今、私たちの身近に潜む“殺人マダニ”によって死者が相次いでいます。
“殺人マダニ”とは?対処法は?
『サン!シャイン』では、ダニの生態に詳しい、国立環境研究所の五箇公一氏に解説していただきました。
マダニとは?

マダニは体長が3㎜~8㎜ほどで、吸血後は10㎜~20㎜まで大きくなることもあります。10日以上血を吸い続ける場合も…。
生息場所は、森林・草地、畑・あぜ道、さらには市街地まで。
五箇氏によると、「動物の二酸化炭素を感知し気づき近づき吸血。かまれても痛みやかゆみがないので気づきにくい」といいます。

国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
マダニというのは、蚊みたいにストローを差し込むんじゃなくて、口にあるハサミで皮膚を切ってできたその穴に頭を突っ込んで血を吸う。
その切り方がすごく上手なので、ほとんどの人が痛みやかゆみを感じなくなってしまう。気づかないうちにかまれて血を吸われているというケースもあります。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による死者相次ぐ
マダニにかまれて何より怖いのが、かまれたマダニが病気のウイルスを持っている場合があることです。

今、マダニが媒介するウイルスによる感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による死者が相次いでいます。
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の症状としては、発熱・全身倦怠感・下痢・嘔吐など。重症化すると死に至ることもあり、致死率は約10%~30%です。
「STFS」は2013年に初めて日本で患者が確認され、2021年以降、毎年100人以上の感染が確認されています。
西日本を中心に感染が確認されていましたが、徐々にその地域が広がっているということです。
五箇氏によると、「西日本から野生生物や外来種が分布を広げていく中で、ダニも一緒に移動してウイルスを広げているのではないか」ということですが…、

愛知・豊田市では6月6日に50代の女性が、24日に90代の男性がSFTSで亡くなっています。
静岡市でも23日、60代の女性が診断されたその日に死亡。
人間だけではなく、6月12日には茨城県で飼い猫(1歳)がSFTSによって死亡してしまったという事例もありました。ペットの感染確認は関東初です。
さらに、5月、三重県の獣医師の男性がSFTSにかかった猫の治療をしていたところ、呼吸困難などの症状を訴えてその後死亡。検査でSFTSウイルスに感染していたことがわかっています。

SPキャスター カズレーザー氏:
どういう感染の仕方なんですか?
五箇公一氏:
基本的にはマダニにかまれることでマダニの体内にあるウイルスに感染するというのが一番一般的なルートなんですが、最近分かってきたのが、感染したペットに触れたり、そういったものを体に近づけてしまうことで、ペットの体液あるいは血液、そういったものから、いわゆる粘膜を通して感染するというケース。
この獣医師の場合もおそらく血液や体液の飛沫が目から入ったんじゃないかなというふうに考えられます。
谷原章介キャスター:
特効薬とかないんですか?
五箇公一氏:
ないんです。
比較的発見が新しいウイルスなので、特効薬とかワクチンがまだできていないので。
あとは対症療法しかないということで、どうしても体力がない高齢者の方々が衰弱して亡くなられるケースが増えています。
マダニ自体のウイルスの保有率自体は数%以下なんです。だから全てのマダニが持っているわけじゃなく、また、かまれたからといって必ずしも感染するわけでもないので感染率自体は本来は低いんですが、一旦感染してしまうと重症化して死亡するリスクが非常に高いということになります。
私たちができる対策は?

・長袖や長ズボンなど、肌の露出をなるべく減らす
・マダニに効果のある「ディート」「イカリジン」といった忌避剤が入った虫よけスプレーを使う
・家に帰ったら体にマダニが付いていないか確認
五箇氏によると、もしマダニが付いているのを見つけた場合「無理に取ろうとすると悪化するので、皮膚科を受診し取ってもらってください」ということです。
『サン!シャイン』視聴者の方からもたくさんの疑問が寄せられました。

・NG行動は?
五箇公一氏:
虫よけスプレーとかそういったものを塗らないままショートパンツやタンクトップみたいな格好のまま茂みに入ったりするというのは十分注意していただきたいなというふうに思います。
・生後間もない赤ちゃんがいて公園などに連れて行くのが心配です。
五箇公一氏:
最近、東京都でもアライグマとかハクビシンが増えてますので、ああいったものもマダニを媒介するのが分かってますから、そういった意味では身近な公園なんかでもマダニが発生するというリスクはあると頭に入れていただいた上で散歩なんかもしなきゃいけなくなってきたということですね。
(『サン!シャイン』2025年6月27日放送より)