今、葬儀の料金をめぐりトラブルが多発しています。

2024年度、国民生活センターに寄せられた葬儀料金に関する相談件数は978件と、過去最多を更新。
その相談の多くを占めるのが「予定より高額の料金を請求された」というもの。
いったい、どういう状況なのか?『サン!シャイン』は、今年2025年7月に父親を亡くしたというAさんに話を聞きました。

追加料金で見積もりの2倍に

Aさんは父親が亡くなる3カ月ほど前に、遺族のみで葬儀を行う「家族葬」の見積りを請求。
その際、費用は33万円という報告を受け、依頼することを決めたといいます。しかし…。

今年7月 に父親を亡くしたAさん:
(遺体の)顔をきれいにしていただくとか、仏具の一式だったり、(遺体を)一日安置しておく、夏なので保冷剤とかのすべてがそこからプラスされていった形で、33万の中にそれは一切入ってなくて…。

――(見積もりの段階では)説明がなかった?
なかったですね。
悲しみを通り越して怒りになってしまったかなっていうのがありますね。

父の死後、当初の見積りには含まれていなかったお供え用のお花や仏具など、追加料金が発生。
結局、見積もりの2倍となる66万円の請求を受け、支払うことに…。

Aさん:
娘たちがまだ中学生と高校生なので、お金がこれから必要って時にこの状況だったので、ちょっとかなり今厳しい状態ではありますね。

葬儀社から「ケチらない方がいい」

今年4月に義父を亡くした Bさん:
人が亡くなったことをとにかくお金としか見てない人もいるんだなって思いましたね。

怒りをあらわにするのは、今年4月に義理の父親の葬儀を行ったというBさん。
インターネットで見かけた「1日葬、12万円から」という広告に引かれ、見積もりを依頼するも…。

Bさん:
「絶対ここはケチらないほうがいいです」みたいな。
ケチってるわけではないんですけど、「ケチってる」というような言われ方をするので、そう言うのであればみたいな形で乗っかっていったらびっくりした金額になっていました。
(HPに)最低価格が12万円からと書いてあったので、あれはちょっと景品表示法違反なんじゃないかと思いました。

式場を装飾する花や棺、遺体に着せる服などを「ケチらない方がいい」という説明を受けながら話が進み…最終的な見積額は、12万円をはるかに超える130万円という金額に。
結局Bさんは、この葬儀社への依頼をキャンセルし、別の葬儀社へ。60万円ほどで葬儀を済ますことができたといいます。

増加する葬儀料金に関するトラブル。
被害に遭わないためのポイントを専門家に聞きました。

――なぜ、葬儀サービスに関する相談件数が年々増えている?
株式会社ディライト代表取締役 高橋亮氏:

まず、そもそもの死亡者数自体が統計では、2017年から2024年で約20%増えています。死亡者数が増える=葬儀の件数が増えるということですね。
次に考えられるのが、最近、インターネットで葬儀社を探す方が増えていまして、葬祭事業者も当然インターネット向けの広告を出すようになりました。
私は「インターネット広告の特性」が、こういう事態を生んでいるのかなというふうに考えています。葬儀者側の意図と利用する側との認識の違いがトラブルを生んでいるということです。

こんな広告には要注意

例えば…

「直葬プラン 75000円(税込み)通夜・告別式を行わず火葬のみを行うシンプルなお別れの形です」
と書かれ、手を合わせている写真や、祭壇、仏具、花の写真などが掲載されているこちらの広告。

消費者トラブルに詳しい、NPO法人「消費者支援機構関西」理事の松尾善紀弁護士によると、実際のところ、7万5000円の料金だと写真に写っているような豪華な祭壇や仏具、お花はないとのことで、値段にリンクしていない写真を掲載している広告には注意が必要だといいます。

――7万5000円(割安料金)だと、どのようなものが含まれるのか?
高橋亮氏:

この金額ですと、病院で亡くなられてその後、火葬場でお骨にするまで、無駄なものを一切省いた本当にお骨にするためのものになります。
遺体の搬送代・遺体保全のドライアイス代・棺代・骨つぼ代くらいかと。
一般の方はおそらく遺影写真があって当たり前とか、お線香をあげられる道具、お経などがあって当たり前だとお考えだと思うんですけども、そういったものが全て省かれている。
とにかく費用を抑えたいという方も一定数いらっしゃるということですね。

続いて、
「一日葬 総額35万円(税込み)
家族葬 総額45万円(税込み)
追加料金一切不要」
と書かれた広告。

松尾弁護士によると、「“一切不要”には要注意!」。「追加料金がかかる場合があります」と記載しているか確認するべきだといいます。

高橋亮氏:
追加される葬儀費用としては、例えば、葬儀での飲食代、僧侶へのお布施代、返礼品代、祭壇の装飾や供花、仏具の種類など。
そのあたりは、何人いらっしゃるかわからない。
ということは事前になかなか見積もりを出すのも難しいし、事前に金額を確定して提出するのが難しいという葬儀の性質的なものもあるかなと思います。
あとは火葬場で火葬する料金。
これも全国自治体が基本的にやっているんですけれども、自治体によっては無料のところもあれば高いところだと9万円ぐらいかかるところもございます。

料金トラブルを防ぐポイント

遺族「HPで見たんですが、“葬儀一式10万円”って本当ですか?」
葬儀社「はい、その料金でできます」

「できます」と言われても…

この場合、「10万円以外にかかる費用はありませんか?」「葬儀一連でかかる全部の費用の見積もりを出してください」など、料金を明確化し、すぐに契約せず、まず見積もりを出してもらうことがポイントだといいます。
同じ条件で3件以上の見積もりを出し、総額・電話での対応を比較して決めることが重要です。

(『サン!シャイン』2025年8月26日放送より)