ナレーション収録終えた松本さんにインタビュー。自身の祖父と父も大工さんだそうで、宮大工の減少に「人ごとではない​」と思いを馳(は)せる松本さん。切磋琢磨する塾生たちの印象や、松本さんのデビュー当時の経験について聞きました。

松本若菜 奮闘する塾生たちを「女将のような気持ちで見守っていました」

――資金難や宮大工不足で修繕できない神社仏閣が全国にあることから、金田さんは宮大工の養成塾を立ち上げ、修繕を安く請け負う代わりに、未来の宮大工を現場で育てています。

もともと、神社仏閣オタクだという金田さんが、神社やお寺、宮大工の将来にプラスになるようにと考えて塾を作ったんですよね。その信念のもとに塾生たちが集まり、成長していく姿を、私はなんだか女将のような気持ちで見守っていました。

――怒られ続けても諦めない片山さんと、同期のライバルを意識する石井さんの印象はいかがですか?

2人とも、お互いを「石井さん」「片山さん」と“さん付け”で呼んでいたのが今どきで、印象的でした。そして、2人とも素直ですよね。準備や段取りがなかなか上手くできない姿を見ていると、「もっとこうしなよ!」ともどかしく思ったり、助けたくなったりしますが(苦笑)、それが彼らの個性でもあると思いました。

この時代にスマホ禁止の環境で、頑張っていますよね。私たちだって、スマホを取り上げられたら…じゃないですか(苦笑)。厳しいと思いますが、彼らにとっては社会に出る第一歩として、すごく貴重な経験になると思います。

――厳しくもあたたかい金田さんは、宮大工を後世に残したいという熱い気持ちを持っています。

私の祖父と父も大工で、祖父は近所の大工さんたちと一緒に地域の神社を建てたことがあります。父からも「今は宮大工が少ないんだ」と聞いていたので、今回『ザ・ノンフィクション』のお話をいただいたときは、人ごとではないと思いました。

祖父や父のように地域の人たちの家を直したり、新しく建てたりする大工さんもいれば、それこそ何百年、何千年と続く神社仏閣を再建している大工さんもいて。百年後、千年後も絶えることなく宮大工さんがいられるためにも、金田さんのような考えの方が増えていくと良いなと思います。

――神社仏閣の再建の様子や大工道具も、松本さんにとっては身近なものですか?

小さい頃、近所の小さい神社に行って「ここ、おじいちゃんが建てたんだよ」と教えてもらったりしました。実家も、祖父と父が建てたんです。映像に大工道具がたくさん映っていましたが、カンナを見ると懐かしい気持ちになりましたね。子どもの頃、触ろうとして「危ないよ!」って怒られたり(笑)。

――石井さんは、同期のライバル・佃(つくだ)さんに差をつけられ奮起します。松本さんには、そのように切磋琢磨したライバルはいますか? 

『仮面ライダー電王』(2007年/テレビ朝日)で一緒だったメンバーは、私も含めほぼ全員がデビュー作だったので、「みんなで頑張っていこう!」という雰囲気がありました。みんなからパワーをもらっていましたね。

――宮大工養成塾のように厳しい環境でしたか? 

私は完全に“昭和型”で育ってきたので(笑)、金田さんは優しいほうだと思います。私のデビュー当時はまだゴリゴリに厳しい時代でしたし、特撮はアクションもあるので真剣にやらないと危ないですし。デビュー時から、すごく良い経験をさせていただいたと思っています。

――松本さんにとって一番大変だった経験は何ですか?

私、いろいろな仕事を経験していて…芸能界に入る前は過労で体調を崩したことがありますし、この業界に入ってからは「お前は女優に向いてない!辞めろ!」と言われて枕を濡らす日もありました(苦笑)。今振り返ると、あれも一つの経験だったなと思います。

予告動画&無料配信

YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。8月10日(日)14時~「夢と修業と初恋と 前編〜スマホ禁止に私語厳禁〜」予告。

7月20日・27日放送「たどりついた家族4 ~戦火の故郷へ 母と子の決断~」前後編(語り:芳根京子さん)が、8月10日までTVerFODで無料配信されます。

【前編】ウクライナ避難母子 日本に来て3年…支援金打ち切りで戦況悪化のなか帰国を考え…シリーズ第4弾『ザ・ノンフィクション』
【後編】芳根京子「どうか無事でいてほしいと祈るしかできない」戦火のウクライナへ帰国を決めた避難民母子と家族の苦しみを思う