィクション』ナレーションはいかがでしたか?
もともとこの番組が大好きなので、自分の声が乗ることがいまだに不思議です。
今回は、初めに番組スタッフから「(人生の再起を描く物語で)暗い話ということではありません」というお話があったので、そこは意識しました。読み方次第では重たい物語になってしまいそうだったので、ちょっと軽い感じと真面目な感じの、中間のトーンで読むようにしました。
――ギャンブル依存を克服しようと闘う人々を見て、どんなことを思いましたか?
みなさん、いろいろな肩書きや過去を持っていて、なかには家族がいる人もいて。一見するとギャンブル依存だとは分からないので、私が気づいていないだけで、意外と身近に同じような人がいるかもしれない、遠い世界の話ではなく、実は誰もが接したことがあるかもしれないと思いました。

――共感したところがあれば教えてください。
この施設で暮らしている人の多くは、たぶん私より若いと思います。もともと両親がギャンブル依存だったという方もいましたが、私も昔こういう話を聞いたことがあるなと思い出しました。
特に私が生まれ育った地域はあまり娯楽がなかったので、依存するほどではないですが、遊びとしてギャンブルをする大人はよくいました。「家にいないなら、あそこのパチンコ屋さんにいるんじゃない?」とか「◯◯ちゃんの親はパチンコ屋さんに行けば見つかる」みたいな会話は結構ありましたね。
――この施設では、自分の過去を打ち明けて己に向き合い、仲間の声に耳を傾けるグループミーティングが行われています。
ギャンブル依存に限らず、こういう話し合いはすごく大事だと思います。「みんな自分と一緒だ」と安心することで、苦しい状況から抜け出せたりすると思うので。「自分はおかしい」と思って1人で抱え込むのが、実は一番危険なのかもしれません。
――中島さんには、そういう“分かり合える仲間”のような存在はいますか?
もちろん、います。一番はまわりのスタッフだと思います。家族に話すことと、仕事関係の人に話すことって全然違いますし、スタッフはそばにいる時間が長いので、家族よりもいろいろなことを知ってくれているかもしれません。
――映像の中で、「自分の気持ちにウソをつかないことが大事」という話もありました。中島さんはちょうどコロナ禍だったデビュー20周年の頃に、自身と向き合って変わったと、過去のさまざまなインタビューで話していました。
それまで、人のことはすぐ信じるのに、自分のことは信じていなかったんです。誰かが「いいね」と言ってくれても、そう思えなくて。そんな自分と葛藤していました。
でも、ちょうど20周年あたりで、自分がやりたいことを実現するために強い気持ちを持って行動して、自信がついて。やっと自分のいいところを見つけられたから、そこを伸ばしていこうと思えるようになりました。
今は、前よりだいぶ自分に優しくなった気がしますし、「いいね」と言われたら、「ありがとう」と素直に受け止められるようになりました。
――『ザ・ノンフィクション』ファンとのことですが、最近の放送で印象に残っているものはありますか?
いろいろな人の家を泊まり歩く男性を追った、「今晩 泊めてください2〜ボクが一生続けたいこと〜」(2025年7月6日・13日放送)です。家を持たないで暮らすってどんな気持ちなのかなと思いましたし、見ず知らずの人の家に泊まるのは緊張しそうなのに、なんてメンタルが強いんだと驚きました。
予告動画&無料配信
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。9月14日(日)14時~「ギャンブルをやめたくて〜また 家族と暮らしたい〜前編」
8月31日放送「伯爵と呼ばれる男~58歳のアルバイト探し~」(語り:尾野真千子さん)が、9月14日までTVer・FODで無料配信されます。