子どもたちが学校に行く楽しみの一つでもある「給食」。SNSに投稿された、福岡市の小学校で出された給食の写真に、今、注目が集まっています。

献立は、麦ご飯、春キャベツのみそ汁、牛乳…そしてメインとなるおかずは、鶏のから揚げ1個だけ。

これは今年2025年の4月に実際に提供された給食で、写真を見た人たちから「少なすぎる。子どもには おなかいっぱいおいしい物を食べさせてあげたい」「育ち盛りの小学生には少なすぎる給食。早く改善してほしい」と改善を求める声も。

『サン!シャイン』は福岡市教育委員会を取材、このような献立になった理由を聞きました。

福岡市教育委員会 ・給食運営課長 野原健さん:
(から揚げは)児童の配膳の手間とか調理、味付けとか揚げる手間とか(を考えて)、2個分を1個にまとめて提供しております。
献立については、1回の給食で満たすべき基準というのを決めておりますので。確かに写真の方を見られるとそういう(少ない)ふうにとられてしまうところもございましたので、給食の質の維持、向上という形で、組み合わせとかも含めて、今後、工夫をしていきたいと思っております。

福岡市教育委員会によると、調理などの手間を省くために2個分のからあげを大きな1個に、みそ汁も副菜で使用される6種類ほどの野菜が入っており、合計620kcalと福岡市の基準である1食600kcalは満たしているものだったといいます。

しかし、基準を満たしているとはいえ、育ち盛りの子どもたちのおなかを満たすには不安な量。北九州市で学校給食の献立を担当している栄養士の中村智子さんに給食の事情を聞くと、厳しい現状が見えてきました。

北九州市教育委員会・栄養士 中村智子さん:
食材を安定して調達するのが、年々難しくなってきているんですけど、保護者からいただく給食費と、国の臨時交付金をうまく活用して、なんとか栄養価を満たす献立を立てているところではあります。

物価高騰で食材の確保も難しい中、なんとか季節の食材を楽しんでもらいつつ、子どもたちの栄養が満たされるように手を尽くしている給食の現場。話題となった福岡市も、肉の部位を変えたり、価格の高い食材は1g単位で調整するなど、厳しい中で工夫を凝らしているといいます。
“量”より“質”変化する給食現場「基本的に赤字の学校も」
谷原章介キャスター:
作っている方々は、子どもたちにおいしいものを食べてもらいたいと一生懸命作ってらっしゃるし、限られた予算の中でやりくりをされていて、栄養もバランスもとってすごく難しい。ただ、肉の1個だけの写真を見ると、ちょっともう少し食べさせてあげたいなという親心も。

カンニング 竹山氏:
写真だけ見ると結構、衝撃的なんですけども、栄養的には全然問題ないらしくて、子どもたちからの批判もそんなに出てないらしく、おかわりもできたラッキーな子はから揚げ2個手に入れたりとか、そういうふうになっているので。
ちょっと気を付けなきゃいけないのは、先にネットからこの写真がバーンと出て、これを真に受けて「これ少ない」とか「かわいそう」って、見るとみんなそう思いますから。
それと実質の内容はちょっと違うというのと、あと福岡市って2学期から給食が無償化になるんですよ。そういうのでも何かあるのかも知れない…それをちょっと分からないけど。

管理栄養士 望月理恵子氏:
学校給食と言っても、1食で考えるのではなく、1カ月トータルで平均して見るので、どうしても少なそうに見えてしまうというのはあるのですが、1カ月で見ると素晴らしい給食が揃っているのが実情です。

管理栄養士の望月理恵子氏によると、現在の学校給食が“少ない”要因として、1975年頃までは戦後の栄養不足を改善し、エネルギーを摂取させることが目的だった給食が、1976年以降は、エネルギー量の減少傾向となり、近年は子どもの肥満対策としてエネルギーを減らす方向に進む地域も出てきていることが挙げられます。

管理栄養士 望月理恵子氏:
基本的には、量より質になったというのが大きく変わった点なのですが、1976年から米飯給食が始まったという変化もあります。
さらに、昨今の物価高騰も大きく影響しているといいます。

――月の予算や献立が決まっている中で、食材が急に高騰した場合は?
管理栄養士 望月理恵子氏:
基本的にやはり赤字の学校も少なからずあるんですけども、そうするとやはり市から補助金が出る場合もなかにはありますし、調理員さんが本当に工面してある食材でおいしい給食を作ってくださっているのが現状です。

谷原章介キャスター:
実際はお金の問題だけではなく、アレルギーの子どもや個別対応の難しさなどあると思うんです。一生懸命作った結果が、から揚げは少し小さく見えるかも知れませんが、大きなから揚げに、副菜も添えたかったけれどもお味噌汁の中にお野菜をとなったのかもしれませんね。最近は学校で給食の試食会もやっているので、親もどんなものが出ているのかと気にして、支援できる部分は支援していきたいですよね。
(『サン!シャイン』 2025年6月11日放送より)