ビルのフロアは、1階が消費者金融、2階が喫茶店、3階が劇場、4階が画廊、5階がジム。二階堂が何かに気づいたその時、舞台が暗転。明転して芝居が再開すると…二階堂はSIT突入の指示を出した。
公演はラストシーンへ。棺桶の蓋が開き、関口が登場。「…さて、始めますか」。その瞬間、突入部隊がなだれ込んだ。
しかしそこに犯人の姿はない。いったいどこから逃げたのか…。その状況を予定通りだという二階堂は余裕を見せる。
犯人はどこへ?二階堂(森川葵)が気づいたまさかの顛末
劇場に入った二階堂たちは、棺桶を運びだそうとしている劇団員たちを呼び止める。
芝居について長々と質問しているうちに、棺桶を重そうに下ろす劇団員たち。「そんなに重たいって、中に何か入ってます?」と棺桶の蓋を開け、さらに上げ底の板をめくると…中には犯人が。
劇団員と犯人はグルだったのだ。

二階堂は「夏の遊牧民」の第二回公演を大学時代に見ていた。印象的なセリフと犯人の声。似顔絵と過去のDVD映像。それらを見て二階堂は確信する。犯人は劇団創設メンバーの1人だった。
動機は舞台に飾られた絵を盗むため。最初に掛けられていた絵はニセモノで、途中で本物にすり替えられたと推理する二階堂。
配信が始まったとき、関口が壊してしまった電飾は点灯していたが、暗転したあとは消えていた。つまり、最初の映像は壊れる前に収録された録画映像で、暗転後の後半が生配信だったのだ、と。
前半を録画にしたのは、劇団員たちがその場を離れるため。狙いは、4階にある画廊。絵を盗み、録画を流している間にセットの絵を掛け替え、途中から生配信に切り替えたのだ。
彼らは、ビルのセキュリティが解除される10分間を狙っていた。1階の消費者金融で働いていた犯人は、金が必要だという劇団員から相談を受け、今回の犯行を誘ったのだった。
スティンガースルームで今回の事件を回想している関口たち。「俺がドラキュラになるのは、どこから決まっていたんだろう?」という疑問に、本番直前だろうと答える二階堂。
もともと、配信までに人質を解放するつもりだったものの、関口が頑として出ていかないので棺桶に閉じ込めるしかなかったのだろう、と。

関口は配信のおかげで役者のオファーが殺到しているという。発声練習を熱心にくり返す彼を見て、二階堂は優しく微笑んだ。