インバウンド需要で利用者の増加と共に、トラブルも多発している『民泊』。
東京・豊島区は、施設数と共に増え続ける苦情件数を受けて、11月5日に民泊条例の改正案を発表。
現在、法律で定められている、「全ての地域」で「年間180日営業可能」としている基準を、豊島区の改正案では営業期間を年間120日に制限。さらに、区内の約7割のエリアで、民泊施設の新設を禁止するとしています。
12日から区議会で検討が始まり、可決されれば2026年12月からの適用を目指す方針です。
これに対し、豊島区内で民泊施設を運営する事業者からは、「廃業を検討せざるを得ない」「インバウンド戦略にとって大きな損失」といった声も挙がっています。
『サン!シャイン』は、民泊をめぐるトラブルに悩まされる住民を取材。様々な問題点が見えてきました。
不法投棄が相次ぐ…早朝・深夜の騒音も
東京・豊島区のビルなどが建ち並ぶ路地の一角にある、ごみ捨て場。
『民泊されている方へ』と前置きの上で、『不法投棄は犯罪です』と複数言語で書かれた警告文が貼られています。
不法投棄が絶えないのか、付近には防犯カメラが設置されており、実際に不法投棄を行ったとする人物の画像まで掲示されています。
不法投棄が起きているのは、ごみ捨て場だけではありません。
現在利用されていない、無人のはずの建物の敷地内には、洗濯機など複数の粗大ごみに加えて、スーツケースが放置されているのも確認できます。
なぜ、無人のビルの敷地内で不法投棄が相次いでいるのか。近隣住民に話しを聞くと…。
不法投棄がされているビルの近隣住民:
いや、もう本当、不思議。こんな椅子だとかさ、キャリーバッグは多分、本当、民泊の方だとは思うけど、日本人だったらここに捨てるっていう感覚はないよね。もう不法投棄だって分かるし…。
ビルの近くに複数の民泊施設があり、その利用者がスーツケースなどを捨てている可能性を指摘します。さらに、悩みは不法投棄以外にも。
不法投棄がされているビルの近隣住民:
キャリーバッグは、朝一で来る人(民泊利用者)は、本当、早い時間でしょう。で今度、帰る時は夜が遅いと…。大げさにいうと『ガタンガタン』みたいな音がするよね。
(とはいえ)早い時間帯とか遅い時間帯、とにかく音はうるさいけど…(旅行に来た人が)楽しかったって思いで帰ってくれれば、それでいいかなって。
業務停止命令後の変化は?「変わってないよね、この汚さは」
民泊をめぐるトラブルは、豊島区以外でも発生しています。4829件と都内でトップの民泊の届け出数となっている、新宿区。
戸建てが並ぶ閑静な住宅街にある、普通のマンションに見える建物。
実は民泊施設になっており、敷地内にはスーツケースやごみ袋が散乱したまま、長期間にわたって放置されているといいます。
近隣住民:
夏とかに多いんですが、ごみが多いと虫が湧いたりとか、臭いの問題とかがとても大きいですね。
近隣住民:
あとは騒音かな、(音が)響くね。(スーツケースが)『ガラガラ』いいながら夜中来るよ。
今年(2025年)9月、民泊業者に対し、都内で初となる『業務停止命令』を出した新宿区。
この建物も、「区への定期的な報告を怠った」などとして、業務停止が下された施設の1つですが、取材をした13日には営業が再開されていました。
しかし、マンションの前には多くのごみが放置されたまま。
業務停止を受けて、以前から改善された点はあるのでしょうか?
近隣住民:
変わってないよね、この汚さは変わらない。ずっともう何年も。
(民泊施設の)掃除の人が来た時に『これどうにかしてよ』って言うんですけど、特に効果はないですね。タバコのポイ捨てもありますね。困ります…時々、掃除していますね。
数カ月外に放置されたままのソファに、ポイ捨てされたタバコの吸い殻。
近隣住民:
ごみが分かるように積んでたくさんあるというのは、生活のレベルが落ちるようなイメージですね。“ごみ屋敷”が来ちゃったみたいな感じかな。
外国人観光客を受け入れつつ住民の生活も守るという、難しいバランスが求められる『民泊』。果たして、条例の改正案が可決されれば改善に向かうのでしょうか。
(『サン!シャイン』 2025年11月13日放送より)
